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糖尿病のこわ〜い合併症、糖尿病網膜症って?【いまさら聞けない糖尿病について、理学療法士が解説します】

ぴぴ田舎の民間病院で働く理学療法士

田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。

みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。

前回の記事で、高血糖が続いたときに起こりやすい症状について紹介しました。

本記事からは、高血糖状態のままほったらかしにしてしまうことで起こる合併症について解説していきます。

高血糖状態が続くことによる合併症

目が悪くなる糖尿病網膜症、腎臓が悪くなる糖尿病腎症、神経が悪くなる糖尿病神経障害の3つが代表的で「三大合併症」と呼ばれます。

最悪の場合、それぞれ失明、血液透析、足の指などの切断にまで至ります。


まずは三大合併症の中でも、糖尿病網膜症について説明します。

糖尿病網膜症について

網膜とは

まず網膜(もうまく)とはどんな部分をのことを指すのか説明します。

網膜は、眼の奥底にある薄い神経の膜です。見たものを映し出す役割があり、ものを見るために必要な部分となります。眼の働きはカメラに例えられることが多く、網膜はフィルムの役割といわれます。

網膜には毛細血管がはりめぐらされているため、高血糖状態が続くと毛細血管に負担がかかり、障害が起きます。

段階別の症状

初期症状

散瞳薬(目薬)を点してから、眼底カメラで確認します
散瞳薬(目薬)を点してから、眼底カメラで確認します

初期の自覚症状はほとんどありません。

たまたま糖尿病とは関係なく眼科へ行って、たまたま眼底検査を行う機会があった場合に、偶発的に症状が発見されることがほとんどのようです。

具体的に指摘される眼底の状況としては

  • 小さな出血が起こっている
  • 斑点がある
  • 細い血管の壁が盛り上がっている

などです

中期症状(増殖前網膜症)

中期では、視界がかすむなどの症状が感じられることがありますが、この段階でもまだ自覚症状として感じる方は少ないです。

この時期の眼底では、損傷してしまった毛細血管の一部が詰まり、血流の悪くなる範囲が広がります。血流が滞ることで、酸素や栄養の行き渡らない場所ができてしまいます。網膜上に現れ始めます。

末期症状(増殖網膜症)

深刻な症状が現れるのは末期になってからです。

中期症状でご紹介したように、血流の停滞により、酸素や栄養の行き渡らない部分ができると、末期ではそれを補うために新生血管と呼ばれる異常な血管が伸び出てきます。

この伸び出てきた血管は非常に造りが脆いので、眼球の中で破れて出血を起こしてしまうことがあります。

飛蚊症(ひぶんしょう)や視力低下・視野欠損といった症状や、ひどい場合には網膜剥離といった深刻な合併症を起こすこともあります。

まとめ

糖尿病網膜症は、糖尿病と診断されてからすぐに症状がわかることはほとんどなく、数年〜10年以上経過して発症するといわれています。

痛みや自覚症状がないため、かなり進行するまで気づかないこともあり、見えているから大丈夫という自己判断はとても危険です。

糖尿病と診断されたら、眼に関する症状が気にならなくても定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けるようにしましょう。

田舎の民間病院で働く理学療法士

地域の高齢者のリハビリや在宅復帰に関わり10年以上理学療法として勤務しています。リハビリ目線でのお役立ちTips、病気・怪我に関する情報を執筆していきます。田舎在住の二児のママです。

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