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『運動会楽しみだね!』はNG発言!!保育士は見た!プレッシャーを感じる現代の子どもたち

さっこせんせい子育てママ応援隊

もうすぐ運動会!というご家庭は多いのではないでしょうか?各園や学校でも、運動会行事に向けての練習が増えていきます。そんな中で親や先生がつい言ってしまうワード『運動会楽しみだね』『頑張ろうね!』

行事に向けてモチベーションを上げるためにかけているこの言葉に、プレッシャーを感じてしまう子どもは少なくありません。

私が11年の保育現場で見てきた子どもの姿を事例にあげ、なぜいけないのか、どんな言葉をかけたらいいのかをお話していきます!

▷かけっこの順位を気にする3歳児

運動会の練習は先生にとっても子どもにとってもハードなものです。親御さんたちに子どもの頑張る姿を見せたい一心で、先生たちの指導にも熱が入ります!

私が担任ではなく、年少児補助の立場で勤務していた時のこと。3歳の男の子が運動会練習の前にこんなことを私に伝えに来ました。

『せんせい、1位じゃなくてもいい?』

私はとても驚きました。年少はリレーではなくかけっこの競技です。グループに分かれて笛の合図で一斉にスタート。最後まで走りぬくことが目標でした。しかし男の子は《1位になれないこと》に不安を感じていたのです。

「かけっこは自分の力で走ることが大事!何番かは気にしなくていいよ!〇〇くんは最後まで走れそう?」

そう伝えると、表情がパッと明るくなって「最後まで走れるよ!」と言い練習に合流していきました。1位でなくても、最後まで走ればいいのならできると思い安心した様子でした。

▷行事当日に登園拒否をした子

私が新卒1年目に受け持ったクラスでの出来事です。この時は運動会ではなく、生活発表会のときでした。なにごともなく順調に劇の練習を進めていき、本番当日の朝に職員室の電話が鳴りました。

電話は私のクラスのお母さんからで、「今日はお休みします」という連絡でした。電話の向こうからは子どもの泣き叫ぶ声が聞こえました。ワケを聞くと『劇の舞台に立つのが怖いから、幼稚園に行きたくない』というのです。

とても衝撃でした。その子は普段の練習も他の子と変わりなく楽しく参加している様子だったからです。

最終的に「舞台には上がらなくてもいいから、劇を見に来て欲しい」とお願いしたところ登園することができ、園でお友達の姿を見て安心できたのか、舞台に上がりみんなと一緒に劇に参加することができました。

▷プレッシャーを感じる繊細な子どもたち

行事前、子どもたちは大人の私たちが思っている以上にプレッシャーを感じている子がいるということです。「たかが園の運動会」「競争するものではない」「楽しいもの」そう私たちが思っていても、子どもたちの中には、緊張や不安で押しつぶされそうな子がいるのです。

あなたのお子さんはどうですか?

本当に運動会を楽しみにしていますか?

本来楽しいはずの行事に、子どもたちがプレッシャーを感じる原因となることは何だと思いますか?それは、先生や親からかけられる何気ない言葉かけです。

たとえばこんな声かけ↓

「運動会楽しみだね!」
「練習どうだった?うまくできた?」
「かけっこ1番すごい!」

どれも良く子どもにかけるなんでもない言葉です。しかしそこには無意識な圧力が存在しています。

◆「運動会楽しみだね」

運動会を楽しみにしているかどうか、まずは子ども自身の気持ちを確認する必要があります。もしかしたら、ひとりだけ踊りの練習がうまくいかなくて不安を感じているかもしれない。走ることに苦手意識を感じているかもしれない。

まずは「運動会の練習はどう?」や「楽しい?」と本人に問いかけてみてください。その時に注目するのは、子どもの表情です!楽しみにしている子はすぐに返事をしてくれ、表情も明るいはず。逆に言葉に詰まって返事をすぐにしなかったり、一瞬表情が曇る子もいます。そのような反応をした子に対しては、行事に向けて「楽しみだね」という声かけは避けた方がいいです。

◆「うまくできた?」

行事で大切なのは、

・人前で自分を表現する経験
・自分のできるところまでやりきる経験
・仲間と協力する経験

決して『うまくやること』ではないんです。失敗したっていいはずなのに「うまくできた?」の一言で《うまくやらなければいけない》《失敗はしてはいけない》と子どもが思い込んでしまうようになります。

もちろん大人もそんなつもりで声はかけてないはずです。ですから、この言葉もなるべく言わないように気を付けたいですね。

◆「1番!すごい!」

これもかけっこや勝負事のときについ言ってしまいがちな【結果褒め】の言葉です。結果を褒め続けると、結果がダメだった時に諦めやすくなったり、自己肯定感が低い子になりやすくなります。大事なのは結果ではなく、最後まで走りきった【過程】にあるはずです。

事例で話した「1位じゃなくてもいい?」と聞いてきた男の子はまさに結果を気にするあまり、走ることを楽しめなくなっていました。

▷そんなこと言われたら、何も声かけられなくなる…

ほんとそうですよね(苦笑)声をかけるうえで大事にしたいのは、

①まずは行事に対してどのような気持ちで取り組んでるのかを知る声かけ

「今、園でどんなことしているの?」と、行事の練習の様子を聞いたり、楽しみかどうかを確認して、楽しみにしている子に対してはもちろん「楽しみだね」の共感の声かけはOKです!

楽しみにできていない子に対しては、何が不安なのか、なにが楽しめないのかを聞いてみてください。そのとき絶対に否定はせずに、その気持ちを受け止めます。場合によっては、園や学校の先生と情報を共有して、お子さんが楽しめるように協力をしてもらう必要もあるかもしれません。

②本番までは、過程を認め続ける声かけをする

「今日は曲の1番まで輪の中にいられたんだね」「ゴールまで走れたの?」と、できたところに視点を当てて声をかけます。過程を褒めてもらえると、子どもは安心して取り組めるようになります。

劇の事例の子が本番当日に登園拒否したのは、きっと担任の私自身が「上手にできたね!」と子どもたちに【結果褒め】ばかりしていたことが原因だったのではないかと、反省をしました。うまくできることが大事ではないです。親としても、友達と一緒に行事に参加できればそれで十分ですよね?

③行事が終わったら【過程】を褒めて【結果】を認める声かけ

行事をやりきれたのは、【頑張った過程】があったからです。必ず、今まで頑張ったことを褒めてから【結果】を認めてあげたいですね。

「1位!すごい!」がダメだと言われると、「1位になったことを褒めてはいけないの?」と思われたかもしれませんが、そんなことはありません。しかしその場合も、必ず過程を認めてから褒めてほしいんです。

『1位嬉しいね!練習毎日頑張ったからとれたんだね

といった感じです。

運動会が終わった後の声かけとしても

『運動会どうだった?』と子どもに感想を聞き「楽しかった」という返事が返ってきたら

『今日まで練習を頑張ってきたから楽しめたんだね!』

というように、頑張ってきた過程に視点を当ててから、結果を認めるようにしていけると、子どもは行事を心から楽しめる子に育っていきます!

まとめ

子どもが行事を楽しみにしている場合は、声掛けについてほとんど気にすることはないと思います!中にはプレッシャーや不安を感じる子どもがいます。ママパパにはぜひ、自分のお子さんがどちらに当てはまるのかをはじめに見極めていただいてから、行事に向けての声かけをしていってもらいたいと思います。

どの子も運動会に向けて楽しく過ごしてほしいですよね☆

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子育てママ応援隊

ママの子育てのイライラを軽減したいという想いでInstagramで発信しています。 保育歴11年ママが「子育てのなるほど!」を投稿! 子どもの困った行動やママの心配事、子育てのイライラ… 子育てのコツがわかるとママの心が軽くなる♪

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