猫の死因第1位は「がん」!よくみられる「3つのがん」とは?愛猫をがんから守るためにはどうする?
近年、ペットとして飼育されている猫の平均寿命は伸びてきています。しかしその一方で、がんによる猫の死亡率も高い水準にあるのが現状。がんは猫の死因の第一位を占めている病気で、猫の飼い主ならばよくみられる猫の「がん」について知っておきたいものです。
そこで今回は猫によくみられるがんの3つと、猫をがんから守るための方法について紹介します。猫の飼い主さん必見の内容です。
1.猫に多くみられるがん3選
1‐1.乳がん
乳がんとは乳腺に発症する悪性腫瘍です。人でも女性がかかる「がん」第1位ですが、猫も乳がんのリスクは高く、12歳前後のメスに多く見られます(全体の99%がメス)。
そして腫瘍の8割以上は「悪性」とされ、進行してがんが破れて潰瘍になってしまう(自壊)と、その後根治するのが難しくなってしまう病気です。
そのため早期発見のためにも、日ごろから猫の乳腺をマッサージしたりして「しこり」を発見できるようにしておきましょう。がんの直径が2cm以下の状態で見つかれば、その後も長生きできる可能性は高くなります。
【症状】
・しこり
・(転移すると)体重減少/食欲不振が見られる
【腫瘍ができる部位】
・乳腺
【予防法】
・避妊手術
※避妊手術で100%乳がんを避けられるわけではありませんが、乳がんはホルモンバランスの影響もあるためなるべく早い時期に不妊治療をうけるのが効果的です。
生後6か月以内に不妊手術を受ければ乳がんの発生低下率は91%、1歳までの手術で発生低下率86%となります。
ただし2歳を超えてしまうと、その後乳がんを抑制する効果はなくなってしまうので、子猫を希望しないのなら早期に不妊手術を受けるのが好ましいといえます。
1‐2.肥満細胞腫
肥満細胞腫とは、「肥満細胞」が腫瘍化したものを指します。
肥満細胞というと「太り気味の猫」がかかる病気と思われがちですが、これは「細胞に顆粒が詰まっている様子が膨れて見える」ためこのような名前が付けられたのであって、猫の体形にはなんら関りはありません。
高齢猫に多く見られるがんで、シャム・ラグドール・メインクーン・ロシアンブルーなどの猫にもよくみられます。
そして肥満細胞腫には皮膚にできるがん(皮膚型)と内臓にできるがん(内臓型)の2つのタイプがあって、同じ肥満細胞腫ですがそれぞれ全く異なるのです。
・皮膚型
皮膚にイボのようなものが1か所~複数できます。皮膚腫瘍の25%が「皮膚型肥満細胞腫」といわれており、適切な治療を受ければほとんど根治できる病気です。
・内蔵型
内蔵型といってもそのほとんどが脾臓で発生します(まれに腸管でも見られる)。先述した皮膚型とは異なり外見上での異変がわかりにくく、早期発見が難しいのがポイント。
【症状】
皮膚型:イボのようなできもの・炎症・腫れ など
内蔵型:元気や食欲低下・嘔吐・下痢・体重減少・腹水・胸水 など
【腫瘍ができやすい部位】
皮膚型:頭・首・耳・足
内蔵型:脾臓・まれに腸管
【予防法】
これ!といった予防法はありませんが、猫のささいな異変にも気づけるようにしましょう。日ごろの皮膚の状態や、食欲などの記録、健康診断などできることはたくさんあります。
1‐3.扁平上皮癌
扁平上皮癌は、扁平上皮細胞という皮膚や粘膜を構成する細胞が腫瘍化したものをいいます。そのため皮膚や粘膜のどこにでもできて、猫であればとくに口の中や顔の皮膚によく見られます。
罹患しやすいのはやはり高齢猫。皮膚にできるものの場合は紫外線の影響もあるため、日向ぼっこが好きな猫や白猫に多く見られます。
また口の中にできる扁平上皮癌は、周囲に広がる力(浸潤)が強く治療が難しいがんのひとつで、見つかったときにはすでに進行してしまっているケースがほとんどです。
口の中でみられるがんの約半分が扁平上皮癌といわれています。
【症状】
皮膚の場合:かさぶた・かさつき・ただれ・いつまでも治らない皮膚炎 など
口の場合:口内炎・歯のぐらつき・ただれ・食欲低下・体重減少・顔面非対称 など
【腫瘍ができやすい部位】
皮膚:耳の先・鼻・まぶた など
口腔:歯肉・歯槽粘膜・舌・唇・頬の粘膜 など
【予防法】
残念ながらこの病気もこれといった予防法はありません。
そのため日ごろから飼い主が皮膚に全く治らない皮膚の異変がないか、口の中にできものはできていないかなど注意深く観察し、早期発見に努めることが重要です。
2.猫をがんから守るためには?
人のがんも同じですが猫のがんにもこれといった予防法がないため、猫をがんから守るためには「早期発見・早期治療」がカギとなります。
まずは若いうちから年に1回、7歳を過ぎたら年に2回の健康診断を受けるといいでしょう。
レントゲン検査やエコー検査などが入ったプランがあればそれを受けてみるのが良いですが、その分費用もかさむため、獣医師と相談して決めるのも良いですね。
あとは自宅でのセルフチェックです。少なくとも月に1回は自宅でも猫の健康チェックを行いましょう。具体的なチェック方法は「おうちでできる猫ちゃんの健康チェック方法【獣医師が解説】」を参考にしてください。
そしてどのがんにも共通してみられる症状は「体重減少」です。そのためセルフチェックを忘れがちの人でも、体重チェックだけは取り組めるようにしましょう。
猫の場合は、「健康時の体重の1割以上体重が減ると異常がある」と考えられています。
とはいえ自宅の体重計だと細かい数値まで計測できないものがほとんどですので、可能であれば10~50g単位で計測可能な体重計を用意できると好ましいです。
3.まとめ
今回は、猫に多い代表的ながんのうち3つ(乳がん、扁平上皮癌、肥満細胞腫)を解説しました。
今回紹介したもの以外でも猫の「がん」はさまざまありますが、どの「がん」であれ早期発見・早期治療が大切です。
猫のがん早期発見のため日頃の健康管理を怠らないこと、定期的な検診と適切な食事と運動をおこなうことが、がんから猫を守る有効な手立てとなるでしょう。
愛猫に健康で長生きしてもらうために、私たち飼い主の気配りが非常に重要となります。