渋谷区の裏路地を自転車で走ると立ち止まりたい店がたくさん見つかる。 街道沿いの巨大団地の１階の暗い広めの通路は昼間でも真っ暗で、目を凝らすとシャッター商店街だというのがわかる。奥のほうに町中華の看板がぽつんと営業していた。

店舗は都営幡ケ谷二丁目アパート1号棟（約50年前の1971年建設）の１階にある。

商店街入口の店が閉店しており、奥の方は長くて暗い。建物の古さも相まって通路に踏み込むのは勇気が要る。

商店街の頭上は吹き抜けで、金網の天井からは地上8階の団地の内廊下通路が見える。写真では吹き抜けが写っているが、商店街は真っ暗で頭上の光景には気づかない。
赤い看板の「中華料理 一番」は14時半でランチ終了だが、14時を過ぎても次々と客が入る繁盛店なことに驚いた。

ラーメン（税込500円）
この価格で赤字になっていませんように。
麺もスープもたっぷりだ。トッピングの具材は叉焼とメンマとナルト、ネギ。昭和から変わらない夜鳴きソバの素朴な味がエモい。というのも、現在より50年前に現在の店主のご両親が建物が完成時に開店したのだと言う。両親から引き継いだ昭和40年代のラーメンの味が、そのまま残されている。「両隣が八百屋さんと床屋さんだった」と懐かしそうに笑顔で語ってくれた。

自分が店に立ち寄った時は全員が男性客で、大盛の昼の定食が人気のようだ。「肉野菜炒め定食（税込700円）」を皆が注文していた。カレーライス（税込600円）も安い。
お店に入ったらセルフでお水を汲んでカウンター席へと案内される。天井近くのテレビは開業当時から定位置だ。
庶民的な町中華はシャッター商店街で生き残る強者だった。

文/撮影　渋谷ライダー
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