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H3ロケット2号機、2月17日に遂に打ち上げ!!1号機の失敗原因と、2号機の対策とは!?

H3ロケット1号機打ち上げ©JAXA

2月17日(土)、遂にH3ロケット2号機の打ち上げが行われます。

本記事では、直前に迫ったH3の打ち上げについて、1号機で何が起こっていたのか、そして2号機ではどのような対策を施したのかについて解説していきます。

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■H3ロケット1号機に一体何が起こったのか

まず、2023年3月7日、初号機となるH3の打ち上げが行われました。ロケットの第1段エンジンの燃焼は無事成功し、順調に高度は上昇していきます。そして、第1段エンジンの分離までは正常に行われたことが確認されました。

その後、打ち上げから約5分経過した後に第2段エンジンの燃焼が開始されるはずなのですが、燃焼が開始されないというトラブルに見舞われました。徐々にロケットの高度は低下していき、打ち上げから約14分後、所定の軌道に投入できる見込みがないことから、空中にて指令破壊を行うこととなりました。

機体はその後、フィリピン東方の海上に落下したと推定されています。これにより、ペイロードであった地球観測衛星「だいち3号」が失われることとなりました。

地球観測衛星「だいち3号」
地球観測衛星「だいち3号」

■1号機の打ち上げで判明したこと

H3ロケット1号機では、開発に難航していた第1段のLE-9エンジンは所定の性能を発揮しました。また、設計が変更された固体ロケットブースターについても計画通りに飛行ができています。

一方で、今回点火できなかった第2段エンジンである「LE-5B-3」は、H3ロケット用に新たに開発されたものではあるのですが、これまでの日本の液体燃料ロケット用の第2段エンジンとして改良が重ねられてきた5代目です。H2AやH2Bなどにも搭載されており、高性能で信頼性は極めて高いものになります。改良型であるH3の第2段エンジンは、基本的にはエンジンの高性能化や長寿命化が図られているのみで、機体の電気系統には大きな違いはありません。

それでは、第2段エンジンに一体何が起こったのでしょうか。打ち上げ前には、最終準備状態の機体で第二段エンジンが実際に駆動するかの確認試験が実施されており、その際は正常にシーケンスが進むことは確認されていたようです。

JAXAの発表によると、打ち上げ中に電気系統の不具合により異常が検知されたことが報告されています。この異常検知は、H3ロケットから新たに追加された機能です。そのため、第2段エンジンを制御するコントローラーが電源供給を停止し、点火指示が送られなかったとのことです。

■H3ロケット2号機ではどのような対策が施される?

H3ロケット1号機©JAXA
H3ロケット1号機©JAXA

その後のJAXAにより調査が行われましたが、第2段の燃焼が開始されなかった原因は一つに特定することはできませんでした。しかし、電子機器の故障であることが発表されました。エンジン点火装置を動作させるためのエキサイター呼ばれる部品や配線などで、ショートが発生した可能性があるとのことです。

電子部品は製造時のバラつきもあるため、地上での検査では合格となったものが、飛行中にショートを起こすなどが考えられます。このことから、2号機では確認不足であった全ての電子機器を点検し、ショートが発生する可能性の部品を取り替える対策を施しているとのことです。

今回の打ち上げでは、第二段エンジンの点火と性能の評価が最大の観点となりそうですね。打ち上げが無事成功することを祈っています!

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