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JR北海道花咲線花咲駅が昔あった!花咲線(根室ー釧路)廃止駅3カ所の今

宙船乗り物大好きライター・そらふね

JR北海道花咲線は根室本線・根室ー釧路間の愛称で、沿線にある根室市花咲にちなんて付けられました。観光路線としても知られていますが、現実は赤字ローカル線。

実はJR北海道発足後、花咲線の無人駅は3駅が廃止され、うち1駅は皮肉にも「花咲駅」。廃駅跡は現在列車が通過してしまい、列車の車窓からはよく見ないと見落とすかもしれません。

JR北海道はローカル線の廃止、利用が非常に少ない無人駅の廃駅を進めています。花咲線は道内他の赤字ローカル線と比べれば廃駅数は少ない方でしょう。

花咲線の廃駅跡は今どうなっているのか?2023年8月車で追いかけてみました。花咲線の列車旅、また車での沿線旅の参考になれば幸いです。なお本稿では敢えて、根室から釧路に向かって扱います。

地元牧場主のおかげで花が咲いた駅!花咲駅(根室市・2016年3月廃止)

花咲駅は現在の東根室駅ー西和田駅(根室市)間にあった無人駅。花咲ガニなどの水揚げで知られる花咲漁港の北側にありました。

花咲駅跡の位置 (C)Google
花咲駅跡の位置 (C)Google

北海道道(以下道道と略)142号(根室浜中釧路線)と道道310号(花咲港線)間を結ぶ道路沿いに位置。ただ花咲漁港や集落、観光名所の花咲灯台や車石からは離れています。

かつては花咲駅から花咲港で獲れた水産物が列車に載せられて運ばれていましたが、水産物輸送がトラックに代わると衰退。更に旅客も減少し、2016年3月に廃駅に。

花咲港からは離れている (C)Google
花咲港からは離れている (C)Google

駅跡近くを走る道路を進むと「在りし日の花咲駅」の看板が現れます。

駅跡には看板
駅跡には看板

看板の道路側は昔の花咲駅舎と廃止直前の駅舎・ホーム・列車の写真付き。

昔の駅舎と廃止前の駅の写真付き
昔の駅舎と廃止前の駅の写真付き

看板のすぐ前には虎ロープが張られ、草に覆われた先に線路が見えます。駅舎とホームは撤去済。

ロープの先はホームはなく線路と草原
ロープの先はホームはなく線路と草原

看板の反対側・線路側は花咲駅の沿革が記されています。

文の最後「花咲駅の開業にあたっては地元、松浦氏の尽力によるものでした」。当初駅跡の東1kmに設置予定だったのですが、土地交渉が難航。現在の有限会社松浦牧場主の祖父が土地を寄付し駅舎を建設したことを表します。松浦牧場のおかげで花咲駅は花が咲いたのです。

看板の裏には説明
看板の裏には説明

駅設置当時からの経緯から、JR北海道は花咲駅の廃駅後、使用されていた駅舎(車掌車を使用)を2016年8月松浦牧場に寄贈しています。

松浦牧場のの概観は花咲駅跡から見えますが、実は寄贈された駅舎は駅跡からは見えません。なお松浦牧場は関係者以外立入禁止ですので、駅跡や列車の車窓、道路から眺めるだけにして下さい。

駅跡から見た松浦牧場
駅跡から見た松浦牧場

防霧保安林がある秘境駅!初田牛駅(根室市・2019年3月廃止)

初田牛駅は現在の別当賀駅ー厚床駅(共に根室市)間にあった無人駅。太平洋からは離れた場所にあります。現在初田牛集落に集会所がありますが人家は疎らです。廃駅前は鉄道ファンに秘境駅として知られていました。

初田牛駅跡の位置 (C)Google
初田牛駅跡の位置 (C)Google

駅跡周辺は霧の発生が多く、防霧保安林あるほど。筆者の訪問時も少し霧がかかっていました。

駅跡は駅南側を走る道道142号ではなく、駅北側を花咲線にほぼ沿っている道道1127号(初田牛厚床線)から分岐する砂利道を進む必要があります。

防霧保安林の間の砂利道
防霧保安林の間の砂利道

車で初めて駅跡を訪問する時はカーナビや地図がないと迷うかもしれません。

初田牛駅跡から道道1127号方向を見る
初田牛駅跡から道道1127号方向を見る

初田牛駅跡には花咲駅跡と同様、JR北海道が設置した駅跡を示す看板があります。こちらは花咲駅と逆で、線路の反対側に初田牛駅の沿革を記しています。

看板の北側に解説がある
看板の北側に解説がある

駅舎・ホームは撤去され、虎ロープが張られていました。

ロープの先にホームはなし
ロープの先にホームはなし

看板の線路側にかつての駅名標や駅舎の写真が記されています。でも列車からはよく見えないでしょう。

看板の南側は駅名標・過去の駅写真
看板の南側は駅名標・過去の駅写真

初田牛駅跡からは南側の道道142号や案内看板が見えますが、道道142号とストレートに行き来は不可能です。迂回が必要ですので、車やバイク、自転車での訪問者は十分注意してください。

駅跡看板の向こうに見える看板は道道142号の標識
駅跡看板の向こうに見える看板は道道142号の標識

廃駅7年前に使用開始駅舎がポツン!糸魚沢駅(厚岸町・2022年3月廃止)

糸魚沢(いといざわ)駅は現在の茶内駅(浜中町)ー厚岸駅間にあった無人駅。こちらも太平洋からは離れています。

糸魚沢駅の位置 (C)Google
糸魚沢駅の位置 (C)Google

花咲駅、初田牛駅と異なり、根室と釧路を結ぶ幹線道路・国道44号のすぐそばにあるので、車やバイク・自転車では行きやすい廃駅です。

国道44号そばにある (C)Google
国道44号そばにある (C)Google

糸魚沢駅が花咲駅や初田牛駅と異なる点、

1.駅舎が残っている
2.駅跡看板がない

駅舎は駅名が剥がされていて建物の中には入れませんが、健在です。しかもこの駅舎、廃駅の約7年前に建て替えられたばかり。廃駅も2022年ですので壊すにはもったいない状況でした。

2015年使用開始の駅舎と柵は残っていました
2015年使用開始の駅舎と柵は残っていました

駅舎と柵は健在ですが、ホームは撤去されていました。

柵手前から釧路方向・ホームは撤去済
柵手前から釧路方向・ホームは撤去済

駅だった事が判る痕跡は、新しいけど使用されなくなった駅舎と柵といえます。

柵手前から根室方向
柵手前から根室方向

駅前は砂利で、国道44号との出入りもしやすいです。列車からも比較的分かりやすいでしょう。

駅跡から国道44号方向
駅跡から国道44号方向

まとめ

1.花咲線(根室本線・根室ー釧路)でJR発足後廃駅になったのは、花咲、初田牛、糸魚沢の3駅。
2.糸魚沢駅は駅舎が現地に残っているが、他の2駅は駅跡になし。
3.3駅ともホームは実質撤去済。

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乗り物大好きライター・そらふね

地元北海道を中心に日本を旅するフォトライターです。フェリー・飛行機・鉄道旅が得意分野。船会社で船員管理・港業務・営業を経験後、旅行サイトでライターとなる。船・地方空港・名所・ホテルを紹介する記事を多く掲載しました。乗り物移動をより楽しくがモットー。

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