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ホームは何も無ェ!北海道宗谷本線(名寄ー音威子府)の廃駅跡

宙船乗り物大好きライター・そらふね
宗谷本線・紋穂内駅跡そばの道路標識

北海道北部にあるJR宗谷本線(旭川ー稚内)。路線全体では旭川ー名寄間の利用者・列車本数が多いですが、名寄から北は利用者・列車本数が非常に少なく、民営化後に廃駅が多数発生しました。
以前書いた宗谷本線・旭川ー名寄間の廃駅状況に続いて、今回は名寄ー音威子府間で民営化後廃駅になった5カ所を紹介します。車やバイクで訪問する、宗谷本線の列車に廃駅跡に注目しながら乗りたいファンや旅行者に役立てば幸いです。(訪問:2023年6月)

1.(臨)智東駅(名寄市・2006年3月廃止)

智東(ちとう)駅は、現在の日進駅ー智恵文駅(共に名寄市)の間にあった無人駅です。名寄駅から北に天塩川東岸に沿う道道252号を進んだ場所にありました。

1987年4月国鉄がJR北海道に民営化された時、冬期間は営業しない臨時駅に。廃止は2006年3月18日ですが、実質の廃駅は前年の11月30日でした。

名寄駅から智東駅跡までのルート (C)Google
名寄駅から智東駅跡までのルート (C)Google

名寄駅・日進駅から雪がないシーズンは車やバイクで比較的行きやすいです。

隣の日進駅からのルート (C)Google
隣の日進駅からのルート (C)Google

道道252号を日進駅から進むと、途中道幅が1車線に狭くなります。再び2車線に戻ってバリケードがある場所そばから行き止まりの砂利道があり、砂利道の先が智東駅跡。

なお道道の1車線区間は冬季除雪が入りません。智東駅がJR発足後冬季休業だったのは、周辺に人家がなく、除雪が入らない道路があったからです。

道道252号から智東駅跡に伸びる砂利道
道道252号から智東駅跡に伸びる砂利道

砂利道の終点が智東駅のあった場所。駅舎・ホーム・駅名標などの跡は全くなく、機器小屋だけ。ホームは稚内方向を見て左側・天塩川寄りにありました。

智東駅のホームがかつてあった辺り
智東駅のホームがかつてあった辺り

訪問したのは6月。マーガレットが咲いていました。敢えて駅跡と呼ぶなら、線路のそばに木が生えていない土地が残っていたという部分でしょうか。宗谷本線の保線作業では現在も使用しているかもしれません。

訪問時はマーガレットが咲いていました
訪問時はマーガレットが咲いていました

なお智東駅の駅看板は現在名寄市北国博物館(外部リンク)にあります。また廃止時の車掌車駅舎は2006年7月、美深町にあるトロッコ王国美深(旧国鉄美幸線・仁宇布駅跡)に移設されました。

2.北星駅(名寄市・2021年3月廃止)

北星(ほくせい)駅は、現在の日進駅ー智恵文駅(共に名寄市)の間にあった無人駅です。かつて名寄ー日進ー智東ー北星ー智恵文の順でした。

智東駅跡から北星駅跡へ道路で向かう場合、智恵文駅前へ行ってから  (C)Google
智東駅跡から北星駅跡へ道路で向かう場合、智恵文駅前へ行ってから  (C)Google

しかし智東駅跡(正確には東恵橋)ー北星駅跡の間は宗谷本線に並行する道路がありません。もし智東駅跡~北星駅跡を車やバイクで移動する場合は、智恵文駅前を経由した迂回が必要です。

智恵文駅から北星駅までのルート (C)Google
智恵文駅から北星駅までのルート (C)Google

北星駅の手前には第2美深名寄線踏切があり、渡って道路を右カーブを進んですぐの場所から入ります。

第2美深名寄線踏切(北星駅側)
第2美深名寄線踏切(北星駅側)

踏切からある程度判りますが、ホームは全くありません。ホームは稚内方向を見て右側・下の写真では線路左側の奥(旭川方向)にありました。

駅は第2美深名寄線踏切の先にあった(智恵文駅側から撮影)
駅は第2美深名寄線踏切の先にあった(智恵文駅側から撮影)

道路を更に進むと北星駅跡を見渡す場所に着きます。しかし廃止から約1年半しか経過していない2022年9月でも、既に何もなく自然に還っていました。2023年夏ではもっと進んでいます。【写真提供・JAきたいち様(外部リンク)

北星駅跡を通過する特急(2022年9月) 提供:JAきたいち様
北星駅跡を通過する特急(2022年9月) 提供:JAきたいち様

待合所は木造で「毛織の北紡」の赤い看板がありました。木造の待合所は老朽化が進んだため解体(外部リンク)「毛織の北紡」の看板は名寄市に寄贈され、名寄市中心部にある北国博物館に展示(外部リンク)されています。

名寄市北国博物館
名寄市北国博物館

また北星駅跡周辺住民の廃駅1年後の様子は、NHK旭川の報道で取り上げられたことがあります(外部リンク)

3.南美深駅(美深町・2021年3月廃止)

南美深(みなみびふか)駅は、現在の智北駅(美深町)ー美深駅の間にあった無人駅です。

南美深駅跡の位置 (C)Google
南美深駅跡の位置 (C)Google

智北駅から細い舗装道路を進む事も出来ます。また美深駅方面からの場合、国道40号から美深3線を東に進む方法も。美深3線踏切のそばにありました。

3線踏切とかつてのホーム出入口付近
3線踏切とかつてのホーム出入口付近

ホームは稚内方向に向かって左側、踏切から見て旭川側・下記写真では線路の右側にありました。

踏切から駅跡を撮影。何もない。
踏切から駅跡を撮影。何もない。

待合所は下記写真では踏切左側にありました。現在待合所は近くの農業生産法人(外部リンク)の敷地内にあり、販売所・展示施設として使われています(外部リンク)

3線踏切を東側から
3線踏切を東側から

4.紋穂内駅(美深町・2021年3月廃止)

紋穂内(もんぽない)駅は、現在の初野駅ー恩根内駅(共に美深町)の間にあった無人駅。なお初野駅・恩根内駅共に2024年に廃駅になる事に。

紋穂内駅跡の位置 (C)Google
紋穂内駅跡の位置 (C)Google

車やバイクで行く場合、国道40号を進み、道道445号へ。

国道40号から天塩川を渡った先にあった (C)Google
国道40号から天塩川を渡った先にあった (C)Google

国道40号と道道445号の交差点付近に数軒の人家がありますが、駅跡の目の前にはありません。

国道40号と道道445号との交差点
国道40号と道道445号との交差点

何と道路標識は廃駅になってからも変わっていませんでした。なお標識左の建物は宿泊施設(外部リンク)です。

廃駅後も道路標識は「紋穂内駅」
廃駅後も道路標識は「紋穂内駅」

道道445号進んでいる時、ちょうど宗谷本線の普通列車が通過したので撮影。

紋穂内駅そばを通過する宗谷本線の普通列車
紋穂内駅そばを通過する宗谷本線の普通列車

道道445号の終点に到着すると、こちらも駅舎・ホーム・駅名標は残っていません。機器小屋があるのみ。ホームは稚内方向を見て左側にありました。

紋穂内駅跡・ホームや駅舎はない
紋穂内駅跡・ホームや駅舎はない

6月の訪問時、マーガレットが咲き誇っていました。

立入禁止虎ロープがある
立入禁止虎ロープがある

紋穂内駅が廃駅となった理由は、駅周辺の人口が少ない以外に、近くを並行する国道40号を走る名寄市中心部ー恩根内の名士バスの路線バスがあるから。

国道40号にある名士バスのバス停
国道40号にある名士バスのバス停

恩根内駅へ向かうバス時刻
恩根内駅へ向かうバス時刻

名寄市中心部方面バス停
名寄市中心部方面バス停

名寄市中心部へ向かうバス時刻
名寄市中心部へ向かうバス時刻

5.豊清水駅(美深町・2021年3月信号場化)

豊清水(とよしみず)駅は、現在の恩根内駅(美深町)ー天塩川温泉駅(音威子府村)の間にあった無人駅です。美深駅ー音威子府駅の間で現在唯一列車交換が出来る設備があるため、信号場として残りました。

豊清水信号場の位置 (C)Google
豊清水信号場の位置 (C)Google

豊清水信号場から北側~音威子府村側の道路は冬期間通行止となります。冬期間は国道40号から向かう場合、美深町中心部からの道路を利用するしかありません。また路線バスは無し。

豊清水信号場の位置 (C)Google
豊清水信号場の位置 (C)Google

駅時代の駅舎が取り壊しや移転されずに残っていました。なお駅待合室に入る事は出来ません。JR関係者が保線や除雪での拠点として利用しています。駅舎周辺には立入禁止の虎ロープが張られていました。

駅舎と機器小屋があります
駅舎と機器小屋があります

ロープ手前から旭川方向を見ると、列車交換出来る構内だと判ります。

駅舎横の虎ロープ前から美深駅方面
駅舎横の虎ロープ前から美深駅方面

ロープ手前から稚内方向。かつてのホーム・駅名標は撤去されています。

駅舎から線路。ホーム・駅名標は撤去済。
駅舎から線路。ホーム・駅名標は撤去済。

駅の周りに人家はなく、牧草地が広がっています。

駅周辺に人家は見つけにくく、牧草地となっている
駅周辺に人家は見つけにくく、牧草地となっている

まとめ

1.宗谷本線・名寄ー音威子府間でJR発足後廃止された駅は5カ所・智東、北星、南美深、紋穂内、豊清水。
2.豊清水は信号場となり、駅舎も残ったが、他は駅舎・待合所が解体・移転されている。
3.名寄市にあった智東駅、北星駅の一部備品は、名寄市北国博物館に展示・保管されている。
4.5駅ともホーム・駅名標は残っていない。

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乗り物大好きライター・そらふね

地元北海道を中心に日本を旅するフォトライターです。フェリー・飛行機・鉄道旅が得意分野。船会社で船員管理・港業務・営業を経験後、旅行サイトでライターとなる。船・地方空港・名所・ホテルを紹介する記事を多く掲載しました。乗り物移動をより楽しくがモットー。

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