これで安心!新入社員の電話応対マニュアル
現代の新社会人は、物心がつく前からスマートフォンに慣れ親しんできた人も多く、社会に出てから「初めて固定電話に出る」という方も多いのではないでしょうか。
誰でも初めての経験は、怖かったり苦手に感じて当たり前です。今では当然のように電話に出ている上司や先輩も、新人の頃は緊張して上手く応対できなかったのです。
電話応対は、基本さえ理解してしまえば、難しいものではありません。苦手意識がなくなれば、自分から進んで電話に出ることができるようになります。
そこで今回は、元事務員で、現在は企業で電話応対研修をしている私が、経験談も含めて、新人のための電話応対の基本をお伝えします。
新人の電話応対は「失敗して当然」
職場にかかってきた電話は、スムーズに応対できるものばかりではありません。相手の名前が聞き取れなかったり、わからないことを尋ねられたりすることもあるでしょう。
初めから上手に応対できる人はいないので、場数を踏むしかないのです。
現在は、研修講師として、電話応対研修を行っている私ですが、私にも新人の事務員時代がありました。ある時、「リーベルマン」という会社から電話があったのですが、私は社名を聞き間違え、上司に「ドーベルマンからお電話です」と取り次いでしまいました。「犬か!」と上司から突っ込まれたのは、言うまでもありません。
電話応対の失敗は誰にでもあります。失敗しても仕事がなくなるわけでもありませんし、挑戦して失敗したことは、後の成長の糧になります。臆することなく電話に出てみましょう。
積極的な気持ちが声に出る
電話がかかってきたら、「プルル、プルル」と2コールが鳴るまでに出ましょう。
「できれば誰か取ってくれないだろうか…」と2コールギリギリまで待ち、誰も出てくれないので、しぶしぶ自分が出たのでは、嫌がっている気持ちが声にも表れます。それでは、「電話応対の感じが良くない会社だな」とクレームにもつながりかねません。
どちらにしても出るのなら、「はい、喜んで!」という勢いで電話を取ると、声も一段トーンが明るくなり、応対の印象もアップします。最初のうちは、「上手に話そう」と気負わず、「明るく元気に出る」ことだけを意識してみましょう。そうすれば、自分の気分も上向き、自然と仕事も楽しくなってきますよ。
毎日何度も「はい、喜んで!」と電話に出ているうちに、いつのまにか経験も増え、心から喜んで電話に出られるようになります。
電話に出るときは「利き手にペン」
電話に出るときに、準備するものは、メモとペンです。新人の間は、とにかく「メモを取りながら聞く」ことが大切です。
相手から、よくわからないことを言われるかもしれませんが、聞き取れた単語だけでもいいのでメモを取ります。いくつか単語をメモしておけば、取り次ぎの時に、その単語を伝えることができ、聞いた方はその単語だけで「誰が、どの用件でかけてきたのか」が理解できることも多くあります。
電話を取るときは、利き手でペンを持ち、反対の手で受話器を取る習慣を持ちましょう。
これが基本!「新人の電話応対」
では、実際の電話応対方法について見ていきましょう。
(1)電話に出るには
まずは、電話に出る方法をお伝えします。
自分「お電話ありがとうございます。◯◯社 業務部△△でございます(A)」
相手「お世話になります。□□社のと申します」
自分「□□社の様でいらっしゃいますね(B)。いつもお世話になっております(C)」
相手「営業の田中さんはいらっしゃいますか」
自分「営業の田中ですね。少々お待ちいただけますか」
相手「お願いいたします」
自分(保留→転送)
●ポイントA:自分の会社名・部署名・名前ははっきり名乗ります。
●ポイントB:相手の名前は復唱しましょう。もし間違っていたら、訂正してくれます。相手が社内の人だった場合は、復唱は不要です。聞き取れなかった場合には、「恐れ入りますが、お名前をもう一度伺ってもよろしいですか」と尋ねましょう。「恐れ入りますが」には、相手の迷惑や手間を申し訳なく思う意味があります。
●ポイントC:相手が知らない人の場合でも「いつもお世話になっております」と伝えます。社内の人の場合には「お疲れさまです」が適切です。
(2)電話を取り次ぐには
次に、受けた電話を取り次ぎます。
■指名された人が、在席だったら
自分「田中さん、□□社の様からお電話です」
■指名された人が、外出していたら
自分「お待たせいたしました。申し訳ございません。田中はただいま外出しております(D)」
■指名された人が、社内にはいるが、席にいなかったら
自分「お待たせいたしました。申し訳ございません。田中はただいま席を外しております(D)」
●ポイントD:こちらの状況を伝えれば、相手がその後どうするか(たとえば、「戻り次第お電話いただけますか」「伝言をお願いできますか」「また電話します」など)を伝えてくれます。
(3)電話を切るには
「折り返しの電話」や「伝言」を頼まれたら、次のように伝えて、電話を切ります。
自分「かしこまりました。田中が戻りましたら、お電話するよう申し伝えます。私△△が承りました(E)。失礼いたします」
●ポイントE:自分の名前は最初にも名乗っていますが、相手は覚えていない可能性があります。最後にもう一度名乗ることで、責任の所在を明らかにすることができ、相手は安心します。
新入社員向け!名指し人が不在の場合マニュアル
利き手にペンを持ち、すぐにメモができるようにする
まとめ
新入社員は電話を取ることで、取引先の名前や商品名、仕事の流れなどを覚えることができます。自分の成長のためにも、まずは電話応対に「慣れる」ことから始めてみましょう。「新人の電話応対」に慣れてきたら、今度は「ワンランク上の電話応対」にも挑戦です。がんばってくださいね。
研修トレーナー太田 章代
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太田章代の『ビジネスコミュニケーション術』