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標高754メートル!九州で一番高い高原の駅 豊肥本線 波野駅(熊本県阿蘇市)

清水要鉄道ライター

熊本市と大分市を結ぶ豊肥本線は阿蘇のカルデラの中を走り、「阿蘇高原線」の愛称を持つ路線だ。熊本側と大分側の両端は都市近郊を走っていて本数が多いものの、県境を挟んだ宮地~豊後竹田間は、九州でも屈指の本数の少ない区間だ。特に宮地~豊後荻間は普通列車五往復と特急列車二往復しかない。

波野駅 待合所と時刻表
波野駅 待合所と時刻表

その区間の途中駅である波野駅と滝水駅は普通列車しか停まらないので、列車で行くのも一苦労だ。特に波野駅は5往復しかない列車のうち2往復が行き違いをするため、上下列車を組み合わせての訪問という手段も午後にしか使えない。豊肥本線の駅の中で最も降りにくい駅と言っていいだろう。

九州で一番高い高原の駅
九州で一番高い高原の駅

そんな波野駅は九州で最も高いところにある駅だ。標高は754メートル。周辺は高原の小集落といった雰囲気で、飲食店や観光施設は見当たらない寂しいところだ。

波野駅 駅名標
波野駅 駅名標

駅名は、平成17(2005)年2月11日の合併で阿蘇市となった旧:阿蘇郡波野村に由来する。村名と同じ駅名とだけ聞くと、村の玄関口のようだが、かつての村役場などがある村の中心へは隣の滝水駅の方が近い。ちなみに波野村は「オウム真理教を追い出した村」としても知られている。

波野駅 ホーム
波野駅 ホーム

波野駅の開業は昭和3(1928)年12月2日。当駅を含む宮地~玉来間は豊肥本線でも最後に開業した区間だ。車窓からは険しい地形を克服した苦労が感じられる。

波野駅 駅舎跡に建てられた待合所
波野駅 駅舎跡に建てられた待合所

開業時に建てられた木造駅舎は70年以上に渡って使われたが、平成12(2000)年8月16日22時10分頃に出火して焼失してしまった。代わりに建てられたのは駅舎ではなく簡素な待合所。建物財産標には「平成13年2月9日」の日付があり、再建まで半年近くかかったようだ。ちなみに2番ホーム側には待合所も屋根が無いため、この駅で雨を凌げるのはこの待合所だけとなっている。

波野駅遠景
波野駅遠景

列車で行くのも簡単ではない九州で最も標高の高い波野駅。店も施設もないところだが、「なにもない」を味わうために敢えて降りてみるのもいいかもしれない。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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