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無認可保育園は危険って本当!?認可保育園との基準の違いや安全対策について保育士が分かりやすく解説

ぽん先生保育士

こんにちは!ぽん先生です。
「少しでも楽しく子育てを!」をモットーに、子育てや育児に関する情報の発信を行っている保育士です。
今回は頂いたご質問はこちら。

Q:無認可保育園は死亡事故が多くて危険なイメージですが、保育士さんの目線だとどのように感じますか?

皆さんは無認可保育園について、そのようなイメージを持っていますか?
正しくは認可外保育園と呼ばれ、国の認可基準を満たしていない保育園の総称です。
認可外保育園での事故についてニュースを見かけることもあると思いますが、認可を受けていないと聞くと、危ないのではないかと心配になってしまうもの。
認可保育園と違って何か危険なことはあるのでしょうか。
今回はこちらの疑問について解決していきたいと思います。

これで解決!

結論から言うと、残念ながら認可外保育園は危険である可能性が高いと統計上では言えるでしょう。
しかし、これは認可外保育園そのものを否定するわけではなく、あくまでここでは統計に基づく事実からお伝えします。

例えば、厚生労働省や子ども家庭庁の事故報告集計を元に2004年から2022年までの死亡事故数を比較してみると、認可保育園よりも認可外保育園での死亡事故の件数は約2.2倍となりました。(※こども園、幼稚園などは除く)
それに加え、認可保育園の利用児童数が全国で196万人。
認可外保育園は23万人と両者を比較すると、1人あたりの死亡事故発生率は認可外保育園の方が圧倒的に高いことが分かります。

ここで再度お伝えしますが、決して私自身が認可外保育園を否定しているわけではありません。
認可の有無にかかわらず、ほとんどの保育園は適切に運営が行われており、そういった事故が起きるのはほんのわずかです。
また、私自身も認可外保育園で3年間保育を行ってきた経験があり、認可外だからという理由だけで危険視するのは気早いのではないでしょうか。

事故が多い原因とは?

それでは、いったいなぜ事故率が高くなってしまうのでしょうか。
考えられる3つの原因についてご紹介していきたいと思います。

1 施設の基準が緩い

認可保育園と比べると、無認可保育園は子ども1人あたりの面積が狭い場合や、0歳児の保育室を別室にしなくても良い(別室が望ましいとされている)など、施設に対する基準が緩和されている部分があります。
このことから言えるのは、認可保育園は子どもを保育するための作られていることに対して、認可外保育園はアパートの一室といったようなそれを目的としていない作りの部屋を保育室として使えるということです。

2 職員配置の基準が緩い

認可外保育園でも認可保育園と同じ配置基準とされています。
つまり、職員1人あたりが見る子どもの人数は同じなのです。
しかし、認可保育園は基準を下回らない保育士が配置されるのに対して、認可外保育園では「おおむね3分の1が保育士(または看護師)の資格を持っていること」とされています。
そのため、職員の人数さえ確保できていれば、無資格者が1人で子どもを保育するような状況が当たり前に出てくるのです。

3 補助金が少ない

認可外保育園でも、自治体などの補助金を受けられることはありますが、基本的には保育料のみで運営されています。
そのため、認可保育園と比べると資金面で圧倒的に不利であると言えるでしょう。
園児の安全性を確保できる環境を保つことだけでも金銭面で大きな負担となるため、保育園によってはそういった部分が徹底されていないことも考えられます。

無認可保育園にもメリットはある!

ここまで認可外保育園の現状について解説してきましたが、認可外保育園にも認可保育園と同じように原則1年に1回の立ち入り調査が行政によって実施されています。
これらにより、施設の運営だけでなく、保育環境や書類等についても細かな部分までしっかりと確認されているのです。
これらに基づき、必要に応じて助言や指導、さらには是正勧告などが行われているため、基本的には安心して通って良いと言えるでしょう。

認可外保育園のメリットとしては、保育の自由度が高いことが挙げられます。
例えば英語に特化した保育を行っているというような保育環境に独自性のある保育園もあれば、深夜でも子どもを預かってもらえるといった保護者のニーズに合わせたものなど、認可保育園と違ってユニークなものもたくさんあります。

適切な保育が行われているかについては、実際に保育園を見学してみた上で、気になったところについては質問し、納得することができてから入園を決めるのが良いでしょう。
また、先ほどご紹介した立ち入り調査の結果については公表されていて、例えば東京都であれば東京都福祉局のホームページで確認することができます。
保育園を見学してみて、気になるようなことがあればこちらを確認してみるのも1つの方法ではないでしょうか。

いかがでしょうか?
認可外保育園で多くの死亡事故が起きていることは1つの事実ですが、ほとんどの認可外保育園が適切に運営を行っているということもまた事実です。
認可の有無で保育園を決めるのも1つの方法ではありますが、実際に見学した上で判断することが大切だと言えるのではないでしょう。

その他、育児や保育園などの子どもに関する質問はぽん先生の質問フォームより募集中です!

保育士

東京都で働く保育士。「少しでも楽しい子育てを!」をモットーに活動中。

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