【発達障害 グレーゾーン】能登半島地震の体験から家族で考えた災害の備え
↓この記事の解説動画をご覧いただけます。
こんにちは。発達支援サポーターの『夢 かなえ』です。
わが家には、神経発達症(発達障害)、グレーゾーンの二人の子どもがいます。
今年正月の能登半島地震では、わたしたち家族は、これまでに経験したことのない大きな揺れに遭いました。
幸い、わたしの家は震源地から離れていたおかげで、今はふだん通りの生活を送ることが出来ています。
地震の体験を踏まえて、発達障害、グレーゾーンの子がいる家庭の、災害の備えについて、改めて考えてみました。
能登半島地震では、生まれて初めて震度6の大きな地震を体験しました。
真冬なのに、上着も着ずに、靴も履かずに、娘を抱えて外に飛び出しました。
幸い家屋の倒壊などはなかったので、通常の生活に戻ることができました。
しかしもし、家に帰れない状態になって、避難しなければならないことになっていたら…と考えると、さまざまな課題が浮かび上がってきました。
特に、発達障害やグレーゾーンの子には、災害の一般的な備えだけでは足りないことが多くあります。
1 災害を想定し、家族で話し合っておく
災害の発生時に、家族がそろっているとは限りません。
もし子どもが一人の時に災害が発生したら、どうすればいいのか、話し合っておきましょう。
自分から近所の大人に、助けを求めることも必要になるかもしれません。
どこの誰に助けを求めるのか、具体的な対策も話し合っておきましょう。
一般的な避難所以外に、高齢者や障害を持つ人、乳幼児などの配慮が必要な人を受け入れるための設備や人材を備えた『福祉避難所』もあります。
避難所までのルートを確認して、一緒に歩いてみましょう。
2 避難訓練への積極的な参加
町内で行われる避難訓練には、積極的に参加しましょう。
緊急時に流れるアナウンスやサイレンに慣れておくことができます。
実際の災害が起こった時に、それらの音を怖がることなく、冷静に正しく情報を聞き取るための練習をしておきましょう。
3 セカンドバックを用意する
なんの前触れもなく起こる災害で、一度に持ち出せるカバンの大きさには限界があります。
避難先から自宅に一時帰宅した際に持ち出せる、セカンドバッグを用意しておくのがオススメです。
お薬手帳や障がい者手帳など緊急時に必要な最低限のものはファーストバッグに、そのほかにあれば便利なものはセカンドバッグに、その人の特性に応じて、二つのバッグの中身を検討しましょう。
《あると便利な備え》
耳で聞いて覚えることが苦手な人は、避難先でメモ用紙やペンが役立ちます。
必要なことをメモすることで、情報を整理しやすく、困りごとを減らすことができます。
発達障害の人に多い感覚過敏がある場合は、その特性に合わせた便利グッズも準備しましょう。
イヤーマフやサングラス、マスクなどは、大勢の人がいる避難所でのストレスを和らげることができます。
ノイズキャンセリングのイヤホンは携帯性にも優れています。(充電が必要なので注意)
フード付きのパーカーや、大きめのブランケットも、目や耳を覆うことができて便利です。
味覚過敏で食べ物の好き嫌いが多い人は、炊き出しや配給食を食べられないことも考えられます。
↓感覚過敏による偏食の解説動画
自分に合った携帯保存食を用意しておくとよいでしょう。
また、トランプや本など、電気がなくても楽しめるグッズがあると安心です。
過去の震災の例では、感覚過敏の人にとっては、大勢が避難する避難所での生活はとてもつらく、不便でも家に戻って過ごしたり、庭にテントをはったり、車中泊を選択する方もいたそうです。
近くに福祉避難所がないときは、現実としてどのような選択肢があるのか考えておく必要があります。
ヘルプカードとサポートブック
「ヘルプカード」は、外見からは分からなくても、援助や配慮が必要な人が、周囲に知らせるためのものです。
カバンにキーホルダーのようにつけることができます。
市区町村の担当課や保健センターなどで配布されています。
災害などの非常事態時には、発達障害の人とのコミュニケーションの取り方や配慮点を書き込んだ「サポートブック」が役立ちます。
障害を持つ人と関わる人に、その人を知ってもらい、安心して過ごすための支援ツールです。
石川県では「ライフブック」という名前で配布しています。ダウンロードもできます。
外部リンク:発達障害児支援のための連携手帳「ライフブック」
まとめ
今回は、発達障害の人とその家族の方に必要な防災の準備について、ご紹介しました。
正直にお話しすると、能登半島地震の時、わたしは上着も着ずに、裸足で娘を抱えて家を飛び出しました。
準備してあった防災バッグを持つことは、微塵も考えられませんでした。
とにかく助かることだけを考えていました。
緊急時に冷静に行動することの難しさを身をもって体験しました。
障害を持つ人であれば、なおのことでしょう。
平常時には想像もできない、さまざまな事態を想定して、備えをしておきたいものだと、自戒を込めて今回の記事を書きました。
わたしの体験が、少しでも、皆様のお役に立てば幸いです。