オートバイのあれこれ『復刻すればヒットしそうなバイク選手権』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今朝は『復刻すればヒットしそうなバイク選手権』をテーマにお話ししようと思います。
1970年代以降、日本の二輪メーカーは急成長を遂げ、そのなかで多種多様なオートバイが現れては消えていきました。
大ヒットを飛ばして生産終了が惜しまれたバイクもあれば、マイナーな存在のまま消滅したバイクも当然あります。
そして今、私が注目したいのが、マイナーで終わってしまったオートバイ。
もう少し具体的に言うと「現役時代は流行や価値観に合わず脇役で終わったけれど、現在ならスポットライトを浴びそうなオートバイ」をあらためて考えてみました。
前回のスズキ『グース』に続き、今回はヤマハ『SDR』をピックアップします。
◆ヤマハ SDR
ヤマハが1987年(昭和62年)にリリースした2ストスポーツモデル『SDR』は、当時より今のほうが断然売れそうな気がします。
余計なモノが全く付いていないSDRは、最近の世の中で関心を集めているミニマリストな人(バイク乗り)にピッタリ。
2ストロークエンジン特有の環境性能の課題はもちろんあるのですが、それさえクリアすればSDRは今の世の中・今のバイク市場で厚い支持を得られそうです。
簡単にSDRのディティールを解説すると、造形の美しいトラスフレームにオフロードバイク由来のコンパクトな2スト単気筒エンジンを搭載。
車体は、原付のフルサイズモデルといわれても違和感が無いくらいスリムに仕上げられています。
車体を限りなく小さくまとめるため、タンデムスペースも排除されており、SDRは完全なシングルシーター(1人乗り)として設計されました。
車重は、市販オンロードスポーツモデルとしては異様に軽い105kg。
市販の4ストオフロードバイクよりも軽いくらいです。
SDRはこの軽さを武器に、タイトコーナーの続く峠道のようなシーンで圧倒的な敏捷性を見せつけてくれるバイクでした。
ライトウェイトスポーツを存分に味わえるモデルだったといえます。
しかし、SDRがデビューした80年代後半といえば「スペック至上主義」のレーサーレプリカブームの時代。
当時の風潮の下、SDRはその魅力・価値になかなか気づいてもらえず、わずか2年で姿を消してしまいました。
レプリカブーム期に登場してしまったことはSDRの不運といってよく、“性能”よりも“お手軽さ”が求められる令和の今こそ、SDRが活躍できる時代だと感じます。