京王線笹塚駅に近い甲州街道交差点の角に鏡張りの８階建のビルがある。
「声優ミュージアム」と青い文字で書かれている。

僕はコロナ禍に「鬼滅の刃」のテレビアニメの絵の美さに感動し、「呪術廻戦」「チェンソーマン」「葬送のフリーレン」「推しの子」など見逃し配信も見ている。

一番好きなアニメは「SPY×FAMILY」。オペレーション〈ポッドキャスト〉も聴いている。
しかし声優は詳しくないからと建物を素通りしていた。

ところが声優ミュージアムを調べると意外なことが書かれていた。

運営会社の声優事務所「81プロデュース（エイティワンプロデュース）」主催の第１回（2017年）の一般公開オーディション優秀賞がSPY×FAMILYのロイドフォージャー役　江口拓也さんだった。（ちち！）
オーディション会場は、この鏡張りのビルだ。

すごい所を素通りしていたのだと、かなり感動した僕はミュージアムに直行した。

入館は無料。

入口で入館証を受け取り、2階の展示用ガラスケースが3列並ぶ部屋に入る。入口に「SPY×FAMILY」の映画のチラシがある。窓には「SPY×FAMILY」の映画ポスターもある。ポスターにサインが書いてある。江口さんですよ、とスタッフさんが言う。その横にはテレビアニメ推しの子のポスター。サインはルビー、アクア、MEMちょ。鬼滅の刃のポスターは鬼舞辻無惨役の関さん。

ここで気づいた。ミュージアムを運営している「81プロデュース」は有名声優さんが多く所属しているスゴイ事務所だと。テレビで耳にしていた人たちが、こんな近くのビルの声優養成所にいたのだ。スタッフさんの話では、スクールを卒業後に事務所に所属するとアニメか海外吹替のプロの声優の仕事を始めるそうだ。

ところで「SPY×FAMILY」のロイド役の江口拓也さんはこのビルの声優学校には通っていないとのこと。第一回オーディションで優秀賞を取って、そのまま事務所に所属となり仕事始めたそうだ。そんなに凄い人だとは知らなかった。

しかし江口さんであってもベテラン層には含まれないとスタッフさんは言う。

それはミュージアムを見て理解できた。鉄腕アトムから５０年、さらに１００年を目指すと書いてある。50年前から声優の歴史は始まっている。

ミュージアム奥に小部屋「声優神社」がある。絵馬に綴られている言葉は切なくなるほど青春で希望に満ち溢れていた。

同ビルに通う生徒さんも、プロとして歩む先輩の作品を見にミュージアムを訪れているだろうか。夢が叶うまで不安をぬぐい切れない凹む時も多いかもしれない。しかし声優は最後は人生を声に乗せる仕事だと聞いた。このミュージアムでの体験もいつか役に乗せて、生徒さんがプロとなり輝けますように。

現在所属しているプロの声優は160人だとスタッフさんは言う。

展示物は撮影不可のため以下文字で説明。

声優神社のお守り（600円）、絵馬（500円）、御朱印長（2000円）。

ガチャ（300円）、ロゴTシャツ（2000円～）

サイン入りポスター複数展示

台本の展示

・ボケモンミュウツーの逆襲TVアニメーションシリーズ

・この素晴らしい世界に祝福を！

・ダイの大冒険

・クリィミーマミ

・頭文字D

・機動戦士ガンダム00(ダブルオー)

・（洋画）ミッション：インポッシブル　森川智之さんの書き込みあり

・ドラゴンボールZ復活のF

・魔女の宅急便

・ちびまる子ちゃん

他にも多数有名作品の台本やグッズなど書きつくせない。すべて所属声優さんからの貸し出しで、その出演作の多さに驚く。声優アワードのトロフィーがどっさり並んでいた。

室内は高橋李依さん（推しの子のアイ役）の曲が流れる中、40分ほどメモを取ったが、細かいところまで見終わらないほどのボリュームだった。

訪れたのは平日で、最後までミュージアムは僕一人だった。

同ビル内の声優学校の学生さんたちをたくさん見かけた。エレベーターの乗り降りでは生徒さんの礼儀正しさが素晴らしかった。

別階にライブスペースもあるようで続編お伝えしたい「声優ミュージアム」だが、まずは「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」を見に行きたい。

文/撮影　渋谷ライダー

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