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【山口市】紙漉き体験で色紙を作ってきました IN 重源の郷

SAYAKAフリーライター(山口市・宇部市)

春の桜や、秋の紅葉の時期に注目されることが多い「重源の郷(ちょうげんのさと)」は、東大寺再建の責任者に任命された重源上人の業績を伝える施設として、平成10年山口市徳地にオープンしました。園内には、藍染め・紙漉き・木竹細工・機織りなどの体験工房、子供たちのためのアスレチック施設、食事処・甘味処があります。徳地といえば、県内でも特に寒さ厳しい地域ですが、その分、真冬には密を避けてゆったり過ごせる場所とも言えますね。今回は、紙漉き体験に行ってきました。

中国自動車道 徳地I.Cより約10分、看板に沿って山道を進んでいくと広い駐車場が見えてきます。「歓迎館」と看板があるところが入り口です。ここで受付をします。入郷料は、大人520円、子供(小・中学生)310円です。ここからクラシックバスで送迎していただけます。

無料送迎バスは、入口の「歓迎館」から、郷の中心部「とくぢ浪漫」を結んでいます。この日は雨模様で足元が良くなかったので、バスがありがたいです。

約5分で中心部に到着です。バスを降りて、階段を上っていくと「白波」という建物があります。ここが、紙漉き体験の建物です。

中に入ると、そこは紙漉き工房。

紙漉きの体験メニューは4パターンあり、どれでも550円です。しおり、はがき、色紙の3種類の大きさから選べます。

私は色紙を作ることにしました。色紙の大きさの木枠には、すでに薄く紙が漉いてあります。ここに装飾を置くところから体験が始まります。

装飾用の切り紙は、おひとり20枚まで。いろんな形の切り紙があるので、デザインを考えながら選んでいきます。散らしたり、集めて模様にしたり、配置を考えるのに時間がかかりました。

なんとかデザインが決まりました。一度置くと、もう動かせないです。

まずは紙を漉く練習です。紙の原料が入った水槽で、スタッフさんが説明しながらデモしてくれます。そして自分でも練習用の木枠をもって紙の原料をすくってみます。すくってすぐに左右に振って均一にならすのが、けっこう難しい。せっかく置いた装飾を崩さないように静かに振らなければいけません。

スタッフさんのデモンストレーション
スタッフさんのデモンストレーション

この紙の原料は、ミツマタという植物です。茶色の皮を削り取っているので白くなっていますが、もともとは茶色い細い枝です。

紙の原料のミツマタ
紙の原料のミツマタ

茶色いのがミツマタの枝で、右の白いものが茶色の皮を削って平らにしたものです。

工房前に、ミツマタが植えてあるとのこと。見てびっくり!こんなに小さくて細い木なんて!これから紙を作るの?!どれだけの量がいるんだろう!?って思いますよ。漉いた紙って、とても貴重なのですね・・・。

お庭にあるミツマタの木。
お庭にあるミツマタの木。

水槽の原料を3度ほどすくってならしたら、完了です。このあとは脱水、乾燥へと入ります。ここからはスタッフさんにお任せします。

ちなみに、作業前にスタッフさんが、温かいお湯が入ったボウルを持ってきてくれます。特にこの寒い季節は、水仕事で手が冷えきってしまうので、こうしてお湯を用意して作業するとのことでした。たった3回すくっただけで、手はピリピリするくらい冷えてしまったので、このお湯は本当にありがたかったです。念のため「この紙の原料をお湯にしたらだめですか?」と聞いてみましたが、冷水じゃないといけない理由があるそうです。良い物を作るためには楽できないですね。

お湯が入ったボウルを用意してくださいます
お湯が入ったボウルを用意してくださいます

脱水用の設備でしっかり水を切ります。

そして、80度に熱した鉄板に貼り付けてゆっくり乾燥させます。あまり熱い温度だと波打ったりして変形してしまうのだそうです。

立派な色紙ができました!

最初の説明を聞くところから出来上がりまで、所要時間は約1時間くらいです。漉いた紙を脱水乾燥するのに30~40分かかりますので、その間はお土産を見たり、他の体験をしたり、お食事処で休憩したりしてお過ごしください。

こちらの工房の中には、紙の商品がいろいろ販売されています。私は書道が趣味なので、興味深く見せていただきました。引き出しの中にもいろんな手漉き和紙があって、眺めるだけでも楽しいです。

こちらは機械漉きの紙です。手漉き和紙に書く前に、機械漉きの紙で練習したりします。とはいえ、こちらでも充分に良い紙です。

和紙ができるまでは、紙の原料を伐採するところから始まり、16工程もあるそうです。紙漉きはその13番目の工程なので、もうほぼ最終段階ですよね。手漉き和紙はとっても高級なのですが、その理由が分かりました。

お帰りの際には、スタッフさんに声をかけると、送迎バスを呼んでいただけます。この日は寒かったのでバスに送迎していただきましたが、季節によっては、木々や花々を眺めながら歩くのも良いなと思いました。

真冬の寒い日でも、送迎があって、体験工房の中は暖かいので快適に過ごすことができます。自然の中で物作りをする時間は、気分転換になり、癒しの時間になりました。

家に帰って、自分で漉いた和紙に和歌を書いてみました。なかなか書き良かったので、また作りたくなりました。今度は書くものに合わせて装飾を考えてみよう♪

「雪のように積もるというあなたの想いは、春になればなくなってしまうのでしょうね」という意味の和歌。
「雪のように積もるというあなたの想いは、春になればなくなってしまうのでしょうね」という意味の和歌。

真冬の「重源の郷」もなかなか良いと思いませんか?ただし冬場の山道は凍りやすいので、道中お気をつけて!

時を越えた夢工房 重源の郷
●営業時間
[夏期]5月~10月/9:30~17:00
[冬期]11月~4月/9:30~16:30
●定休日水曜日(祝日の場合はその翌日)
12月から2月の間、毎週水曜日の定休日に加え、毎週火曜日も休業いたします。
(祝日は営業。翌日休業)
●年末年始12月28日から1月3日までの間、年末年始のお休みをいただきます。
●入郷料大人/520円 子供(小・中学生)/310円 
(団体[20名以上]の場合・大人/410円 子供(小・中学生)/210円)
障害者/半額 ※購入時に手帳を提示ください。

フリーライター(山口市・宇部市)

日常のほんのちょっとした愉しみを探していきます。趣味はヨガとピアノと書道。アロマ&クレイセラピスト、美容食学研究家。

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