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【姫路市】320年前に建てられた蔵が「片岡家蔵 きなり」に! 息づく歴史を感じて非日常なカフェ時間を

千姫文筆家・ライター講座講師・モデル(姫路市)

姫路市網干区新在家500-7。外観には「三影カメラ店」、婚礼・見合・写眞の表示が。近づいてようやく、ひそやかにCAFE KINARIの看板が掲げてあるのを見つけました。9月23日から、「片岡家蔵 きなり」として新たな物語が始まっています。

店主の蔵への思いが詰まったカフェ

姫路市内の町屋で最古級とされる母屋とともに、1702(元禄15)年に建てられた「旧龍野藩大庄屋片岡家」の米蔵。米蔵は1958(昭和33)年から2000年ごろまでカメラ店だったので、外観表記はそのままに。

内装は昔の趣を残しながらも整えられていて、心が安らぎます。

当時の梁が使われているほか、蔵の2階に使用していた床材を天井部分に。天井を見上げると「改」?の文字を発見しました。

天井
天井

カウンター付近はカメラ店の暗室だったところ。
今あるカフェの存在だけでなく、蔵、カメラ店と受け継がれてきた歴史を感じます。

店主が古いものとカフェが好きだったことから、さまざまな縁が繋がりオープンへ。

で、店主の蔵に対する敬意と慈愛、カフェに注ぐ情熱が桁外れなのです。
例えば店内に飾られた地図。

描かれているのは、たつの市御津町付近
描かれているのは、たつの市御津町付近

蔵の裏手に無造作に置かれて埃にまみれていたのを丁寧にはらい、下に敷く模造紙サイズの画用紙を神戸の文具店で調達、木枠の額はネットショップで探したもの。和室にも同じように美しく復活させた地図があります。

和室
和室

それから木桶類。

こちらも文字が読めないくらいに汚れていたのを、一つにつき6回ほど入浴時に持ち込んで傷つけないように馬毛ブラシで洗い、乾燥させ、オリーブオイルや蜜蝋を塗って再生させました。ほかの桶なども同様の作業を繰り返したと聞き、感服するほかありません。

甘さほんのりシュークリームはレアメニュー

メニューはコーヒー、紅茶をはじめとするドリンクとモーニング、カレー、パウンドケーキです。ドリンクもフードも一人で研究してきたという店主。ノートには驚くほど細やかにレシピなどが記されていました。

店主の人柄が伝わる、やわらかいタッチの手描きメニュー
店主の人柄が伝わる、やわらかいタッチの手描きメニュー

ルーや小麦粉を使っていない手作りのカレー。兵庫県産小麦に熊本県天草地方の蜂蜜を加えたパウンドケーキ。
千姫はというと、シュークリームとアッサムティーをオーダーしました。なんとシュークリームはレアメニュー。作るときと作らないときがあるようです。

兵庫県にある牧場の生クリーム、小麦も兵庫県産。生クリームとカスタードクリームが1対1の割合で、たっぷり。こんなにクリームが入っているのに、甘さはほんのり感じられる程度。爽やかです。シュー皮は、かたくもなくやわらかくもなく、カリッとしていてほしいトップはカリッ。

テーブルウェアも上質な作品ばかり。イタリアのリチャードジノリや島根県出雲市の出西窯のカップ&ソーサーが揃っています。

公開されていた坪庭も見学しました。

ゆるやかな時間が流れ、優しい気持ちに。

蔵がバトンを繋いできたように、「片岡家蔵 きなり」を出た後には同店からもらった愛情を誰かに渡したくなる、そんな場所でした。

片岡家蔵 きなり
住所:兵庫県姫路市網干区新在家500-7
営業時間:10:00~15:00(LO14:30)※モーニングは11:30まで
定休日:日、月、木曜
駐車場:あり
※問い合わせはインスタグラムのDMから

文筆家・ライター講座講師・モデル(姫路市)

大好きな姫路のまちを、さらに元気に―。その一心で執筆をしています。千姫自身の率直な感想と取材で得たこぼれ話などを通して「ここに行きたい!」と心が動く場所を紹介していきます。元新聞記者、モデルとしてはファッションショー・ヘアショーに出演。 Yahoo!ニュースエキスパート2023年10月、11月、2024年3月 地域クリエイターMVA受賞

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