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オートバイのあれこれ『カワサキ最速の系譜の始まり・マッハⅢ』

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。

今朝は『カワサキ最速の系譜の始まり・マッハⅢ』をテーマにお話ししようと思います。

ニンジャH2R、ZZR1100、GPz900R…。

カワサキは、いつの時代も世界最速を目指したオートバイを生み出してきました。

今回は、そんな“最速のカワサキ”の始まりとも言える存在『500SSマッハⅢ』をご紹介しましょう。

▲500SS MACHⅢ(H1/1969)
▲500SS MACHⅢ(H1/1969)

マッハⅢは、1969年(昭和44年)にデビューしたオートバイになります。

60年代にアメリカで流行していたドラッグレースからインスピレーションを受けたカワサキは、アメリカ人好みの“直線でカッ飛ぶバイク”としてマッハⅢを開発。

カワサキは新開発の2ストローク3気筒エンジンを投入し、目標としていた〈60ps〉〈トップスピード120mph(約200km/h)〉〈ゼロヨン加速12秒台〉を全て達成、その圧倒的なパフォーマンスを以てして、マッハⅢは見事世界最速のオートバイとなりました

▲新開発の2スト3気筒エンジン。リッターあたり120psを達成!
▲新開発の2スト3気筒エンジン。リッターあたり120psを達成!

しかし、直線の速さばかりを追ってしまった結果、マッハⅢは見過ごせないウィークポイントも孕むようになります。

まずは、車体の重量バランス。

カワサキは、真ん中のシリンダーが冷えにくいという3気筒エンジンの課題をクリアするため、マッハⅢのエンジン搭載位置を後ろへ下げました(走行風が当たるのを阻害する前輪から、エンジンをなるべく離すという考え方)。

すると、重量物が車体の後方に偏ってフロント周りが軽いので、マッハⅢは何気なくアクセルを開けただけで簡単にウイリーするようになってしまったのです。

▲一般的なバイクより前輪とエンジンの間隔が広い
▲一般的なバイクより前輪とエンジンの間隔が広い

また、フレームの強度やブレーキ性能がエンジンパワーに見合っていなかったことも、マッハⅢの欠点として挙げられます。

開発陣はエンジンの性能追求に没頭してしまい、その他の部分にまで手が回らなかったのかもしれません。

結果的にマッハⅢはその速さこそ認められたものの、「曲がらない」「止まらない」「まっすぐ走らない」と評されてしまうことになってしまいました。

しかしこの極端なキャラクターが、後々マッハⅢを特別な存在たらしめることになります。

あの“じゃじゃ馬”を乗りこなしたい!

一部のバイクマニアにとって、憧れの的となったのです。

一筋縄では乗れない(乗れなさそう)というイメージが逆にバイクファンたちの関心を集め、マッハⅢはいつしか後世に語り継がれるカワサキの名車となったのでした。

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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