木造駅舎が出迎える大阪府最北端の終着駅 能勢電鉄妙見線 妙見口駅(大阪府豊能郡豊能町)
阪急宝塚線の川西能勢口駅から分岐する能勢電鉄妙見線。川西能勢口から数えて14駅目、その終着駅が大阪府最北端に位置する妙見口駅だ。古くより霊場として信仰を集めてきた妙見山への玄関口であり、妙見山への参拝駅として大正12(1923)年11月3日に開業した。今年の11月3日で開業百周年を迎える。
開業時の駅名は「妙見」で、昭和40(1965)年4月1日に「能勢妙見口」に改称されるも、わずか3カ月後の7月1日には「能勢」が外されて現在の「妙見口」になった。駅名の由来になった能勢妙見山へは直線距離で2.7キロあり、徒歩とケーブルカー、リフトを組み合わせて40分以上もかかるため、あくまでも玄関口として「妙見」の後に「口」を付けたのだろう。
駅舎は木造の小さなもので、昭和31(1956)年9月15日に建てられてから今年で67年を迎える。ホームの突き当りに建てられていて、改札越しに停車している電車の顔が見える光景は、終着駅らしい風情を感じさせてくれる。この駅から先、ケーブルカーの黒川駅まで延伸する構想もあったそうだが、結局実現しないまま終わった。
ホームは島式2面2線。1番線の反対側には降車用ホームもあるが、長年使われていない。ホームは4両編成対応だが、昨年12月17日のダイヤ改正で山下~妙見口間の列車のほとんどが折り返し列車のみになってからは、当駅にやってくる列車も2両編成が基本となり、ホームも持て余し気味である。
こじんまりとした駅前には2軒の飲食店があり、そのうち「かめたに本店」ではイノシシ料理を提供している。ししとじ丼は臭みもなくさっぱりした味わいだ。隣の「津の国屋」の名物は能勢牛うどんで、こちらも妙見口を訪れる人々に好評である。
駅周辺は大阪市の中心からわずか25キロのところとは思えないほどにのどかな雰囲気で、人が自然と共存してつくりあげてきた里山の風景を満喫することができる。列車の本数は10分に1本と多く、気軽に訪れることができるので、気分転換にはうってつけの場所だ。廃止を控えた妙見の森ケーブルを訪れる際は、少し時間をとって妙見口駅周辺を散策してみるのもいいだろう。