Yahoo!ニュース

同じ【オダ】でも信長とは全く違う戦国最弱武将・小田氏治のしくじり人生

歴ブロ歴史の探求者

戦国最強武将をあげると、上杉謙信・武田信玄・織田信長などがすぐに思いつきます。では、戦国最弱武将と言われると、みなさんはどんな人物が出てきますか?

ちなみに検索エンジンで【戦国最弱】を調べると、小田氏治の名前が出てきます。実はこの人、稀代の戦下手と言われ、何度も敗北し本拠地である小田城を奪われること9回。しかし、すぐに奪い返し不死鳥のように復活をする生きざまが、歴史好きの間ではひそかに人気があります。

某シミュレーションゲームでも、小田氏治の野望と称しネタとなるほどでした。

今回はそんな同じ【オダ】でも信長ではない小田さんについて紹介します。

先祖は鎌倉時代の御家人『八田知家』

小田氏は『鎌倉殿の13人』の一人、八田知家を先祖に持つ名門です。約370年に渡り常陸国筑波郡とその周辺を支配して大豪族でした。付け加えると、織田氏より小田氏の方が歴史がある名門なのです。

氏治の父・政治は、小田氏中興の祖として最盛期を作り上げた名君でした。しかし、1548年に父・政治が死去すると氏治が家督を相続し、滅亡のカウントダウンが始まりました。

小田氏治の戦歴

1555年の結城氏との戦いを皮切りに、佐竹・上杉・北条と常陸国を中心に戦いを繰り広げていました。強国である上杉と北条を行ったり来たりして連戦を続けますが、最終的には打倒佐竹にシフトしていきます。

連戦の中で氏治は、本拠地・小田城を9回奪われ8回奪還しています。最後の佐竹氏との小田城奪還戦(樋ノ口の戦い)では、あと一歩のところで敗退。この時の西暦は1590年で、秀吉による北条討伐の年でした。秀吉からは『北条討伐に参陣もせず、豊臣方の佐竹氏に攻め込むとは何事か!』と領地没収され大名としての小田氏は滅亡します。

晩年は秀吉に謝罪をし、結城秀康の客分として迎え入れられました。関ケ原の戦いで宿敵・佐竹氏が西軍に付いたのを確認して1601年に越前で死去し、天寿を全うしました。

氏治の生涯戦績は46戦19勝21敗6引き分けと、強い方の織田さんと比べると見劣りしますが、全敗ではないようです。勝利の傾向としては城奪還戦(主に小田城)と防衛戦に強く、19勝中15勝は城の奪還や防衛戦でした。

どうして小田氏治は戦下手なのか?

戦歴を見る限り、稀代の戦下手と言うほどではないような気がします。

彼を調べていると【頭に血が上ると周りが見えない】【人の言うことを聞かない】印象を受けました。太田資正との戦いでは挑発に乗り、家臣の進言も聞かずに突撃して小田城を落とされました。

氏治を支えてた軍師が死去するときには『決して平地で戦わず、籠城してください』の遺言を無視して出陣をし敗北をしています。

また、先述した秀吉が北条征伐をしているときに、周りの状況を考えずに小田城奪還に固執して出陣をしています。その結果、北条征伐に参加もせず、惣無事令違反として秀吉に改易されてしまう結果となりました。

指揮官として冷静な判断をできず何度も同じパターンで敗戦し、9回も本拠地を奪われる所が、後世に伝わる稀代の戦下手と呼ばれるゆえんなのかもしれません。有能な家臣たちの進言を聞き入れていた未来を想像すると常陸国の勢力図が変わっていた事でしょう。

なぜか人望があった氏治

戦は絶望的ですが人望が厚く、小田氏に支配されてた民たちは小田の領主様を慕っていました。小田氏治以外には頭を下げず、年貢を納めるのも拒否していたとか…

家臣にも恵まれ、敵方から称賛されるほどの人物がそろい忠義も厚く、何度も戦に負けようとも変わらぬ忠誠心で氏治を支え続けています。

もしかしたら家臣たちを集め年末恒例で大宴会を行っていたらしいので、コミュニケーションが取れており、絆が深かったのかもしれません。その辺は、良い意味で信長の逆をいったのかもしれませんね。

やっぱりすごい!?小田氏治

名家として君臨しておきながら、最後にすべてを失った小田氏治は『戦国最弱の大名』や『弱い方のオダ』などとひどい言われ方をしています。しかし、上杉謙信に敗れて小田城を奪われた時には1年ほどで奪い返している事から、小田氏譜代の家臣達の団結力が凄まじく氏治の力量のなす業だと考えられており『ヤッパリすごい奴なのか!?』と一部では評価を受けています。

氏治の宿敵・佐竹義昭は上杉謙信の書状で『氏治の弓矢の腕は最近衰えているが、その腕前は源頼朝以来で、普通に才覚もあり譜代の家臣達も有能な物ばかり』と評価していることから、後世に言われるほど残念な人物ではないのかもしれません。

歴史の探求者

歴史好きが講じて歴史ブログを運営して約10年。暗記教科であまり好きでないと言う人も少なくないはずです。楽しく分かりやすく歴史を紹介していければと思います。歴史好きはもちろんあまり好きではない人も楽しめるような内容をお届けします。

歴ブロの最近の記事