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レストランおーやまが入居していた駅舎 廃止から4年半で解体 石勝線夕張支線 沼ノ沢駅(北海道夕張市)

清水要鉄道ライター

平成31(2019)年4月1日の路線廃止後も残されていた石勝線夕張支線 沼ノ沢駅の駅舎が解体中とのニュースが飛び込んできた。X(旧:Twitter)に上げられていた現地の貼り紙を見る限り、10月24日から工事が始まり、26日から覆われて工事が本格化したようだ。

駅舎
駅舎

沼ノ沢駅の開業は明治38(1905)年11月15日。北海道炭礦鉄道が真谷地炭鉱の開発を始めたことに伴う開設で、当初は貨物駅だった。明治39(1906)年10月1日に国有化され、明治43(1910)年8月16日に旅客営業を開始。その後、真谷地炭鉱までの専用鉄道も開通し、石炭の積み出し駅として隆盛を極めた。炭鉱の街・夕張の一角を担う駅として大いに賑わったものの、エネルギー政策の転換によって炭鉱が衰退すると駅も衰退の道を辿ることになった。

待合室
待合室

駅は昭和61(1986)年11月1日に無人化。北海道炭礦汽船真谷地炭鉱専用鉄道は炭鉱の閉山に伴って昭和62(1987)年10月13日に廃止となった。JR貨物の駅としても平成2(1990)年4月1日に廃止となって貨物取扱を終了している。残った旅客輸送についても、主要産業を失った夕張市の人口減少とモータリゼーションによって下降の一途を辿り、平成31(2019)年4月1日、ついに路線廃止に伴って沼ノ沢駅も廃止となった。

レストランおーやま
レストランおーやま

駅舎内の旧事務室部分には「レストランおーやま」が入居していた。帝国ホテルで修業したシェフが営むレストランで、夕張産の長芋を使ったハンバーグが名物だったが、駅廃止から一年以上が経った令和2(2020)年6月に閉店してしまった。閉店理由についてはJRとの賃貸契約の問題や店主の体調不良、コロナ禍など様々な理由が囁かれているが定かではない。

チキンカレー
チキンカレー

筆者が沼ノ沢駅を初めて訪れたのは平成27(2015)年12月26日。新夕張で特急スーパーとかち4号を降り、雪の中を40分歩いての訪問だった。冷えた身体にレストランおーやまのチキンカレーが美味しかったのを覚えている。他にも気になるメニューはあったが、当時は高校生だったので高くて手を出せなかった。また来ようと思っていたものの、結局レストランおーやまで食べる機会は二度とないままに閉店の報に接することになる。

ホーム
ホーム

ホームは単式1面1線と島式ホームを組み合わせた2面2線で、無人化後は単式ホームを盛土で埋めて島式ホームの片面を使用していた。炭鉱専用鉄道の分岐駅だけあって構内も広かったそうだが、そのほとんどが自然に還っていた。

沼ノ沢12:00発普通夕張行き2635D
沼ノ沢12:00発普通夕張行き2635D

夕張支線の廃止後、駅舎の解体は昨年11月上旬の清水沢駅以来2例目となる。残る駅舎は南清水沢、鹿ノ谷、夕張の3駅で、南清水沢駅は「そば天国村」、夕張駅は「カレーそば旭」とそれぞれ蕎麦店として活用されている。鹿ノ谷駅についても「合同会社鹿ノ谷駅」の手でイベントスペースへの改修が進められているため、残る3駅の未来は明るそうだ。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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