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今宵は『250ccでも“漢カワサキ”のスタイル！Z250FT』をテーマにお話ししようと思います。

『Z2(750RS)』や『Z1000MK.Ⅱ』など、主にビッグバイクが中心のカワサキ・空冷Zシリーズ。

中型クラスだと『Z400FX』や『Z400GP』が有名ですが、実は250ccクラスにも空冷Zがあったのをご存知でしょうか。

こちらが、空冷Zシリーズの“末っ子”『Z250FT』です。

カワサキは1970年代後半、250ccクラスに２ストロークの『KH250』と４ストロークの『Z200』をラインナップしていましたが、２ストローク車が環境性能の観点から世間的に肩身が狭くなっていたこと、また、４スト単気筒のZ200がスペック的にやや物足りないと評価されていたことから、新たに250ccのモデルを作ることにしました。

そして誕生したのが、このZ250FTになります。

Z250FTで最も大きなトピックは、エンジンやフレームが専用設計されていたこと。

当時、250ccのオートバイというのは上位機種(400ccや350ccのモデル)のフレームをそのまま流用し、エンジンも排気量のみ小さくして使うという作られ方が一般的でしたが、カワサキはこのZ250FTの開発にあたり、エンジンもフレームもFT用にゼロから拵えたのです。

エンジンは、空冷OHC２バルブの並列２気筒エンジンを搭載。

エンジンの形だけ見ると、空冷Z系(空冷四発)の熱烈なファンには少々不満に思えるかもしれません。

しかし実際のところ、このFTのパラツインエンジンは専用設計されているだけあって完成度がとても高く、キャラクターとしては10,000rpmでピークパワーを絞り出す高回転型、さらに、そこへ至るまでの回転フィーリングもひじょうにスムーズなものとなっていました。

また、250ccのパッケージに合わせて作られたフレームも軽さと剛性のバランスに優れ、軽快感と安定性を高次元で両立。

このように、各部が専用で作られたFTのパフォーマンスは並々でなく、ヤマハ『RD250』やスズキ『RG250E』といったライバルの２スト勢にも負けず劣らずの鋭い走りを実現していました。

性能面以外で注目したいところは、なんといってもそのスタイリング。

Z400FX／750FXといった兄貴分と同様の「角Zスタイル」とされ、空冷Zシリーズの仲間であることがアピールされていました。

当時、250ccクラスには「性能もクオリティも低い」というようなイメージを持たれることも少なくありませんでしたが、Z250FTはスペック面でもルックス面でも、そうしたイメージを打破した存在と言えるでしょう。