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橋上化のため2月21日から仮駅舎に 築117年の木造駅舎 山陽本線 竜野駅(兵庫県たつの市)

清水要鉄道ライター
竜野駅

幕末の老中・脇坂安宅(わきさか・やすおり)の治めた播磨国龍野藩の城下町で、素麵の産地として全国的に有名な兵庫県たつの市(旧:龍野市)。市名を名乗る駅としては山陽本線の竜野駅と姫新線の本竜野駅の二つがある。この二つの駅のうち歴史が古いのは竜野駅の方だが、竜野駅は市の中心から大きく離れており、平成の大合併までは龍野市ではなく、隣の揖保郡揖保川町にあった。

駅舎
駅舎

竜野駅は明治22(1889)年11月11日、姫路から延伸してきた山陽鉄道の終点として揖西郡揖保村揖保中に開業した。この駅はあくまでも仮駅で、翌23(1890)年7月10日の有年延伸に合わせて現在地に移転した。当時の地名は揖西郡神部村黍田で、明治29(1896)年4月1日の郡合併で揖保郡神部村となっている。神部村は昭和26(1951)年4月1日の合併で揖保郡揖保川町となり、平成17(2005)年10月1日に龍野市・新宮町・御津町と合併してたつの市となった。駅名の由来は城下町・龍野だが、長らくその隣町にある駅だったのは前述の通りだ。駅が開業した時に近くの大きな町の名前を駅名に採用して、その後の合併で同じ町内になるというケースはそれほど珍しいことではない。

駅舎内
駅舎内

駅舎は明治39(1906)年12月1日の山陽鉄道国有化時に建てられたもので、築117年1か月だ。兵庫県内の駅舎としてもかなり古いほうだが、橋上化工事に伴って2月21日から仮駅舎に移行する予定だ。残された時間はあと一か月しかない。駅舎内にはみどりの窓口が設置されているが、近年の合理化の流れから考えるといつ廃止されてもおかしくない。仮駅舎への移行か橋上化のタイミングで廃止されるということも考えられるだろう。

駅舎(ホーム側)
駅舎(ホーム側)

駅舎の外壁はモルタルで塗られているが、柱などは比較的昔の姿を留めている。山陽本線は幹線にしては木造駅舎が多く残っている路線で、近隣にも英賀保(あがほ)駅や上郡駅などに木造駅舎が残っている。

ホーム
ホーム

ホームは単式2面2線。かつては2面3線だったが、島式ホームの2番線が撤去されており、かつての3番線が2番線に改番されている。平成5(1993)年には駅を跨いで駅前と駅裏を結ぶ歩道橋が設置された。この自由通路に直結する形で橋上駅舎と地域交流センターが建設される予定で、合わせて駅前ロータリーの整備も行われる。新駅舎は令和7(2025)年度完成予定だ。

鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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