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子どもにおこづかいをあげる前に!未就学児とマルクスの『資本論』について考えてみた(前編)

ピッグママチャイルドコーチングアドバイザー/メンタル心理カウンセラー
Photo:pixabay

もうすぐ新学期ということで、そろそろお子さんの「おこづかい」を始めようかなと考えている親御さんも多いかと思います。

コロナ禍を機に、投資やお金に関する勉強や実践を始めたという人も増えたと思いますが、子どもに対してもお金や社会の仕組みの話などはしているでしょうか。

「おこづかい」はお金に関して学ぶには、とても役立つ方法だと思います。

でもせっかくならば、「おこづかい」を始める前に、この「資本主義」という現在の社会の仕組みについても、お子さんと話し合ってみてはどうでしょうか。

マルクスの『資本論』ってなに?

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カール・マルクスは、プロイセン王国時代のドイツの哲学者であり、経済学者かつ革命家で、社会主義および労働運動に強い影響を与えた人物といわれています。

図書館などで『マルクス 資本論』と検索すると、多くの書籍が出てくると思うので、詳しい内容はその書籍から実際に学んでみてください。(既にご存知のかたも多いかと思いますが)

私自身もこれまで、さまざまな人が翻訳だったり分析・解説したマルクスの資本論を読んできました。

「小学生だったら、理解できるかも!」と思った本がこちら...

NHK Educational Corporation
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マンガを通して、マルクスが恐らく伝えたかったであろうことが、よく理解できる内容になっていると思います。

マンガ部分の後に、図や表を用いて解説してあるので、お子さんが「これってどういうこと?」と尋ねてきたら、解説の部分をさらにわかりやすく例えながら理解を深めるヒントを出してみるといいでしょう。

お子さんが本を読んで「どう感じたか」ということが大切なので、あえて答えを出さず、「どう思った?」と逆に質問してみてもいいかもしれません。

100分ほどで読める量なので、初めてマルクスの『資本論』に触れるかたにも、読みやすい1冊かと思います。

より詳しく、わかりやすい一冊はこちら...

資本主義とお金の仕組みが、イラストを用いて非常にわかりやすく説明されています。

『資本論』を理解するにあたり重要とされるポイントが、順を追って紹介されており、先ほどの本と併せて読むことで理解が深まると思います。

イラストも可愛く、マルクスという人物への理解も深まる一冊。

なんでマルクスの『資本論』が大事なの?

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結論から述べると「私たちの生活すべてに繋がっているから」という一言に尽きると思います。

というのも、私たちが『資本主義』という国家の中で「働く理由」であったり、「お金」が生活に必要なものやサービスを買う『手段』である以上、無視できない話だからです。

今、世界中で問題になっている「地球の温暖化」や「貧困」「戦争」「環境汚染」なども『資本主義』とは切り離せない問題だと思います。

日本でも2020年度から小中学校や、成人年齢の引き下げにより、高校でも「お金の授業」が始まったそうですが、もっと早い段階に家庭でも「社会の仕組み」や「お金の知識」に触れる機会があってもいいのではないでしょうか。

近年、子どもの教育においても『非認知能力』を伸ばす取り組みが、重要視されています。

「英語」や「プログラミング」もコミュニケーションのツールとして、非常に重要ではありますが、根底には個人の思想や哲学といった「考え(アイデア)」があってのこと。

検索すればほとんどの答えが出る便利な現代だからこそ、自分で答えのないことを考える力が必要とされているのではないでしょうか。

課題「子どもにどうやってお金や社会のことを教えたらいい?」

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私たち親世代は、これまで「お金」について教わる機会がなかったですよね。

むしろ「お金」について話すことを、タブーとされてきた部分もあったのではないでしょうか。

しかし、日々の家計のやりくりなどで、体感として景気を感じることができたわけです。

子どもに「お金」について「教える」となると、お互いに少し構えてしまうと思うので、遊びを通じて「体感」してもらうのがいいと思います。

例えば、『お店屋さんごっこ』は仕事も体験でき、お金の概念も学べますよね。

実際に紙幣や硬貨を使わなくても、物々交換から始めてみてもいいと思います。

そして、「昔はこうやって物と物を交換していたんだよ」と話してみてもいいでしょう。

少し子どもが大きくなってきたら、子どもに買い物をお願いしてみるのもいいでしょう。

自分で商品を探す、見つからなかったらお店の人に聞く、お会計をする、袋に購入したものを詰めるなど、一度に多くのことを学べ、社会性も高まります。

こうして、身近に「お金」に触れる機会は一応あるわけです。

ただこれだけだと、限られた金額を「使う」という体験しかできません。

私たちは働いた「対価」として、給料をもらうわけですが、子どもに働かせることは違法とされていますよね。

それでは、「子どもに家事を手伝ってもらって、対価として小遣いをあげればいいのでは?」と考える人もいるでしょう。

それも正解ではありますが、私たち大人は家事をやったとして、対価としてお金をもらえることはあるのでしょうか。

大人になったら、自分の身の回りのことを自分でするのは当然であり、その対価にお金をもらうことはないですよね。

では、どうしたら子どもに「対価」としてのお金を体験させることができるでしょうか。

自分の作った作品をオンラインで販売して購入してもらう、職業体験で仮想通貨をもらうなど、現在はさまざまな方法があります。

実際に「稼ぐ」ことをも体験できるわけですが、もっと気軽に家庭で人生設計をゲーム感覚でできたらいいですよね。

「人生ゲーム」を使って人生設計をしてみよう

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ボードゲームの一種であり、ルーレットを使ってコマを進め、最終的に1番多く稼いだ人が勝ちというのが人生ゲームの本来のルールです。

しかし、今回はこのルールは無視して、ボードとお金だけを使います。

紙とペンを用意し、自由にすごろくを作ってみてもいいでしょう。

本来のルールであれば、まず最初に、ルーレットを回して職業が決まりますが、子どもに自分でなりたい職業を好きに選ばせます。(ボードにないものでも可)

給料日のマスでは、必ず給料がもらえるというルールはそのまま使います。

結婚や子どもの有無も自由に選ばせ、止まるマスも自由に選ばせてみましょう。

ただ、何かを購入するときは、必ずお金がかかることを伝えましょう。

職業カードやお土産カードを集めることを楽しむ子どももいれば、全部のマスに止まって一喜一憂する子どももいるでしょう。

自分の好きな家を購入したり、結婚して子どもをたくさん車に乗せることを楽しむ子どももいるかもしれません。

お金をもらうマスばかりを選ぶ子どももいいるでしょう。

銀行のお金がなくなることで、「お金にも限りがある」ということを学べます。

ほしいものばかりを購入していたら、お金が手元になくなるということもわかります。

このゲームを通して、子どもの価値観を理解することができます。

大切なのは、子どもが自分で選んだり、決めたりすることです。

自分の人生は自分で決め、何に価値を見出すかゲームを通じて経験する。

もちろんゲームなので、何度でもやり直しができます。

「人生も何度だってやり直しができる」と肯定的に捉えられるのではないでしょうか。

長くなってしまったので、本題である「子どもとマルクスの資本論について考えてみた」は、次回に紹介したいと思います!

資本論を説明する前の下準備として、こういった過程があったことを知ってもらえると幸いです。

チャイルドコーチングアドバイザー/メンタル心理カウンセラー

一児の母として、コーチングや心理学を子育てに応用する方法などを発信しています。年間180本ほど見る映画ファン。

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