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「海岸駅」なのに森の中!?三陸屈指の秘境駅 三陸鉄道リアス線 白井海岸駅(岩手県下閉伊郡普代村)

清水要鉄道ライター

「白井海岸」

この駅名を聞いて多くの人が想像するのは、海のすぐそばにあってホームからも海岸を望むことができる美しい駅だろう。だが、実際の白井海岸駅があるのは海岸から離れた森の中。周囲には木々がうっそうと茂り、とても「海岸駅」という雰囲気ではない。ホームからは海をちらりと見ることができると聞いていたが、季節のせいか木々に遮られて残念ながら望むことができなかった。

駅前
駅前

駅前に人家は一軒もなく、もちろん人の気配もない。筆者が訪問した夕方には熊でも出そうな雰囲気だった。駅から最寄りの人家までは650mほどで、森の中の道を10分以上歩いて行かねばならない。車道こそ通じているものの、まさに「秘境駅」だ。秘境駅ブームの火付け役・牛山隆信氏の秘境駅ランキングでは堂々の第9位とトップ10入りを果たしている。東北にある秘境駅の中では最も順位が高い。

駅入口
駅入口

利用者数の少なさを示すかのように駅の設備もいたって簡素だ。三陸鉄道の駅はどこも締切可能ながっしりした待合室が設置されているのだが、この駅だけは例外で待合室がない。上屋があって雨をしのぐことはできるものの、その下のベンチは汚れていて長時間列車を待つには厳しい環境である。トイレも見ての通り、工事現場のような簡易トイレだ。

駅遠景
駅遠景

駅前の坂を真っすぐ下ると、白井の集落から白井漁港に至る道に突き当たる。津波を避けるためか白井漁港に民家はなく、白井の漁師たちは集落から車で漁港に通っているのだろう。集落と漁港の間を行き来する車はもちろんこの道を通るはずだが、漁に出る時間でも帰る時間でもなかったためか、筆者が駅に滞在していた30分ほどの間にこの道を通る人や車はなかった。

白井海岸駅と虹
白井海岸駅と虹

筆者が訪問したのはちょうど雨が上がった時間帯で、東の空には虹がかかっていた。列車が来るまでの約30分、幸いにも筆者は退屈することなく過ごせたが、メマトイという小さなハエがしつこく纏わりついてくるのには閉口した。暑い季節にこの駅を訪れるなら虫除け対策は必須だろう。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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