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【災害弱者】避難所で発達障害の人にどう接したらいいですか?決して他人事ではない災害の備え!

【育児マンガ】夢かなえ保育士 介護福祉士

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こんにちは!発達支援サポーターの『夢 かなえ』です。

1月1日の夕方、わたしたちが住む石川県で大規模な地震が起こりました。

現在、わたしが住む石川県南部では、生活に支障はありませんが、能登地方では、今なお2万人以上の人が避難生活を続けています。

今日は、わたしが日頃から取り上げている神経発達症(発達障害)の人の、避難生活の問題についてお話しします。

ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)など、神経発達症の人は日常生活の中で、一般の人には理解し難い、さまざまな困難があります。

外見だけでは、障害があることがわからないため、『わがまま』で『気難しい』やっかい者として扱われてしまうこともあります。

しかし、一定の配慮をすることで、本人も周りも穏やかに過ごすことができます。

イラストを交え、具体例を挙げて説明していきます。

【トラブル1】呼びかけに強い抵抗を示す。指示に従わない。

(対応)具体的に、穏やかな声で指示する。

ASDの人は『もう少し』『だいたい』など、解釈に幅のある、あいまいな表現を理解することが難しいのです。

「そっちへ行ってはダメ!」と言われても、『そっち』とはどこなのかがわかりません。

そんなときは、「このシートに座って下さい」と、具体的に場所を指定します。

「もう少し離れて!」と言われても、『もう少し』とは何センチなのかわかりません。

そんなときは、「あと30センチ横にずれてください」と、具体的に距離を示します。

理解できない状態のまま、何度も言われると、強く抵抗するのです。

『そっち』『あっち』『ちょっと』などの言葉を使わずに、具体的な場所や、数量で伝え、理解するのを待ちましょう。

理解し納得できれば、スムーズに行動することができます。

耳から聞いて理解することが苦手な人もいます。

一斉放送の内容を、個別に説明することも必要です。

ポスターで、視覚的に理解できるようにするのも良いでしょう。

これからの見通しが立たないことに、強い不安を感じる人もいます。

今日はどこに停まるのか?

風呂は入れるのか?

テレビは見られるのか?

明日からの学校は休みなのか?

日頃の生活ルーティンがどのように変化するのか、個別にメモで伝えられると良いですね。

避難所でも安定したリズムで生活できるように、当面の日課や生活スケジュールを示すことも必要です。

何もすることがない時間を過ごすための、パズルや本、カードゲームなどがあると不安の解消に役立ちます。

避難所の清掃の手伝いなど、それぞれに出来る役割を与えてもらうのも良いでしょう。

【トラブル2】騒がしい場所や、明るい所を嫌がる。

(対応)壁際や部屋の角などに移動させてもらう

神経発達症の特徴の一つである『感覚過敏』のせいで、たいていの人は気にならない『音』『光』『におい』などが、つらくてたまらないことがあります。

たくさんの人がいる避難所では、日頃経験したことのない感覚が襲ってきます。

大勢の人から離れる場所に移動したり、それができなければ、壁際や部屋の角に移動させてもらいましょう。

反対に『感覚鈍麻』という、暑さ寒さを感じにくい特性を持った人もいます。

本人の訴えがなくても、熱はないか、顔色は良いか、元気はあるかなど、注意して見ることが必要です。

数は少ないですが、一般の避難所での避難生活が困難な人のための『福祉避難所』があります。

近くに『福祉避難所』があるかどうかを。事前に調べておくのがいいでしょう。

また、避難用の持ち出しグッズの中に、光や音をやわらげるサングラスやイヤーマフなどを用意しておくと安心です。

【トラブル3】危ない場所に行こうとしたり、医療器具や支援物資などに触ろうとする。

(対応)ハッキリと『×』の表示をする

行ってはいけない所や、触ってはいけないものがハッキリと分かるように「×」などの印をつけましょう。

また、そのつど「勝手にどこかへ行ったらダメ」と、注意するよりも、

「避難所内にいること。一人で外に出ない」

と、具体的な約束を決めておくことが大事です。

まとめ

この記事を書いている時点でも、わたしの住む石川県内で、数万人の人が避難生活を送っておられます。

この記事が、少しでも役立つことを願いつつ書いています。

そして自分が避難所に行くことになった時に、どんな行動をとればよいのか、すべての人に、考えるキッカケにしていただければと考えています。

保育士 介護福祉士

専門職として学童保育や老人介護の現場で、病気や障害を持つ児童や高齢者のケアにあたってきました。自らも、発達障害の診断を受けた子の親として育児に奮闘中。子育てに悩む方のために役立つ情報、専門性のあるケアの工夫を、一般の方にも分かりやすいマンガを通して発信していきます。

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