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ゲストハウスに元駅舎がある廃駅も!JR北海道・宗谷本線(音威子府ー幌延)の廃駅跡を行く

宙船乗り物大好きライター・そらふね

JR北海道宗谷本線の廃駅を旭川駅からたどります。旭川駅ー名寄駅名寄駅ー音威子府駅に続き、今回は音威子府駅ー幌延駅にある廃駅跡を車で訪問しました。

今回は中川町3駅跡、幌延町3駅跡を紹介します。ただ道路から行けない筬島駅(音威子府村)ー佐久駅(中川町)の間にあった神路信号場跡(中川町)は除外しました。(訪問:2023年8月)

1.音威子府バイパスが目印!琴平駅(中川町・1990年9月廃止)

琴平(ことひら)駅は、現在の佐久駅ー天塩中川駅(両方とも中川町)の間にあった無人駅。近くには金刀比羅宮から分社した琴平神社があります。ただ付近の入植者は大半が富山県出身で、香川県は少な目でした。

琴平駅跡の位置 (C)Google
琴平駅跡の位置 (C)Google

道道541号を佐久駅から進み、第二問寒別佐久停車場線踏切を渡ります。踏切の向こうには牧場と大きな道路の橋が見えます。

橋は2025年度開通を目指して建設中の国道40号・音威子府バイパス。国道40号の音威子府から中川の間は自然災害、カーブが多い場所。同様にJR宗谷本線・音威子府ー筬島ー佐久ー天塩中川も自然災害やカーブが多い区間です。

第二問寒別佐久停車場線踏切・佐久駅側
第二問寒別佐久停車場線踏切・佐久駅側

踏切の反対側からは、道路工事の看板が目立ちます。

第二問寒別佐久停車場線踏切・天塩中川駅側
第二問寒別佐久停車場線踏切・天塩中川駅側

琴平駅は踏切の稚内方向・左側にありました。踏切から見て駅の面影を感じるものは全くありません。踏切と音威子府バイパスの橋が琴平駅の場所を示しているだけです。

踏切西側から稚内方面を見る。駅の面影はない。
踏切西側から稚内方面を見る。駅の面影はない。

踏切から反対側・旭川方面を見ても、駅跡を想起させるものはありません。

踏切西側から旭川方面
踏切西側から旭川方面

2.さけ・ますふ化場が目印!下中川駅(中川町・2001年7月廃止)

下中川(しもなかがわ)駅は、現在の天塩中川駅ー問寒別駅(幌延町)の間にあった無人駅。琴平駅跡、天塩中川駅から道道541号を北上する途中にあります。

下中川駅跡の位置 (C)Google
下中川駅跡の位置 (C)Google

下中川駅跡の目印は、さけ・ますふ化場(外部リンク)への道との交差点。

道道541号線とさけますふ化場への道との交差点
道道541号線とさけますふ化場への道との交差点

道道541号から大塚線踏切を渡ります。

大塚線踏切を道道541号側から撮影
大塚線踏切を道道541号側から撮影

駅は稚内方向を向いて左側・踏切の稚内側にありましたが、ホーム・待合所などの跡は全くありません。

大塚線踏切を稚内方向に撮影。駅跡はない
大塚線踏切を稚内方向に撮影。駅跡はない

下中川駅の面影を敢えていえば、大塚線踏切にある看板くらいでしょうか。

踏切の看板には下中川が残っていた
踏切の看板には下中川が残っていた

踏切を渡り、東側から駅跡方向を見ても駅跡は見つけられません。

大塚線踏切東側から稚内方向に撮影
大塚線踏切東側から稚内方向に撮影

念のため踏切から旭川方面も。駅跡を感じるものはなし。

大塚線踏切西側から旭川方面
大塚線踏切西側から旭川方面

駅跡の周囲に人家はわずか。

大塚線踏切をさけ・ますふ化場側から撮影
大塚線踏切をさけ・ますふ化場側から撮影

駅跡付近の道道541号西側には大木がありました。

駅跡から道道541号側にある牧場と大木
駅跡から道道541号側にある牧場と大木

3.道路標識には駅!歌内駅(中川町・2022年3月廃止)

歌内(うたない)駅は、現在の天塩中川駅ー問寒別駅の間にあった無人駅。2021年4月に自治体(中川町)管理になったばかりでしたが、北海道の自治体管理駅で初めて廃止されています。

歌内駅跡の位置 (C)Google
歌内駅跡の位置 (C)Google

天塩中川駅、下中川駅跡から道道541号を進むと、道路標識にはまだ歌内駅が残っていました。

中川町中心部からみた「歌内駅」そばの道路標識
中川町中心部からみた「歌内駅」そばの道路標識

反対側・幌延側の標識にも歌内駅が残っていました。道路標識から廃駅跡跡が判るのは、同じ宗谷本線では紋穂内駅がありました。

幌延町側からみた「歌内駅」そばの道路標識
幌延町側からみた「歌内駅」そばの道路標識

道路標識を頼りに、駅跡へ向かいます。

歌内駅跡への入口
歌内駅跡への入口

廃止前は車掌車利用の駅舎があったのですが…ない。駅舎があった場所には虎ロープで立入禁止を示しています。

駅舎の姿はなし
駅舎の姿はなし

虎ロープそばからホームを見ようとしますが、無さそう。なお廃駅跡に多く見られる機器小屋はありました。

虎ロープ前からホーム方向を撮影
虎ロープ前からホーム方向を撮影

機器小屋入口前には雑草が少しありますが、人が出入り出来ないレベルではありません。

機器小屋
機器小屋

機器小屋より稚内方向に道があったので行ってみます。

機器小屋から稚内方向への道
機器小屋から稚内方向への道

道の行き止まりまで行けました。行き止まりから機器小屋方向を見ると、ホームらしい跡は盛土が雑草に覆われてある程度。線路そばのホーム部分はありません。

駅跡稚内方面から旭川方向を撮影
駅跡稚内方面から旭川方向を撮影

道道541号へ戻ります。

駅舎跡付近から道道541号方向を撮影
駅舎跡付近から道道541号方向を撮影

中川町にある廃駅3か所の中では最も分かりやすく、跡が残る場所といえます。

道道541号との交差点より。近くに人家がある。
道道541号との交差点より。近くに人家がある。

4.日本一しょぼいゲストハウスで駅舎展示中!上雄信内駅(幌延町・2001年7月廃止)

上雄信内(かみおのっぷない)駅は現在の糠南駅ー雄信内駅(共に幌延町)の間にあった無人駅。過去記事・元財務官僚トップが開駅祝福!現在は立入不可の廃駅!JR北海道宗谷線・上雄信内駅跡では、道路から駅跡へのアクセスは不可であること、雄信内駅前出身の元財務事務次官・津田廣喜氏の駅ノートに上雄信内駅開業時の様子がある事を書きました。

実は廃駅当時の上雄信内駅の駅舎はありました。幌延町内ですが、雄信内駅や上雄信内駅跡周辺ではなく、幌延町第2の集落・問寒別駅前のゲストハウスです。

幌延町問寒別駅周辺 (C)Google
幌延町問寒別駅周辺 (C)Google

ここで宗谷本線・問寒別駅について簡単に触れます。車掌車改造の無人駅ですが、幌延町によって駅舎はリフォームされました。

問寒別駅駅舎
問寒別駅駅舎

現在の駅名標。「てしおなかがわ」の下には「しもなかがわ」がありました。

問寒別駅駅名標。廃駅が進み、隣駅は秘境・糠南駅と天塩中川駅
問寒別駅駅名標。廃駅が進み、隣駅は秘境・糠南駅と天塩中川駅

問寒別駅を出て徒歩5分程度の場所にゲストハウス「ウタラといかん」(外部リンク)があります。

問寒別にあるゲストハウス「ウタラといかん」
問寒別にあるゲストハウス「ウタラといかん」

「ウタラといかん」の敷地内に、廃駅当時の上雄信内駅舎が2021年10月20日より展示中。見学についてのお問い合わせは「ウタラといかん」へお願いします。

上雄信内駅舎 提供:日本一しょぼいゲストハウス  ウタラといかん
上雄信内駅舎 提供:日本一しょぼいゲストハウス ウタラといかん

5.旧駅舎は近隣地で展示中!安牛駅(幌延町・2021年3月廃止)

安牛(やすうし)駅は、現在の雄信内駅ー南幌延駅(共に幌延町)の間にあった無人駅。雄信内駅前から宗谷本線にほぼ沿う道道256号を進みます。

安牛駅の位置  (C)Google
安牛駅の位置  (C)Google

歌内駅跡の様な道路標識はありませんが、駅跡が判る地図やカーナビを頼りに進むと、道路に下記写真の看板が現れます。看板手前の道を進みましょう。

道道256号沿いにある「安牛駅」看板
道道256号沿いにある「安牛駅」看板

道を進むと歌内駅跡に少し似た光景が現れます。機器小屋があり、ホーム跡手前には立入禁止の虎ロープ。

安牛駅跡
安牛駅跡

虎ロープ手前から見ると、車掌車駅舎があった跡や一部ホーム跡が見えます。

車掌車駅舎があった跡
車掌車駅舎があった跡

虎ロープ手前から旭川方向を見ると、線路が見えます。

ホーム跡は草が生えていました。
ホーム跡は草が生えていました。

機器小屋より先へ進むと、な、なんと廃駅当時の車掌車駅舎が…。幌延町によって近隣の場所へ移設されました。

廃駅当時の車掌車駅舎
廃駅当時の車掌車駅舎

移設された駅舎に向かいます。

車掌車駅舎・現役当時は道道側
車掌車駅舎・現役当時は道道側

横には幌延町によって作られた駅名標がありました。駅名標のフレームは廃駅当時のものを使っています。

安牛駅跡
安牛駅跡"新"駅名標

駅舎の反対側へ回ってみました。

現役当時はホーム側
現役当時はホーム側

駅名標の裏は白でした。

"新"駅名標の裏と車掌車駅舎

だいぶ老朽化していますが「JR安牛駅」と判ります。

旧駅舎にある駅名
旧駅舎にある駅名

実は旧駅舎を誰でも見学することが出来ます。駅当時の運賃表はありませんが…。

旧駅舎内部
旧駅舎内部

なんと駅(跡)ノートもありました。

安牛駅(跡)ノート入れ
安牛駅(跡)ノート入れ

安牛駅と同じ日に廃止された幌延町内の廃駅へ行ってみましょう。

6.上幌延駅(幌延町・2021年3月廃止)

上幌延(かみほろのべ)駅は、現在の南幌延駅ー幌延駅の間にあった無人駅。安牛駅跡や南幌延駅から道道256号を進み、道道645号と分岐する場所にあります。

上幌延駅跡の位置 (C)Google
上幌延駅跡の位置 (C)Google

駅跡に到着すると、線路側には立入禁止虎ロープがお出迎えしました。

駅跡にはやはり虎ロープ
駅跡にはやはり虎ロープ

虎ロープ前からホーム跡や線路を見ます。ホーム跡は少しありますが、線路手前部分は撤去済。

ホームの跡は少しあり
ホームの跡は少しあり

上幌延駅も安牛駅と同様、車掌車駅舎は幌延町により近接地へ移動。

車掌車駅舎と幌延町作成の
車掌車駅舎と幌延町作成の"新"駅名標

旧駅舎に近寄ります。

現役当時はホーム側
現役当時はホーム側

安牛駅と同様、幌延町によって"新"駅名標が作られました。

上幌延駅跡
上幌延駅跡"新"駅名標

反対側に回ります。

現役当時は道道側
現役当時は道道側

安牛駅と同様、駅名標の裏は白でした。

"新"駅名標の裏と車掌車駅舎

安牛駅と同様、誰でも駅舎内を見学出来ます。

旧駅舎内部
旧駅舎内部

安牛駅と同様、駅跡ノートがありました。

上幌延駅(跡)ノート入れ
上幌延駅(跡)ノート入れ

まとめ

1.中川町内にある琴平駅跡、下中川駅跡には痕跡がない。両駅とも目印は踏切で、琴平駅は国道バイパスの橋、下中川駅はさけ・ますふ化場が近くにある。

2.歌内駅跡は道路標識を頼りに行きやすい廃駅。駅舎は残っていない。

3.上雄信内駅舎は幌延町問寒別にある、日本一しょぼいゲストハウス「ウタラといかん」で展示中。

4.安牛駅跡、上幌延駅跡の車掌車駅舎と新駅名標は幌延町によって近接地に移動され、旧駅舎内は見学可能。

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乗り物大好きライター・そらふね

地元北海道を中心に日本を旅するフォトライターです。フェリー・飛行機・鉄道旅が得意分野。船会社で船員管理・港業務・営業を経験後、旅行サイトでライターとなる。船・地方空港・名所・ホテルを紹介する記事を多く掲載しました。乗り物移動をより楽しくがモットー。

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