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子どもにおこづかいをあげる前に!未就学児とマルクスの『資本論』について考えてみた(後編)

ピッグママチャイルドコーチングアドバイザー/メンタル心理カウンセラー
Photo:pixabay

前回は、子どもにおこづかいをあげる前に、お金や社会の仕組みについてゲーム感覚で学ぶ方法などをご紹介しました。

前回記事「子どもにおこづかいをあげる前に!未就学児とマルクスの『資本論』について考えてみた(前編)」

今回は、子どもに遊びを通じてマルクスの『資本論』を共有する部分に入ります。

実際のやり取りと伝える際のポイントなどをご紹介します。

子どもが興味を持ちやすいように、普段から夫婦で「お金」のことや「社会」のことについてオープンに話し合ってみましょう。

我が家の場合は、マルクスの資本論をお互いに読んでいて、「どういうふうに解釈した?」といった話をしているときに、子どもが「マルクスって何?」と興味を持ったのをきっかけに、子どもとも共有することにしました。

子どもが興味を持ったら、クイズ形式で聞いてみよう

Photo:pixabay
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子「マルクスって何?」

私「マルクスは人の名前でね、本当はカール・マルクスっていう名前で、本を書い  たりしていたんだよ」

子「へぇ〜、どんな本を書いてたの?」

私「お金のこととか、働くこととか、いろんなことが書いてあるよ」

子「それって、おもしろいの?」

私「お母さんは、おもしろいと思った。昔生きていた人が、未来はこうなるんじゃないかな〜って考えて書いてるあたりがね」

子「へぇ〜」

私「未来を見てないのに、マルクスはどうなるかわかってたんだろうな〜」

子「え〜!?それって、どんなお話しなの?」

子どもがマルクスという名前に興味を持ったことから、この話を展開していますが、子どもが「お金」や「お小遣い」に興味を持ったら、以下の部分から始めてもいいと思います。

私「では、突然ですが、クイズを出したいと思います!」

 「この家には、全部でどれくらいのおもちゃがあるでしょうか?」

子「え〜、110個くらいかな?」

私「たぶん、それくらいあるよねー」

 「では、その中で毎日遊ぶおもちゃは何個でしょうか?」

子「10個くらいかな?」

私「そうだよね。でも、どれも大切なおもちゃだよね?」

子「うん!」

私「じゃあ、このおもちゃってお店で買ったら、全部同じ値段で買えると思う?」

子「思わない。だって、カプセルゲームも300円のと500円のものがあるから」

私「それって、なんで同じ値段で買えないのかな?」

子「えー、なんでだろう。よくわかんないけど、人気だからじゃない?」

私「そうかもしれないね。じゃあ、この光るステッキのおもちゃと、いろんな音が出る楽器のおもちゃはどうかな?同じ値段で買えると思う?」

子「思わない!だってこっち(楽器のおもちゃ)のほうが、ボタンがいっぱいついてるから」

私「なるほど。じゃあ遊べることが多いほうが、値段も高くなるってことだ?」

子「うん、だってこっち(ステッキのおもちゃ)は、ボタン1個しかついてないもん」

私「そっか。じゃあ、どっちのおもちゃのほうが大切?」

子「それは決められないな〜。だって、どっちも大切だもん」

私「そうだよね。どっちも同じくらい大切だよね」

今までの流れで、商品には「価格」と「価値」があることを気づかせました。
子どもの意見を承認しながら、質問で考えを引き出してみましょう。

私「はい、ここはお店屋さんでーす!」

 「お母さんは、おもちゃを売る人で、お父さんはおもちゃを作る職人さんです」

子「じゃあ、お客さんね!」

私「はーい。お買い物の前に、ルールがあります。このお店の商品は、全部100円です。そして、今あなたは500円持っています」

子「はーい」

私「いらっしゃいませ〜。たくさんおもちゃがありますよー!」

子「どれにしようか、迷っちゃうな〜」

 「これもいいけど、これもいいなー」(ブロックやミニカーなどを物色)

私「お客さん、実はとっておきの商品があるんですよ」

子「え、なに?」

私「こちらなんですけど...」(タブレットを差し出す)

子「えー!これあるの!?これも100円!?」

私「いや、これは500円なんですけど...」

子「500円か〜。でもこれいっぱい遊べるんだよなー」

夫「あー、タブレットが売れると困るなー。それはロボットが作ってるから、売れてもお父さんはお金がもらえないんだよなあ」

 「あのすみません、値段を安くしてもいいから、あのタブレットが売れないようにしてもらえませんか?」

私「しょうがないなあ、安くなるけど文句言わないでね」

夫「......」

私「すみません、お客さん。このタブレットは500円するんですけど、こっちのおもちゃだったら、好きなだけ選んでもらって500円でいいです!」

子「えー!好きなだけ!?」

私「はい、何個でもいいですよ!」

子「じゃあ、こっちにしようかな〜」(最終的に10個ほど選びました)

私「ありがとうございます」

私「はい、じゃあこれが今日の売り上げ500円の半分で250円ね」

夫「おもちゃは、何個売れたんですか?」

私「10個です」

夫「お客さんに直接売っていれば1000円もらえたはずなのに、250円しかもらえないなんて...」

子「お父さん、どうしたの?」

夫「今のがマルクスが書いたお話だよ」

子「え!?どういうこと?」

夫「お客さんは、商品が安く買えるから、一見お得に見えるんだけど、働いてる人は売るためにたくさん働いたり、安くしたりしている。それって働く人にとってはどうなの?って...」

子「ねぇ、お母さん、この話どこがおもしろいの?」

私「そ、それはねぇ...(苦笑)」

極端な例えではありますが、今ので「労働者の搾取」と「剰余価値」「資本主義の構造」についても触れました。
お店屋さんというロールプレイで、子どもに消費者、自分は資本家、夫には労働者として参加してもらいました。
我が家は3人家族なので、売る人が資本家という配役になりました。
消費者・労働者(職人と販売員)・資本家の三者間の関係を示せればOK

この遊びは、マルクスの『資本論』の内容を全て網羅しているわけではありません。

子どもは興味を持ったら、そのときは自ら本を読んだり、調べたりすると思うので、全てを説明する必要はないと思っています。

結果的に、我が子にとっては、マルクスの『資本論』は面白くない話(笑えない話)として捉えられてしまったわけですが、資本主義については、なんとなく理解できたようです。

「お店で払う金額=賃金ではない」ということがわかっただけでも、資本主義を理解するはじめの一歩としては十分だと思います。

お店で売られている商品は、作る人と売る人がいて、商品を作ったり売ったりするのにも、お金がかかるということをロールプレイを通して気づけたのではないでしょうか。

おこづかいは自分のお金なので、基本的には「自由に使ってもらって構わない」という考えですが、『必要なもの』と『ほしいもの』を自ら判断して、使えるようになってくれたら助かりますよね。

この記事が、お子さんと『お金』や『社会の仕組み』などについて考えるきっかけとなってくれれば嬉しいです。

チャイルドコーチングアドバイザー/メンタル心理カウンセラー

一児の母として、コーチングや心理学を子育てに応用する方法などを発信しています。年間180本ほど見る映画ファン。

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