Yahoo!ニュース

ロケットをハンマー投げみたいに宇宙へ放り投げる!?常識破りの打ち上げシステムを紹介!

SpinLaunch社の発射テスト装置©SpinLaunch

今回ご紹介するのは、ロケットを高速回転させ宇宙へ放り投げるという斬新な打ち上げシステムです。

誰もが一度は思い付いたことがあるかもしれませんが、まさか実行に移す企業がいたとは、、、その仰天なシステムを見ていきましょう。

■ロケットを宇宙へ放り投げる全く新しい打ち上げシステムとは?

発射テスト装置内部の回転円盤©SpinLaunch
発射テスト装置内部の回転円盤©SpinLaunch

アメリカのスピンローンチ社は2014年に設立された、飛行試験用の施設など、様々な試験を行っている企業です。同社の目的は、その名前の通り「ロケットを回転させて打ち上げる」ことです。

打ち上げシステムは高さ50mほどの円形ドラムの施設です。ドラムの内部には回転するアームが設置されており、その先端にロケットを取り付けます。しかし、ただアームが回転するだけでは空気抵抗により宇宙へ届くまでの速度には到達できません。そのため、ドラムの内部は圧力が減圧されており、アームを高速で回転できるように調節されています。そして、ロケットがドラムの出口に来たタイミングでアームから分離、ロケットは宇宙へ到達します。

■遂に初飛行試験でロケットを回転放出!

初打ち上げ試験の様子©SpinLaunch
初打ち上げ試験の様子©SpinLaunch

2021年10月22日、遂に初飛行試験が行われました。今回は初めての試験ということで、打ち上げロケットは長さ3mのダミー品を使用しています。また、出力は20%に抑えているということです。

そして、アームは回転を開始し、射出直前には音速の数倍の速さに達しています。射出されたロケットはエンジンを使わずに高度数十kmに到達し、実験は大成功とのことでした。

今後もさらに改良は続いていくとのことで期待が大きいですね。ちなみに、この打ち上げ方式の課題としては、ロケットとその貨物が大きな遠心力に耐えられる頑丈な設計でなければならないという点です。しかし、これが実現すれば高頻度で宇宙へ物を送ることが実現できるかもしれませんね。

また、地球は大気が厚く重力が強いため、宇宙へ到達するためには大きな打ち上げシステムやロケットによるアシストなども必要になります。しかし、月や火星では大気が薄く重力も弱いので、ロケットなしで宇宙に到達させられるかもしれませんね。まさに、機動戦士ガンダムに出てくるマスドライバーそのものです。

今回のスピンローンチ社の打ち上げシステムも近い将来実用化されることを楽しみにしています!

【関連記事】

スペースワンの新型ロケット「カイロス」3月9日に打ち上げ!

H3ロケットが描く将来打ち上げ計画、増強型H3ロケットとは?

SpinLaunch

毎日宇宙ニュースをお届け!!ロケット打ち上げニュースや宇宙開発計画を、初心者の方にも分かりやすく解説します!YouTube・TikTokでは最新宇宙ニュースや雑学を発信していますので、是非ご覧ください^^皆さんからの気になる質問や熱いコメントもお待ちしています!

スペースチャンネルの最近の記事