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【姫路市】幻の「姫路木綿」を見られたり、藍染め体験ができたり、天然素材に囲まれる

千姫文筆家・ライター講座講師・モデル(姫路市)

姫路の特産が木綿だったとは――。江戸後期、姫路藩から全国に流通していたというのです。しかし明治になると輸入品の影響で下火に。時を経て、今、船丘町の木綿製品店「棉屋(わたや)」代表・澤田善弘(ニックネーム:棉屋善兵衛)さんが、「姫路木綿」を復活させようとしています。店内では藍染め体験ができるほか、藍染め、草木染めのストールの販売も。

綿花業に携わって140年余

棉屋の歴史は古く、善兵衛さんの曽祖父が明治13年から綿花卸業を営んでいたのが起源です。店舗は大正10年に建築された祖父の住居を再利用。

手前は「藍染め体験」ができるスペース
手前は「藍染め体験」ができるスペース

屋内は温かみがあり、ゆったりした時間が流れています。土間から天井まで8m、冬の寒さをしのぐための「だるまストーブ」も置いてありました。愛らしい。

だるまストーブ
だるまストーブ

善兵衛さんから、「棉」は木になっている植物の状態、「綿」は糸になっている状態との違いも学びました。屋号には「棉」が使われていますね。

この状態は木になっているから「棉」
この状態は木になっているから「棉」

「姫路木綿」の復活へ

姫路市夢前町で和綿の種をまき、農薬を使わない方法で「姫路木綿」の栽培を始めたのが6年ほど前。JASマークの認証も受けています。今年3月には、姫路藩時代の専売所と同じ名の「御国産木綿会所」を店内に開設、気軽に木綿に触れられる場にしたそうです。

姫路木綿
姫路木綿

「姫路木綿」は白さが際立ち、ふわふわ。それでいて、木綿自体に意思がある印象。「この木綿からなる製品を身にまとってみたいなぁ」と願ったのでした。というのは、製品化されるのは時期尚早とのこと。千姫は、善兵衛さんの言う「そのとき」を待っています。

※9月3・4日10:00~16:00、アクリエひめじで開催される「Arcreaみらいラボ」に出店。姫路木綿の糸紡ぎに挑戦できます(500円)。

天然の藍で染める体験教室

「藍染め体験」(要予約・2750円)も随時、受け付け中。店舗が用意したエコバッグかストール、またはTシャツやバンダナなどを持ち込んで、天然の藍で染めていきます。所要時間は約2時間。
【藍染め体験ダイジェスト版/ストール編】
①藍甕にストールを入れて、くゆらせる。

ゆ~っくり、丁寧に
ゆ~っくり、丁寧に

②濃くしたい部分を何度か浸す。

今回、濃くするのは半分くらい
今回、濃くするのは半分くらい

③水で洗う。

余分な藍を取り除くため、勢いよくバシャバシャと
余分な藍を取り除くため、勢いよくバシャバシャと

④アルカリ性から中性に戻し、色を定着させる目的で酢酸液につける。

⑤出来上がり。

藍に浸した直後は緑色だったのに、酸化すると青色になるなんて(緑色を見逃した人は、ダイジェスト版①へリターン)。濃淡をつけると粋な風合いになるなんて。
絞り柄やムラ染めなど、さまざまなアレンジも可能です。

色彩豊かなストールで着こなしアップ

一角には自家製造のストールコーナーがあります。藍染めや草木染めで色とりどり。綿の心地よさを体感できるアイテムとして、いいですね。

ストール(2000円~)
ストール(2000円~)

糸を紡ぎながら穏やかな口調で、しかし熱く木綿の未来を話す善兵衛さん。人との縁も紡いで“ワタトモ”の輪が広がり、「姫路木綿」が完全復活する日は近いのではないでしょうか。

棉屋
住所:兵庫県姫路市船丘町296
電話番号:079‐294‐5555
営業時間:10:00~19:00
定休日:水曜
駐車場:あり

文筆家・ライター講座講師・モデル(姫路市)

大好きな姫路のまちを、さらに元気に―。その一心で執筆をしています。千姫自身の率直な感想と取材で得たこぼれ話などを通して「ここに行きたい!」と心が動く場所を紹介していきます。元新聞記者、モデルとしてはファッションショー・ヘアショーに出演。 Yahoo!ニュースエキスパート2023年10月、11月、2024年3月 地域クリエイターMVA受賞

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