やめて!ダメ!と言ってない?子どもにしてほしくないことをやめさせるためのアプローチ
こんにちは!保育士ごんちゃんです。
現在、子育て支援保育士として地域の公民館や療育教室で親子遊び講座をしたり、地域の保健師さんと一緒に子育て講座にまわったりするような働き方をしながら、子育てに関する情報発信をしています。
今回は、子どもにしてほしくないことや望ましくないことをやめさせるための方法についてのお話です。
おたよりフォームにいただいたご相談も交えながらお話をしていきます。
【ご相談①】
園からの帰る時に帰り道が同じお友達と一緒に帰ることが娘の日課になっています。
娘の通う園は園から出ると車道があるんやけど、その時に全力ダッシュしています。
園では交通安全指導日もあって、園児たちには道を渡る時のルールを教えてくださってはいますが、お友達が走るとうちの娘も全力ダッシュしています。
私は体調が不安定な時期だし、ママが走るとお腹の赤ちゃんびっくりしちゃうし危ないからやめてねって言うと「わかった」って言うんやけど、あまり聞いてもらえません。
お友達と一緒に帰る時に道にある水路の方に行くことも多くて、その水路が高さもある水路やから「危ないから帰ろう」って言うけど、お友達もいるからか、あまり聞いてもらえなくて…
娘だけだとハッキリと怒れるけど、お友達も一緒やとどう接したらいいかわかりません。もし何かアドバイスあれば教えてほしいです。
【ご相談②】
2歳の息子が、興奮したり、ほかのお友達に遊んでいたおもちゃを取られたりすると、思わず手が出てしまうようです。
叩いてしまったり、押してしまったりしてしまいます。
私には、興奮した時に、顔を引っ掻いたりしてくることもあります。
それに対して「やめようね。」や、「だめだよ。」と真剣に注意をしますが、面白がって真剣に聞いてもらえません。
今は私といつも一緒にいるので、おともだちに手を出してしまう時は、すぐに見つけて止めることができますが、4月から保育園に入園予定の為、保育園でおともだちとトラブルにならないか、今から心配しています。
何か良い対策や、声かけの方法はありますでしょうか。
▼何度言っても伝わらないのはなぜ?
今回いただいたご相談内容の2つに共通しているのが「子どもにしてほしくないことをどうやめさせることができるか」という内容です。
そして「真剣に注意してもなかなか聞いてもらえない」というのも共通しています。
子どもが望ましくない行動をしたとき、親としては子どもに何度も注意したくないけれど、聞いてくれないから何度も言わざるをえない…ということ、ありますよね。
そもそもなぜ子どもは望ましくない行動を注意しても、それを繰り返してしまうのでしょうか?
子どもが困った行動をしてしまうときには、その行動がどのような動機によって起こっているのかを理解することが大切です。
行動分析学や応用行動分析学の分野では、子どもの行動上の問題には何らかのコミュニケーションの機能があるとされ、大きく分けると「注目」「要求」「逃避」「感覚」の4つから考えられています。
注目
子どもにとって周りの大人からの関わりや注目が少ない状況で、その行動を起こすと、周囲の人の注目を得ることができるという動機から起こる行動です。
例えば、大人の注目を引きたい状況や、お友達に気づいてほしいなどの場面で、わざとコップの水をこぼしたり、大声で叫んだりするなどがあります。
要求
欲しいものが手に入らなかったり、したいことができない状況で、その行動を起こすとそれが得られるという動機から起こる行動です。
例えば、何か買って欲しいものがある時に泣き喚いたりその場から動かなくなったり、欲しいものがあるけれどうまく伝えられずに手が出てしまうなどです。
逃避
子どもにとって嫌なことがある状況で、その行動を起こすとその嫌な行動から逃れられる、避けられるという動機から起こる行動です。
例えば、友達や親に手を握られたとき、その手を握られるという行動が不快で、相手の手を噛むと相手の手が離れた時、「噛む」という行動で不快を回避するという結果が得られてそれを繰り返す場合などがあります。
感覚
子どもにとってその活動自体が楽しいものである場合ことと、大人からしてみれば望ましくない行動でも子どもにとっては感覚的に気持ちがよかったり、安心感を覚えたりすることから起こる行動です。
例えば、食事中に食べ物を触って握りつぶして遊んでしまったり、水溜りに入って泥だらけになってしまったり、意味もなく行う癖のような行動(つばを出したり入れたりするなど)をしたり、その行動がもたらす感覚自体に快感を覚えているケースもあります。
今回のご相談①のケースはこちらの動機が関係しているように思います。
そしてご相談②の「2歳の息子が、興奮したり、ほかのお友達に遊んでいたおもちゃを取られたりすると、思わず手が出てしまう」という行動は先述した「要求と逃避」の2つの動機が重なっていると考えられます。
▼子どもにしてほしくないことをやめさせる方法
望ましい行動をしている時に注目して褒める
わたしたち大人は、つい望ましくない行動が現れた時にその行動をやめさせる方向にアプローチしがちです。
しかし望ましい行動をした時は、何気なく見ていてスルーしてしまうことはないでしょうか?
子どもは褒められることが大好きで、褒められるという行動で大人の注目を得られるのが一番望んでいることなんですね。
ですから、望ましくない行動が現れていない時、例えばご相談のケースだと走らずに歩けている時に「ゆっくり歩いてくれてありがとう」や「一緒に歩いてくれて嬉しいよ」と伝えたり、お友達やママさん自身にお子さんが優しく触れたときに「優しく触ってくれてありがとう」のように褒めるように意識するのがおすすめの方法のひとつです。
子どもが望ましくない行動をした時に得られた大人からの注目よりも、望ましい行動をしたときに得られた注目の頻度を増やしていくと、行動が変わっていく可能性が高まります。
望ましい行動を実際にやってみせる
子どもがやめてほしい行動を取った時、大人はつい「やめようね」「ダメだよ」とその行動を否定するところで終わってしまうことって多いですよね。
しかしそれだと、子どもにとっては「じゃあどうすればいいのか」が伝わらない可能性が高いです。
今回の2つのご相談のケースでも、「真剣に注意してもなかなか聞いてもらえない」ということなんですが、親がいくら真剣でも子どもにとってはそもそもどうすればいいのか伝わっていない可能性があるんですね。
例えば、走らないで歩いてほしいときに「走らないで」と言われたとして、大人だと「走らない=歩くこと」だとイメージができますが、子どもは脳の発達段階的にも瞬時にそのようには判断できません。
ですから「走らないで」ではなく「歩いてね」と伝え、実際にどれくらいのスピードで歩けばいいのか一緒にやってみましょう。
今回のご相談①のケースでできることとしては、実際に走ってしまう状況が起こる前に、家のなかや他の場所でお友達がいないときに歩く練習や歩くスピード感を実際に体験しておくことです。
例えば、お子さんがイメージできるゆっくり歩く動物などを真似して「かたつむりさんのスピードで歩こう」とゲーム感覚でやってみるのも一つの方法です。
そして実際に走りそうになる直前に「いつもみたいにかたつむりさんで歩いてね」と具体的に望ましい行動が子どもにとってもイメージできるように伝えてみるのがオススメです。
またご相談②のケースだと、叩いたり押したりしてしまうのをやめさせて、優しく触るか言葉で伝えてほしい場面ですが、親がいくら真剣に「やめようね」「ダメだよ」と伝えても、それが「優しく触る、言葉で伝える」となっていない可能性があります。
そのため「やめようね」のあとに、ちょうだいのジェスチャーを教えながら「こうやって貸してって言うんだよ」と具体的にどうやったらいいのか繰り返し伝えていくのがオススメです。
ちなみに余談ですが、わたしが叩いてしまう子に対してよく行う関わりとしては、その子の手を撫でながら「◯◯くんのおててが優しいおててになりますように!」と言うことがあります。
「優しい触り方」がこんな感じだよ、というのを実際に触りながら教えて、触ってみて?と言うと同じように触れることがあります。
その時にすかさず褒めて「やさしいおててになってよかった〜!」と喜ぶと子どもも笑顔になります。
子どもにとっては、再現できるように教えてもらえるというのが、次の行動につながるステップになります。
危険が伴うときは躊躇せず具体的な指示をする
特にご相談①のケースだと、車道を全力ダッシュしたり、高さのある水路のほうに行くこともあって危険を感じることがあると思います。
危険が伴う時はすぐにその行動をやめさせたいのですが、「危ない!」や「やめて!」では、子どもに伝わらないこともあります。
そのため具体的に「そこで止まって!」「座って!」など、子どもがどう行動に移せばいいのかわかるように伝えると伝わる可能性が高まります。
本当に危ない状況のときは、自分の子どもかどうかに関係なく大人の責任としてその行動をやめさせるよう躊躇せず注意していいと思います。
望ましい行動に注目するということと、子どもが具体的に行動に移せるように、否定語でやめるのではなく実際の行動を指示したり見本を見せたりするということを意識して接してみてはいかがでしょうか。
すぐにパッと行動が変わることはないかもしれませんが、肯定的な言葉かけやスタンスで伝え続けていくことがとても大切です。
その積み重ねによって子どもの行動は徐々に変わっていきます。ぜひ試してみてくださいね。
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今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!