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【渋谷区】国立競技場の中を通る区境の謎を紐解く

渋谷ライダーwebライター(東京都渋谷区)

東京オリンピック2020は2021年7月23日〜8月8日(17日間)33競技339種目が行われました。新型コロナウイルスの影響で無観客で行われました。そんな当時の様子が嘘のように国立競技場前広場は子供たちの遊び場として賑わっています。案内表示板を見ると国立競技場の中に渋谷区と新宿区の区境線があることに気づきました。その理由を調べると意外な事実が見えてきました。

国立競技場は渋谷区と新宿区にまたがっている

一部、渋谷区側の建物
一部、渋谷区側の建物

国立競技場は西側の端の一部が渋谷区です。不規則な区境線が建物の中を通っています。現地に行っても何故そこに区境線があるのかヒントになるようなものは見当たりません。

なぜ建物内に区境線が引かれているのか

なぜ競技場の一部が渋谷区なのか?について古地図を遡りました。江戸時代の地図を見ると寺社や民家があります。広大な武家屋敷跡でもないようです。近くには先日紹介した鳩森八幡神社も載っています。

鳩森八幡神社方面より国立競技場を臨む
鳩森八幡神社方面より国立競技場を臨む

しかし明治時代には広大な青山練兵場の土地の一部になり、大正13年(1924年)には明治神宮外苑競技場完成、昭和33年(1958年)には 旧国立競技場が完成しています。そして現在の国立競技場が完成したのが2019年です。

消えてしまった渋谷川

昭和33年に建てられた旧国立競技場の建物の西側には渋谷川が流れていました。しかし1964年(昭和39年)ごろオリンピックを前に暗渠化(あんきょか:地下に川が隠される)、川は風景から消えました。その渋谷川は渋谷区と新宿区の区境でした

渋谷区側には渋谷川に思いを寄せてつくられた水路があります
渋谷区側には渋谷川に思いを寄せてつくられた水路があります

渋谷区と新宿区の区境は渋谷川だった

図の中央の点線より下が渋谷区、上が新宿区
図の中央の点線より下が渋谷区、上が新宿区

地図の点線が区境である渋谷川跡です。点線より上が新宿区、下が渋谷区です。取り壊される前の旧国立競技場は小さく点線より上にありました。

現在の国立競技場の建築面積は旧国立競技場の約2倍、渋谷川を越えた渋谷区側に広げる形で建てられました。そのため建物の下を区境である暗渠化された渋谷川が通っています。

このあたりから建物の下を渋谷川が今も流れています
このあたりから建物の下を渋谷川が今も流れています

国立競技場の一部は渋谷区ですが、正式な住所は新宿区霞ヶ丘町です。

他にも区境の謎として「新宿駅のホームの半分が渋谷区」「表参道と246交差点のみずほ銀行が港区」など不思議に思う場所があります。街散策で昔の地図を見て過去の風景を追うことは楽しい発見があります。

渋谷川跡 暗渠化(あんきょか)
国立競技場 東京都新宿区霞ヶ丘町10-1
JR総武線各駅停車 千駄ケ谷駅/信濃町駅:徒歩5分
都営大江戸線 国立競技場(A2出口):徒歩1分
東京メトロ銀座線 外苑前駅(3番出口):徒歩9分

webライター(東京都渋谷区)

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