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H3ロケットが描く将来打ち上げ計画、増強型H3ロケットとは?

H3ロケット©JAXA

2月17日、H3ロケット2号機は打ち上げに成功し、二つの小型衛星を宇宙へ届けることにも成功しました。おめでとうございます。

これから大活躍が期待されるH3ロケットですが、本記事では将来の打ち上げ計画についてご紹介していきます。

H3ロケット打ち上げ成功!日本の宇宙開発の使命を背負い宇宙へ!

■H-IIAの引退とH3への世代交代

JAXAはH3ロケットを早期の打ち上げ成功を成し遂げる大きな理由がありました。それは、国産基幹ロケットの世代交代のためです。現在主力であるH2Aロケットは、2024年度に打ち上げ予定である残り2基で退役が決定しています。本来であればH3ロケットは2020年より運用が開始されるはずであり、H-IIAとH3の二基体制で徐々に世代交代を行っていく予定でした。H3ロケットの運用開始は少し遅れてしまいましたが、日本の主力大型ロケットがなくなるという事態は避けることができ、無事にH-IIAは今年度で引退を迎えるられることとなりました。

■今後のH3ロケット打ち上げ計画

「宇宙基本計画」の工程表より引用
「宇宙基本計画」の工程表より引用

今回、H3ロケットの2号機の打ち上げが成功したことにより、次の打ち上げも2024年内に予定されています。3号機では地球観測衛星「だいち4号」、4号機ではXバンド防衛通信衛星の打ち上げが決まっています。打ち上げが連続で成功し、H3ロケットの運用が軌道に乗ってほしいですね。

そしてそれ以降も、既にH3ロケットでの打ち上げを待っている衛星や探査機がごった返している状況となっています。JAXAの発表によると、2025年度には新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」や、月極域探査計画「LUPEX」など、JAXAの目玉となるプロジェクトが打ち上げに向けて今か今かと準備を整えています。

火星衛星探査計画「MMX」©JAXA
火星衛星探査計画「MMX」©JAXA

一方、火星衛星探査計画「MMX」は当初2024年の打ち上げを目指していましたが、H3ロケットの運用開始の遅れから、2026年の打ち上げへ変更となりました。これは、地球から火星への軌道は2年おきにしか周期がやってこないためです。打ち上げは遅れるという結果とはなりましたが、満を持して火星圏からのサンプルリターンを成功させて欲しいですね。

■既にH3ロケットの次世代機も開発開始?

月周回有人拠点「ゲートウェイ」と新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」©JAXA
月周回有人拠点「ゲートウェイ」と新型宇宙ステーション補給機「HTV-X」©JAXA

将来に構想されている増強型H3計画について紹介しておきます。

アメリカが主導している月周回軌道に建設予定の宇宙ステーション「ゲートウェイ」をはじめとするアルテミス計画にJAXAも参画するために、H3の増強が検討されています。現在、HTV-Xによりゲートウェイへの物資補給を行うことが予定されていますが、月へ行くためのロケットの燃料が増えてしまい荷物が運べなくなってしまうんですね。

プランとしては、胴体を3本束ねたような形で、打ち上げ能力がほぼ倍になるとのことです。三菱重工業は2025年には間に合わなくても2030年までには開発できると見込んでいます。名前はどんな形になるんでしょうね。SpaceXのファルコンヘビーになぞらえて、「H3ヘビー」がカッコいいなと思っています。

H3ロケットの将来打ち上げ計画をご紹介させて頂きました。停滞した宇宙開発が再始動した日本とJAXA、これから遅れていた分を取り返していきたいですね!

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