ショートフィルム

令和初の参院選狂騒曲 N国 安楽死 野末陳平も 泡沫と切り捨てられた候補者たちの闘い

佐野達也

演出・プロデューサー

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2019年7月21日。令和になって最初の国政選挙。各政党に張り付き闘いの様子を記録した。大政党ではなく、メディアに取り上げられることのない、諸派や泡沫候補たちの闘い。候補者の叫び、聴衆の叫び、汗、熱狂。選挙戦の熱い記録。

<参院選を、投票前日の1日だけ、スマホのみで撮影する>
そんな実験がしてみたくて、作品づくりに取り組んだ。5人のスタッフで同時に多発ロケ。結果的には1DAYのみの取材は無理だったが、スマホのみで撮影は貫けた。取材対象との距離感が近いのではと勝手に思っている。
そこは、生の熱狂が行き交う、その瞬間でしか撮れない現場だった。日本の今が見えてくる現場だった。

<一寸の虫にも五分の魂>
で、出会った人がいた。
無所属、西野貞吉氏、83歳。元はタクシードライバー。自らの「年金受給額」が減ったことに怒りを覚え、消費税廃止を公約一丁目一番地に掲げ、選挙に打って出た。
参院選に出馬するには、300万円の供託金を納めなければならない。組織力や資金力が必要となってくる。そこが、誰しもが簡単に参加というわけにもいかないところ。でも彼はその供託金を払った。過去の出馬を含めると、今までに3度も…
「資金はどうしたのか?」
「俺は、ギャンブルも女もやらない、金を貯めた」
なんと、こつこつ貯金して出馬していたとは、驚いた。たとえ1人だろうと、衆目の前で、言いたいことを言う。違っていると思うことを正す。自分の主義主張を「叫ぶ」。そういう選挙の姿、闘い方があるのだと気付かされる。
広さ2畳ほどのウィークリーマンションが西野氏の選挙事務所。事務所の壁に掲げられた標語が印象的だった。
「一寸の虫にも五分の魂」

<ワンイシュー政党たち>
一方で、今回僕たちは「NHKから国民を守る党」(以下、N国)の議席獲得という瞬間にも立ち会った。東京選挙区からN国の公認候補として出馬した大橋昌信氏(43歳)は、元はトラック運転手。
「立花代表と出会うまでは、何かに情熱を傾けたことがなかった」との言葉が印象的だった。
「安楽死制度を考える会」の佐野秀光氏(48歳)への取材も心に残るものだった。幼少期から糖尿病に悩まされてきた彼にとって、死への恐怖は、いつも隣りあわせだったに違いない。
「自分の死を、コントロールできたら楽だろうなって」
死を見つめ直しませんか-という、ワンイシュー。しかし、これもまた、心の「叫び」に違いない。
今回の立候補者の中で最高齢、御歳87歳の無所属、野末陳平氏も話を聞いた。
「今の時代、無所属は勝てない。でも言いたいことを言う」
負けるとわかっていても、闘う人たちの姿は、清々しくもある。

<選挙は所詮、多数決。その結果が最適解だとは限らない>
それぞれの政党の演説を追いかけるため、都内各所を分刻みのスケジュールで動く。候補者の叫び、聴衆の叫び、汗、熱気。人酔いしながらも、5人のスタッフはスマホをかざし続けた。
結果は、史上二番目に低い投票率48.8%に終わった令和最初の参院選。有権者の半数が投票を放棄した。野党は伸び悩み、山本太郎の新党は議席を確保し、安倍自民は盤石を維持した。
取材を終えて思った。民主主義の根幹であるとされる「選挙」は、たしかに公平な仕組みなのかもしれないが、所詮は多数決に過ぎない。多くの支持を集めたからといって、その政党が正しいとは限らない。日本を良くするとは限らない。勝てば官軍ではない。選挙で勝つとは、反対意見の人たちもひっくるめての代表になるということ。そんな謙虚で成熟した大人な姿勢がないと、この政治制度は、どんどん悪用されるだろう。
でも、とりあえずは、このやり方が、一番誰しも納得のいく仕組みであることは確かだから、今の間にこそ、この選挙というコンテンツを楽しんでいただきたいです。


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本作品は【UPDATE DOCUMENTARY PROJECT】で制作された作品です。
【UPDATE DOCUMENTARY PROJECT】の他作品は下記URLより、ご覧いただけます。
http://original.yahoo.co.jp/collection/movie/feature/updatedocumentary/
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