オートバイのあれこれ『レース由来の空冷Z。』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『レース由来の空冷Z。』をテーマにお話ししようと思います。
数ある絶版バイク・旧車バイクの中でも、トップクラスの人気を誇るカワサキ・空冷Zシリーズ。
1972年登場の『900SUPER4』(Z1)に始まり、『Z1000Mk.Ⅱ』、『GPz1100』、中型クラスでは『Z400FX』などなど、いろいろなZが現れてきたわけですが、そのシリーズにおいて唯一、レーサーレプリカ的な出自を持つZがありました。
『Z1000R』です。
Z1000Rは、アメリカ人レーサーのエディ・ローソン氏がレース仕様の『Z1000J』でAMAスーパーバイク選手権(ロードレース全米選手権)のチャンピオンを獲得し、それを記念して作られたモデルになります。
ローソン氏が乗っていたマシンがモチーフなので、今もZ1000Rは「ローソンレプリカ」なんて呼ばれていますね。
そんなZ1000Rのディテールをひと言で説明するなら、「Z1000Jの特別仕様車」という表現になります。
すなわち、Z1000Jをベースにレーシングマシン風のアレンジが加えられているということ。
ビキニカウルが付いていたり、車体が鮮やかなライムグリーンに塗られていたりと、見かけ上はZ1000Jと全く異なりますが、その実、エンジンやフレームといった根幹の部分はZ1000Jからほとんど変わっていません。
Z1000Rならではの特徴としては、カーカー製の集合管マフラー、リザーバータンク付きのリヤショックユニット、段付きのシートなどが挙げられます。
ちなみに、ローソン氏は1981年に続き82年もZ1000Jレーサーを駆ってAMAの王者となり、カワサキもそれに応じて二作目のZ1000R(Z1000R2)を製作しました。
しかし、このR2が発売された83年はローソン氏がすでにカワサキからヤマハへ移籍していたことから、R2に関しては「ローソンレプリカ」ではなく、「スーパーバイクレプリカ」と呼ばれました。