旅行・グルメ・おでかけライターのsatochinです。北杜市白州町にある江戸時代から続く山梨銘醸「七賢」。その隣には七賢が運営する地元食材と仕込み水を使用した発酵料理がいただける食事処「臺眠 （だいみん）」があります。ひとくち食べると身体が喜ぶのがわかる優しい料理の数々。グルメな人にこそ訪れて欲しいお店です。

1750年創業の山梨銘醸「七賢」

北杜市白州の上質な伏流水を仕込み水とし、江戸時代から日本酒造りをおこなっている七賢。八ヶ岳を訪れたら是非訪れたいスポットです。中央自動車道小淵沢IC又は須玉ICから車で約20分。旧甲州街道沿いにあるかつての宿場町「台ヶ原宿」に七賢はあります。

有料の試飲も行っていて、ちょっと手を出しづらい高価なお酒も500円で試飲できます。(飲んだら気に入って買ってしまうかもしれませんが）

また、蔵元ならではのお酒が購入できるのも、こちらに立ち寄りたい目的のひとつ。

歴史のある酒造は建物もとても興味深く、貴重な美術品や郷土資料を米蔵を改造した伝奏蔵（でんそうぐら）に展示しています。

明治13年の明治天皇ご巡幸の際には、母屋の奥座敷が行在所（あんざいしょ）ご指定され、こちらに宿泊されました。

伝奏蔵と行在所は案内スタッフ同行で見学ができます。

七賢直営レストラン「臺眠」

酒蔵の隣にあるのがレストラン臺眠（だいみん）。お酒を買いに来た人や蔵見学に来た人が食事できるよう2000年にオープンした古民家レストランです。

明治初期の家屋資材を再利用して建てられた店内は、木の温もりが感じられる落ち着いた雰囲気。テーブルも酒樽の蓋を再利用しています。

席に座ったら、まずはテーブルの上に用意されている仕込み水で喉を潤しましょう。やさしい軟水の仕込み水は口にふくむとまろやかな舌触り。雑味のない澄んだ八ヶ岳の空気のようでありながら、かすかに甘さが残ります。

こちらでいただけるのは地元食材を、酒蔵らしく発酵のワザを活かし、仕込み水で調理したお料理。

銀だらの醤油糀づけ焼き、牛サーロインの味噌漬け、わさびの醤油づけなど、自慢の料理がすべて食べられる臺眠御膳は2,850円。

そこまでボリュームがなくてもいいという人は、鮭の糀づけ定食（1,850円）がオススメ。他にも、甲州豚の塩糀づけ焼き定食（2,300円）、麦とろ定食（1,750円）、臺眠ビーフ定食（2,300円）などがあります。

一品料理もあるので、ドライバーでなければ日本酒と一緒に味わってもいいですね。

鮭の糀づけ定食実食！

筆者は鮭の糀づけ定食をいただきました。

メインは鮭の糀づけ。塩鮭を糖化した酒造用糀（甘麹）に20日間漬け込んだ、七賢伝統の味です。ひと口食べてビックリ！口の中に広がる芳醇な麹の甘い香り。普段食べている粕漬けとは全然違います。

身は箸でやっともてるくらいのデリケートなやわらかさ。ほろりと口の中でほどけ、噛まなくても食べられます。これは飲めるかも。飲む酒ならぬ鮭。

麹の香りはするけど、決して鮭の味がなくなっているわけではないです。朝食の定番の焼鮭が高級料亭で出されてもおかしくない上品な焼鮭になっています。

厚焼き卵は甘い味付け。醤油麹を使用してるとか。

田舎汁は野菜と鶏肉の旨味が出たシンプルなお吸い物。お出汁の昆布もよくきいています。体に浸透していくような優しい味です。

旬野菜の小鉢はちぢみほうれん草でした。通常のほうれん草より歯ごたえと甘味が強い。

他に吟製おから、麦ご飯、奈良漬けのような味わいの漬物、デザートの酒粕の寒天寄せは、甘酒を固めたかのよう。

どれも食材のもつおいしさを十分に引き出し、舌と体が喜び、体の側から浄化されるような料理の数々でした。

普段おいしいものを食べ歩いている人ほど、このシンプルだけど手間がかかっているお惣菜に感動するはず。

鮭の糀づけはショップで購入できたので、家族へのお土産として購入するくらい気に入りました。

ついでにここでしか買えない、しかも今しか買えないというしぼりたての生酒も購入。キリリと冷やして自宅でいただきました。最初自分には甘味が強すぎるかなと感じましたが、酢味噌をかけた富山産のホタルイカと一緒に食べたら、バツグンの相性でした。お料理の味を際立たせてくれる日本酒です。

八ヶ岳方面に出かけたら、立ち寄りたいお店です。