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廃止まであと2ヶ月!妙見の森ケーブル・リフトで妙見山への小さな旅

清水要鉄道ライター

来たる12月4日、能勢電鉄が運行する妙見の森ケーブルおよびリフトなどの妙見の森事業が廃止となる。ケーブルカーの廃止届が提出されたのは今年6月で、当初の予定では来年6月24日で廃止となるはずであったが、廃止日を繰り上げても公衆の利便を阻害する恐れがないと判断されたことから、廃止日が半年以上繰り上げられることとなった。これに伴い、ケーブルカーやリフトを含む「妙見の森」は廃止前日の12月3日(日)限りで営業を終了する。

廃止まではあと2カ月、近くに住んでいながら一度も乗りに行ったことのなかった筆者も妙見の森を訪ねてみた。妙見の森へは各社に加えてケーブル・リフトが乗り放題の妙見の森フリーパス(能勢電版1200円、阪急版1600円、大阪モノレール版2000円)が便利だ。

黒川駅
黒川駅

妙見の森ケーブルの始発駅・黒川駅へは能勢電鉄妙見線の終点・妙見口駅から徒歩約20分。上り坂が続くので、普段歩き慣れている人でも少ししんどいかもしれない。妙見口駅から黒川駅へは休日のみ阪急バスが20分間隔で運行しているが、「妙見フリーパス」では乗ることができないので注意が必要だ。バスの運賃は片道170円。平日はバスの本数が極めて少ないので、駅間を歩くことになる。

ケーブルで山上駅へ
ケーブルで山上駅へ

妙見の森ケーブルは平日は10時から17時まで、休日は9時20分から18時まで、いずれも20分間隔で運行している。多客期には本数が増えて10分間隔での運行だ。水曜日、木曜日は営業していないので注意が必要。ケーブルカーに乗ればおよそ5分でケーブル山上駅に到着する。

山上駅からは急坂
山上駅からは急坂

足湯も併設されているケーブル山上駅からは急坂を上ることになる。胸を突くような急傾斜だが、杖が用意されているのがせめてもの救いだ。坂を上り切ったふれあい広場には湧き水もあるので、そこで冷たい水を飲んで一休みするのもいいだろう。ふれあい広場にはバーベキューテラスもあるので、自然の中でバーベキューを楽しむこともできる。

北極星入口駅
北極星入口駅

ふれあい広場から少し上ったところには「北極星入口駅」というアート作品もある。創業当時の能勢電鉄の駅風景をモチーフにアーティストの鈴木貴博氏が制作したもので、インスタ映えスポットとして人気を集めている。ちなみに妙見の森がある妙見山は北極星信仰の聖地だ。

リフトのりば
リフトのりば

ふれあい広場からはリフトが出ている。標高差87メートル、全長0.6キロを12分かけてゆっくりと結んでおり、地面からの高さもそこまで高くないので、高所恐怖症の筆者でも安心して乗ることができた。リフトの下にはコスモスや彼岸花が咲いており、これからの季節は紅葉も楽しむことができるだろう。

妙見の森リフト
妙見の森リフト

戦前はリフトが結んでいる区間にもケーブルカーが走っていたが、戦時中に不要不急線として撤去され、昭和35(1960)年8月27日にリフトとして復活した。開業から60年以上が経過し、他の施設とともに老朽化が進んでいることが、廃止の理由の一つとして挙げられている。リフトの搬器は146台、背面には番号が振られているが、10台ごとにシルエットのイラストが違うので、乗車の際はチェックしてみよう。

妙見山駅
妙見山駅

終点の妙見山駅へは12分だが、開放的なリフトから見える妙見の自然を楽しんでいればあっという間だ。ここから能勢妙見山へは徒歩10~15分ほど。山道なので、足元には気を付けよう。

能勢妙見山
能勢妙見山

妙見山は奈良時代の行基によって開山されて以来、1200年以上の歴史を持つ仏教の聖地で、北極星を神格化した妙見菩薩信仰からその名が付いた。戦国時代には明智光秀や羽柴秀吉に攻められたこともあったが、江戸時代以降は日蓮宗の日乾によって真如寺が開かれ、近畿屈指の霊場として今なお多くの信仰を集めている。

展望台からの景色
展望台からの景色

霊場としての長い歴史を持ち、ハイキングでも人気な妙見山。夏も終わって段々と涼しくなる行楽の秋に、廃止の決まったケーブルとリフトで出かけてみるのはいかがだろうか。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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