オートバイのあれこれ『公道重視で闘ったカワサキ!GPX250R』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今宵は『公道重視で闘ったカワサキ!GPX250R』をテーマにお話ししようと思います。
1987年(昭和62年)、時はレーサーレプリカブーム。
ホンダ『NSR250R』やスズキ『RG250ガンマ』など、レーシングマシンと見間違うようなモデルが大手を振るっていた時代でしたが、そんななかにあってカワサキは、独自の路線でオートバイ作りをしていました。
つまり、前提がサーキット(レース)ではなく、公道(ツーリング)であるバイクの開発。
「一発の速さ」を求めたようなバイク作りに励むホンダ・ヤマハ・スズキに対し、カワサキは一般ライダーの“現実的な使い方”からピントをズラすことはしなかったのです。
そんなカワサキの姿勢から生まれたオートバイのひとつが、『GPX250R』でした。
外観としてはフルカウルスタイルで、人によってはレーサーレプリカ系に思ってしまうかもしれませんが、実のところGPXは一般ライダーが公道でスポーツバイクの楽しみを味わえる設計がなされていました。
極端な前傾姿勢を強いられないハンドルの高さ、面積を広めに取ったシート、防風効果を重視したカウルデザイン…。
GPXは、運動性に偏らない快適性・実用性もしっかり追求されたスポーツツーリングモデルだったのです。
エンジンは4ストロークのパラツイン(並列2気筒)エンジンで、2ストエンジンのような弾けるダッシュ力も、4スト4気筒エンジンほどのパワフルさもありませんでしたが、低速域からトルクフルに走りフラットにパワーがみなぎる特性は、ストップ&ゴーと低速走行が多い公道ではとても頼り甲斐のある武器となりました。
結局、GPXは当時のレプリカブームに押し流され消えていったものの、4ストパラツインエンジンは生き残り、90年代の『ZZR250』、2008年登場の『ニンジャ250R』、そして現行モデルの『ニンジャ250』へと受け継がれてきています。