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ADHD(注意欠如多動症)の子が【教室で座っていられない理由】保育士ママが漫画でわかりやすく解説

【育児マンガ】夢かなえ保育士 介護福祉士

こんにちは!発達支援サポーターの『夢 かなえ』です。

わたしは保育士・幼稚園教諭と介護福祉士の資格を持つ、神経発達症(発達障害)の子の母親です。

今日は、教室で『じっとしているのが苦手な小学生Aさん』について、その理由と対策を漫画でわかりやすく深掘り解説していきます。

Aさんの教室での様子

ADHD(注意欠如多動症)のAさんは、授業中に椅子に座っていることが苦手です。

授業中、動きたくて 落ち着かない様子のAさん
授業中、動きたくて 落ち着かない様子のAさん

どうしても、そわそわと動き出したい気持ちになってしまいます。

先生!トイレ行ってきます。はい。いいですよ。
先生!トイレ行ってきます。はい。いいですよ。

トイレに行くことで、気分転換をしているようです。

先生!戻りました!
先生!戻りました!

これで動きたい衝動も、一旦は解消されたようです。しかし…

しばらくは落ち着く。5分後「そわそわ」「ガタガタ」
しばらくは落ち着く。5分後「そわそわ」「ガタガタ」

5分もすると、動きたい衝動が、またふつふつと湧き上がってきます。

なにかしら口実を見つけて、ひんぱんにトイレに行こうとするAさん。

先生「何度も教室から出て行かれると困るな」母親「ちゃんと勉強してほしいな。」二人の声『どう対応したらいいんだろう。』
先生「何度も教室から出て行かれると困るな」母親「ちゃんと勉強してほしいな。」二人の声『どう対応したらいいんだろう。』

担任の先生も家族も、この状態をなんとかしたいと思っています。

いったい、どう対応したらいいのでしょうか?

見方を変えて目標を決める

そこで提案です。

「A君を授業中なんとか座らせたい」

「45分間しっかり勉強させたい」

という考えを、今は変えてみましょう!

母親「じゃあ、どうすればいいんでしょうか?」

Aさんの場合、まずは、

【安全に教室で45分間を過ごす】

ことを、当面の目標としてはいかがでしょうか。

先生が一番困ることは、生徒が教室からいなくなることですよね。

「本当にトイレなのか、他の場所に行っているのでは?」

と心配になりますもんね。

そして「歩き回ったらダメ!」「座りなさい!」などと叱るのは逆効果です。ダメだと分かっていているのに、動かずにはいられないのがADHDなのです。
そして「歩き回ったらダメ!」「座りなさい!」などと叱るのは逆効果です。ダメだと分かっていているのに、動かずにはいられないのがADHDなのです。

大事なのは『叱る』ではなく『ほめる』。「ほめ」は自信とやる気につながります。
大事なのは『叱る』ではなく『ほめる』。「ほめ」は自信とやる気につながります。

先生「でも、具体的にはどんな支援や配慮をしていけば、Aさんは教室から出て行かなくなるのでしょう?」

母親「家でもできるサポートはありますか?」

重要ポイント!すぐに達成できそうな、小さな目標を決めましょう。大人だけで決めずに本人と決めることが大事!
重要ポイント!すぐに達成できそうな、小さな目標を決めましょう。大人だけで決めずに本人と決めることが大事!

簡単にクリアできる目標でいいんです!
簡単にクリアできる目標でいいんです!

「できて当たり前のこと」

と感じられるかもしれませんが、これらを一つ一つをクリアして、そのつどほめられることによって、自信が積み重なっていきます。

その自信の積み重ねが、大きな目標の達成につながるのです。

だから、むしろ簡単にクリアできる目標のほうがいいんです!

がんばりカードを作ってみよう

ここでぜひ取り入れて欲しいアイテムが【がんばりカード】です。

決めた目標をカードに書いて、今日はどうだったのか、先生に〇をつけてもらいましょう。

できなくても、バツを書かないのがポイントです。

視覚化することで進む理解

神経発達症の子どもの中には、耳で聞いて理解することが苦手な子がいます。

叱られても、どんな理由で叱られたのか、理解できないことがあるのです。

そんなときは、紙に書いて『見える化』することで、スムーズに理解できることもあるんですよ。

Aさんのがんばりカード
Aさんのがんばりカード

ほめるためのツール

ちなみにこのカードは、できないことを、できるようにするツールではなく、『できたことを、ほめるためのツール』です。

学校で先生がカードに〇を書いてくれたら、家で保護者に見てもらいます。

カードを見たAさんのお母さんが「今日もがんばったね」と、ほめていますね。

学校で先生にほめられて、さらに家でもお母さんにほめられたAさんは、とてもうれしそうです。

そして「明日もがんばろう!」とやる気がアップします。

ほめすぎでは?大げさ!

と思われるかもしれません。

しかしADHDの子どもは、定型発達の子どもに比べて、ふだんから叱られたり注意されることが多いのです。

叱られるたびに、

「どうせ自分にはできない」

「また怒られるかもしれない」

などと考えて、自信を失っていく傾向が多いのです。

学校と家のダブルで応援し、ほめることが

『がんばればできる!』

という自信につながります。

段階的に目標を上げる

先生や家族が願う

『45分間の授業中、座って勉強する』

という姿に、Aさんがすぐになることは難しいかもしれません。

でも段階を踏みながら、一歩ずつ積み重ねて、目標を上げていきましょう。

一つ一つの目標を着実に達成することで、いつかきっと、カッコよく勉強するAさんになれると思いますよ!

本人と学校と家族で力を合わせて、目標をクリアしていきましょう!
本人と学校と家族で力を合わせて、目標をクリアしていきましょう!

Aさん、みんなが応援していますよ!

保育士 介護福祉士

専門職として学童保育や老人介護の現場で、病気や障害を持つ児童や高齢者のケアにあたってきました。自らも、発達障害の診断を受けた子の親として育児に奮闘中。子育てに悩む方のために役立つ情報、専門性のあるケアの工夫を、一般の方にも分かりやすいマンガを通して発信していきます。

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