Yahoo!ニュース

【こんなに違う】保育園での離乳食の進め方は?保育園給食と家庭の食事の違いを現役保育士が紹介

オオタ先生保育士&幼保英検1級

現役の保育士&資格マニアです。

保育園に入園が決定すると心配になるのが食事についてです。

家庭での食事と保育園の給食とではどのように違うのか。
食事の提供方法や食べるまでの段取りという点にフォーカスして解説します。

保育園の給食の特徴

児童福祉施設最低基準では、調理室と調理員の設置が義務付けられています。基本的に外部搬入は認められていないため、多くの保育園では給食を園内で調理しています。
調理場所の考え方は、家庭内で調理したものを家庭内で提供する家庭での食事の場合と同じですね。

一方、保育園の給食の内容はというと、家庭での食事と大きく異なります。例を挙げると次のとおりです。

嫌いなメニューがたくさん出てくる

野菜類など多くの子どもが嫌がる食材は、なかなか食べてくれないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。このため、家庭内ではハンバーグなどに紛れ込ませたり、そもそも量を減らしたりしていることでしょう。

保育園の給食でも、野菜類などは豆腐ハンバーグに混ぜて提供されることがあります。一方、基本的にはサラダやおひたしなど、野菜そのものの味を楽しむためのメニューで野菜が提供されることが多いです。量も多いです。

ただし、過度な心配は不要です。周りのお友達が食べているのにつられるのか、家庭では食べないのに保育園では頑張って食べているという園児も多いですよ。

時間が決まっている

家庭では外出の予定などに応じて食事時間を前後させることもあるでしょう。保育園では食中毒予防や給食室の清掃など都合のため、給食を食べることができる時間が決まっています

調理が終了した食品は速やかに提供できるような工夫が必要である。調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましく(中略)
保育所における食事の提供ガイドライン

食べる前と後の段取りが決まっている

保育園では、給食の歌をうたったり、いただきますの挨拶をすることや、エプロンの着脱など給食を食べる前や後の段取りが固定しています。

画像引用:保育園の給食の例/熊本市

保育園の給食が美味しいか確認する方法

給食が美味しいかは実際に食べてみないと分かりません。でも、入園前でも推測することができます。

見学会や入園説明会で先生と話す機会があるときに、「給食はおいしいですか?」と単刀直入に聞いてみてください。
理由は、保育園では大半の場合、勤務する職員も園児と同じ給食を食べているからです。

概ね「美味しいですよ」と回答してくれるはずですが、答えに窮することなくかつ瞬時に、笑顔で美味しいと答えてくれる保育園なら最高ですね!

保育園での離乳食の進め方

保育園に入園したからといって、すぐに給食が提供されるということではありません。給食が始まるまでに家庭で行うことがあります。

1. 家庭で様々な食材を食べて記録する

入園時に渡される書類の中に「食材チェック表」や「未食チェックリスト」といった名称の書類があるでしょう。

画像引用:食材チェック表の例/さいたま市

この食材チェック表にある各食材を家庭で実食してチェックマークを記入します。発達段階ごとにすべての食材にチェックが入っていることを保育園で確認できたら、離乳食の提供開始となります。

食材チェック表を運用する理由は、保育所におけるアレルギー対応ガイドラインに「保育所で“初めて食べる”ことを避ける」などの基準が設けられているためです。

保育所特有の対策として、保育所においては食物アレルギーを有する子どもに“初めて食べる”ことを避けることが重要です。
新規の食物にアレルギー反応が起きるか否かは食べてみないと分からないことから、家庭において可能であれば2回以上、保育所で提供する量程度、もしくはそれ以上の量を食べて何ら症状が誘発されないことを確認した上で、その食物を給食で食べることが理想的です。特に給食に使用している高リスク食品については必ず確認します。
保育所におけるアレルギー対応ガイドライン/こども家庭庁

2. はじめての給食

保育園での初めての給食では、中期食・後期食・完了食・幼児食とそれぞれの月齢に応じた食事を他のお友達と共に食べます。給食を食べるときの流れは、毎日同じです。

  1. 手洗い・消毒
  2. エプロンを付ける
  3. 給食の歌を歌う(給食、給食嬉しいな、お手々もきれいになりました♪)
  4. いただきますの挨拶をする
  5. 保育士が月齢に応じた介助をしつつ食べ始め
  6. お茶を飲む
  7. 口や手を拭く・エプロンをはずす
  8. ごちそうさまの挨拶をする
  9. 午睡の準備

3. 給食のステップアップ

月齢が上がると「そろそろ完了食に移行したいと思いますが」というように保育園から打診があります。

家庭との打ち合わせで方向性が決まったら、完了食を提供する前に家庭で食べておくべき食材を実食し、食材チェックリストに記入します。チェックが完了したら次のステップの食事に移行します。

アレルギーがある子への保育園での対応方法

卵やピーナッツなどに対しアレルギーを持つ園児も少なくありません。一方で、集団生活の場である保育園で、アレルギー対応食をミスなく提供するのは至難の業です。

アレルギー対応食の提供方法はそれぞれの園で異なりますが、筆者が勤務する保育園の場合は、次のような段取りで行っています。

  1. アレルギー対応専用のお盆を調理師が用意する
    アレルギー対応が必要な園児1人につきお盆1枚。個人名が明記してある。
  2. アレルギーチェック用ファイルを調理師が用意する
    アレルギー対応が必要な園児1人につき1冊
  3. 調理師は調理後の給食・おやつを個人のお盆に配膳する
  4. 調理師から保育士へ給食・おやつを受け渡すときは手渡しで行う
    他の園児の給食・おやつはワゴンに乗せて受け渡し
  5. 調理師から保育士への受け渡しの際、アレルギーチェック用ファイルを見ながら食事内容を口頭で伝達
    「◯◯ちゃんです。ほうれん草の煮浸し、唐揚げ・・(中略)・・、ピーナッツは使っていないです。」など。
  6. 調理師・保育士がアレルギーチェック用ファイルにサイン
  7. 保育士がアレルギー対応食を園児に提供
    他の園児の給食と混在しないよう個人のお盆ごと提供
  8. 対応食を提供後、保育士がアレルギーチェック用ファイルにサイン

その他、他の園児の食事と混在するリスクを低減するため、食事中の座席を変えるなど配慮しています。

アレルギー対応食の提供方法については、問い合わせないとわからない事項であるため、保育園見学や入園前説明会などで先生に聞いてみることをおすすめします。

まとめ

家庭での食事と保育園の給食とではどのように違うのか。
食事の提供方法や食べるまでの段取りという点にフォーカスして解説してきました。

子どもは適応能力が高く、保育園にいるときは保育園の食事の段取りで、家庭にいるときは家庭の食事の段取りで食べられるようになるので、家庭の食事を保育園に合わせる必要はありません。

一方、今後保育園で生活を送っていくとどのような子どもに育っていくのかは気になるところです。
保育園で育った子の5大特徴を現役保育士が紹介」という記事で、保育園で育ってきた子どもたちの特徴を紹介していますので、合わせて参考にしてくださいね。

保育士&幼保英検1級

現役の保育士&資格マニアです。「うちの子保育園で何してる?」をテーマに保育園のリアルを伝えます。また、子育てに活かせる保育園のノウハウも提供しています。 幼保英語検定1級・TOEIC 875

オオタ先生の最近の記事