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木造駅舎とみどりの窓口が残る線内唯一の交換可能駅 名松線 家城駅(三重県津市白山町)

清水要鉄道ライター
家城駅

松阪牛で有名な松阪市と山間の津市美杉町の伊勢奥津とを結ぶ東海屈指のローカル線・名松(めいしょう)線。全長43.5キロのほとんど中間地点・松阪起点25.8キロのところに位置するのが家城(いえき)駅だ。起点の松阪を除けば唯一の有人駅かつ列車の行き違いが可能な駅で、一日6回列車の行き違いが行われるだけでなく当駅を起終点とする列車も運行されている。

駅舎内
駅舎内

ローカル線の小規模駅だけでなく大都市近郊の駅ですら無人化やみどりの窓口の閉鎖が行われる昨今ではあるが、家城駅にはまだみどりの窓口が残されている。営業時間は5時30分から20時20分と早朝から開いているものの、列車の到着・発車時に駅員が運転扱い業務をする関係で間に閉鎖時間が多く設けられている。

閉鎖時間は5時50分から6時、6時15分から7時、7時15分から7時35分、8時から9時30分、9時55分から10時30分、11時から11時35分、11時55分から13時10分、13時35分から14時20分、14時30分から14時40分、15時35分から17時20分、17時40分から18時10分、18時40分から19時55分だ。当駅で行き違いを行う列車の中には数分間停車するものもあるが、停車時間に窓口で切符を買うことはできないので旅行者にとっては利用難易度が高い窓口だろう。

駅舎内 中央の案内板の後ろにあるのがチッキ台 小荷物の運送も鉄道で扱っていた時代の名残だ
駅舎内 中央の案内板の後ろにあるのがチッキ台 小荷物の運送も鉄道で扱っていた時代の名残だ

駅舎は昭和6(1931)年9月11日開業時に建てられたもので、木製の引き戸や昔ながらの窓口、チッキ台などに昔ながらの姿を色濃く残している。駅舎内には近くにある白山高校の生徒が名松線の魅力を伝えようと制作した青春ポスターが貼られている。

駅構内
駅構内

構内は相対式ホーム2面2線。駅舎側の1番線(左)が伊勢奥津方面、反対側の2番線(右)が松阪方面だ。ホーム間は構内踏切で結ばれている。ホームは長くとられているものの、列車は基本的に単行か2両編成なので、端部は閉鎖されている。

ホーム
ホーム

駅周辺はかつての一志郡南家城村で、明治の町村制で一志郡家城村となった。昭和15(1940)年11月3日に隣の境村を編入して町制施行、一志郡家城町となっている。昭和30(1955)年3月15日に川口村・大三村・倭村・八ツ山村と合併して一志郡白山町となり、平成18(2006)年1月1日に津市と合併した。白山町内には名松線と並行する形で近鉄大阪線も雲出川対岸を走っており、そちらの方が列車の本数も多い。普段は近鉄線を利用する住民が遠方へ行く際に、鶴橋や名古屋から先のJRの乗車券を家城駅のみどりの窓口で購入するという需要もそれなりにあるようだ。

名松線
名松線

列車の本数は1~2時間に1本と少なく、JR東海の路線の中でも特に利用者の少ない名松線。国鉄時代には廃止方針が打ち出されたものの、地元の反対で存続し、幾度にもわたる台風での不通も乗り越えた。中京圏や関西圏からも日帰りで乗りに行ける路線なので、18きっぷでの旅行先を決めかねている方は乗り行ってみてはいかがだろうか。

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鉄道ライター

駅に降りることが好きな「降り鉄」で、全駅訪問目指して全国の駅を巡る日々。

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