【厚木市】里山の寺子屋塾「無尽蔵」に今年も絹糸づくりの季節がやってきました
こんにちは、sonoです。自然豊かな飯山の寺小屋塾「無尽蔵」を最初に訪ねたのは、ちょうど一年前の同じ5月半ばでした。この時期は、カリキュラムの一つである「絹糸づくり」に欠かせない蚕の赤ちゃんが一斉に誕生する時期で、今年もまた、たくさんの蚕の赤ちゃんが生まれています。
こちらの寺小屋塾を運営するのは、公立・私立小学校の校長をはじめ50年の教員経験をお持ちのかたわら、様々な創作活動もされている小嶋冨五郎(小島富司)さん。
教員を定年退職した現在は、「野良の芸術美術館」という私設美術館と「無尽蔵」という寺小屋塾を古民家風のご自宅で開館されています。
野良の芸術
ご自宅兼、美術館に入ると、小嶋さんが描かれた絵や紙芝居、和凧などの作品が所狭しと並べられています。
小嶋さんが描いている、日本農民文学会発行の「農民文学誌」表紙絵の原画も展示されています。
また、たくさんの手作り紙芝居もあり、「飯山の七不思議物語」という紙芝居は、昨年「手作り紙芝居コンクール」で神奈川新聞社賞を受賞したそうです。
こちらが、その時に授与されたメダルです。
飯山には白龍伝説という言い伝えがあります。
小嶋さんは10年間非常勤講師をした縁で、時々、東京工芸大学の学生さん達に向け、飯山のフィールドワークを取り入れた授業をこちらの「無尽蔵」で行っています。その一環として白龍の絵を皆で描いたそうです(写真の白龍は小嶋さん作)。
その他、市内の幼稚園で、子供たちと水辺の生き物にふれ合ったり、巡礼峠に行き、実際のその場所で巡礼峠にまつわる悲話を子供たちに語り聞かせたりする「森のたんけん」という授業も行っています。
また「老いるほど若くなる」という70歳以上の公募による美術展に出品して、入選もしました。
今年の7月にはあつぎ郷土博物館で、厚木市初の名誉市民「和田傳」の小説出版100周年を記念した「お絵かき教室」の講師を務めます。
そしてこちらが小嶋冨五郎(小島富司)さん。
見た目も話し方も穏やかな方ですが、創造への情熱と、子供たちにそれを伝えたいという熱い思いをお持ちです。
昨年同様、年季の入ったやかんとサイフォンで、おいしいコーヒーを淹れていただきました。
寺小屋塾「無尽蔵」
子供たちの居場所として
そんな小嶋さんが今もっとも力を入れて取り組んでいるのが、飯山の風土を生かし、一年を通じて日本古来の暮らしの営みを体験する寺小屋塾「無尽蔵」。
さまざまな体験を通して、子供たちの興味のきっかけになればと小嶋さん。
問題を抱えている子供たちにも夢中になれること、ワクワクすることを見つける手助け、居場所の提供をしていきたいという変わらぬ思いを語ってくださいました。
無尽蔵は、年間を通して季節ごとのカリキュラムがあります。
- 紙芝居づくり(春)
- 絹の栞づくり(春〜夏)
- 竹細工(通年)
- うなぎ捕り(夏)
- お絵かき、化石採取(秋〜冬)
その他にも、単発的な活動もあります。
「無尽蔵」の題字も小嶋さんが書いたもの。
紙芝居づくり
5月半ばの今、紙芝居はすでに制作途中です。
こちらは「春休みのお友達」という小学5年生の女の子の作品。なんと宇宙人が登場するそうです。お友達が宇宙人なのでしょうか!?
こちらは「未来のぼうけん」という小学4年生の男の子の作品。みんなの永遠の夢、タイムマシーンが出てくるのかも。
ただのお絵かきと違い、物語を自分で作るというところが紙芝居の良さだと語る小嶋さん。
子供の自由な発想がおもしろいですね。
そして、完成した紙芝居は大谷翔平選手にならい、この兜をかぶって発表するそうです。少人数とはいえ、発表するとなるとそれなりの緊張感があり、それもまた貴重な経験となります。発表の後は全員で感想をシェアします。
絹の栞づくり
「絹の栞づくり」では、まず蚕を育てるところからスタート。
こういうことが好きな子供は、蚕の顔までわかるようになるようで、持ち帰って自分で育てて繭にする塾生もいるそうです。
それにしても、昨年の同じ時期の蚕の赤ちゃんは3ミリ程でしたが、今年は前半の暖かさのせいか、3センチくらいで、もうすっかり蚕の姿形をしています。
小嶋さん曰く、クワの葉っぱが開き始めると蚕の孵化が始まるとか。自然の神秘ですね。
これは昔ながらの「真綿づくり」。お湯でふやかした繭の糸をほどいて四か所に釘を打った板の上に広げ、釘に引っかけながら四角く平面状にします。
因みに、一匹の蚕が吐く糸の長さは、なんと1000〜1500mもあるそうです!
次は、真綿を紡いで絹糸作り。
このレトロな機織り機で、紡いだ絹糸を織り反物を作ります。反物ができたら、いよいよ最終工程の「栞づくり」。
初の試みですが、絹の栞って素敵ですね!どんな栞ができるのか楽しみです。
竹細工
裏庭には、竹藪が広がっています。
ザルや和凧、竹馬、竹トンボ。また毎年好評の正月用の門松作りもここの竹で製作しています。
竹藪にたくさん落ちている竹の皮も、抗菌作用や消臭効果に優れているようで、おにぎりやお団子を包むのにもよいですよね。
生まれたときからこの竹藪と共に育ってきた小嶋さんが言うには、他にも竹の皮は編むととても丈夫な紐になるとのこと。
少しだけ作ってくださいましたが、確かにちょっとやそっとでは切れそうにない丈夫な紐でした。
こちらは小嶋さんが作った竹かごと制作途中のザル。
竹は軽くて丈夫、しなやかで加工がしやすい優れた素材です。裏庭に広がる竹という優れた資源を道具として使ったり遊んだりと、暮らしの文化の中で生かす活動をしています。
うなぎ捕り
このうなぎ捕り用の「もじり」も、豊富にある竹のおかげでいくらでも作れます。
夏になったら、このもじりを小鮎川に仕掛けてうなぎ捕りにチャレンジします。仕掛けたもじりを覗くときのワクワク感が想像できますね。
お絵かき、化石採取
秋には純粋なお絵かきもします。秋の色鮮やかな里山の風景を描くもの楽しそうですね。
これは、学校に行くことができない小学4年生の男の子が紙粘土で作った作品です。
彼は夢中でこういう作品を作るのだそうです。
それにしても素晴らしい!私には有名アーティストが創ったアート作品にしか見えません。
こちらは、化石採取でとれた化石です。
生命の星地球博物館の学芸員さんに「厚木の山で、貝の化石がどうして採れるのか」というワクワクするような話を聞いてから鐘ヶ嶽へ行き、貝だけでなく珊瑚礁の化石まで採れて参加者は皆大喜びだったそうです。
大昔、厚木は海の底だったというのは、どうやら本当のことらしいですね
楽しいことほかにも
これは初の試みで置いてみた養蜂箱です。この時点ではまだミツバチさんはいませんでしたが、引っ越してきてくれるといいですね。
外水道の水は井戸水です。とてもきれいな水でした。
作業場兼、休憩所。ここには近々デッキを造りたいそうです。
こちらは自宅前の畑。この広さをなんとクワ一本で耕しているそうです!
それだけでなく、「無尽蔵」の運営のためにクラウドファンディングにチャレンジしたり、本厚木ロータリークラブをはじめ、様々な団体の会長を任されたりと、小嶋さんの限界を感じさせない、まさに無尽蔵なご活躍ぶりに驚嘆!
まだまだ好奇心は尽きることなく、子供たちや誰かの居場所づくりのために日々、手間を楽しみながら創造性の追求に心を込めて取り組む小嶋さん。これからのご活躍も楽しみです。
野良の芸術美術館/寺小屋塾 無尽蔵
住所:神奈川県厚木市飯山西4152番地 地図
電話:046-241-1353
携帯:080-3083-1947
野良の芸術美術館 館長 小嶋富五郎
水曜日~日曜日(月曜・火曜日休館)
10時~16時
入館料 100円
電話・メール・予約サイトからご予約可能
現在版寺小屋塾 無尽蔵 塾長 小嶋富五郎
月4~5日(土曜日か日曜日) 1回3~4時間
料金 5,000円/月 1,000円/単発1回
老若男女問わず
(平日の放課後も対応可)
四季に応じた旬なプログラムを企画
\ 貸しスペースとしても対応可 /
電話かメールでお問い合わせください
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e-mail:mujinzo-na@ai.ayu.ne.jp
公式ホームページ
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ーその他の活動ー
みどりと清流のふるさと創造委員会 会長
飯山白龍の舞保存会 会長
本厚木ロータリークラブ 会長
各種常勤、非常勤講師
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