オートバイのあれこれ『レースで大活躍した空冷Z!』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『レースで大活躍した空冷Z!』をテーマにお話ししようと思います。
現在も主に絶版バイクファンから絶大な支持を集める、カワサキの空冷Zシリーズ。
今回はその空冷Zの系譜において、レースシーンで有名になったモデルをご紹介しましょう。
『Z1000S』(『KZ1000S』)です!
絶版バイクファンの方なら、「エディ・ローソンのバイク!」とすぐに言い当てられるでしょう。
そう、このZ1000Sは、「ローソンレプリカ」こと『Z1000R』のモチーフとなったレーサー車両です。
Z1000Sは、Z1の頃の設計が大幅にアップデートされ「新世代のZ」として1981年に登場した『Z1000J』をベースに、カワサキがAMAスーパーバイク選手権(アメリカのロードレース)での勝利を目指して製作したマシンになります。
1気筒につき2本のスパークプラグが備わるツインプラグ式シリンダーヘッド、CRキャブレター、カーカー製の集合マフラー、そしてスタビライザー付きのスイングアームなど、パワーユニットから車体に至るまであらゆる部分がレース用にアレンジされていました。
一見、市販された公道仕様のZ1000Rと違いがあまり無いように思われますが、Z1000SとZ1000Rは外見は似ていても中身は別物で、構成パーツに互換性はほとんどありません。
レースでは、当時カワサキのライダーだったエディ・ローソンがこのZ1000Sを駆って81年のAMAスーパーバイク王者となり、その高い実力を見せつけました。
ピークパワーは135ps/11,000rpmと、当時の大排気量空冷2バルブエンジンにしてはかなりの高回転型。
Z1000Rが102ps/8,500rpmでしたから、Z1000Sはやはりレース専用のカリカリチューンドマシンだったといえるでしょう。
また車重もZ1000Rの222kgに対してZ1000Sは198kgと大幅に軽く、こういう数字を見れば見るほどZ1000SがZ1000Rとは“似て非なる存在”であることが分かります。
Z1000Sはレーシングマシンであり一般ライダーにはほとんど縁の無いバイクでしたが、それを模したZ1000Rは人気を博し、1982年の初期型(Z1000R1)に続き、83年には2型(Z1000R2)、そして84年にはスタイリングデザインのみ踏襲して排気量を上げた『Z1100R』が発売されました。
現在、Z1000RとZ1100Rは「角Z」の一端を担う空冷Zとして高い人気を誇り、販売価格もプレミア化しています。