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【京都国立近代美術館】ピカソが京都にやって来た!絶対に見ておきたい世界の名画

旅人間はらぺこライター

はらぺこライターの旅人間です。

今回は京都国立近代美術館で開催中の『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション』の一部を紹介しましょう。

ピカソの絵画が気になっている方は、このチャンスを見逃してはいけません。

ルートヴィヒ美術館とは、ドイツ第4の都市、ケルン市が運営する20世紀から現代までに特化した世界有数の美術館です。

その優れたコレクションは、市民のコレクターたちによる寄贈を軸に形成され、ヨーロッパで最大級のピカソの収蔵点数を持つ美術館の一つとしても知られています。

そんなルートヴィヒ美術館から代表作の約150点が京都にやって来ました。

その見所は…

ドイツ表現主義、新即物主義、ピカソや、ロシア・アヴァンギャルド、アンディ・ウォーホルの作品など、20世紀初頭から今日までの多様な表現。そして、二度の世界大戦、東西ドイツへの分裂から統一に至る激動の時代を生きたコレクターたちが芸術を愛し守り、次世代に継承しようとした想いでしょう。

最初にパッと目に入るのが、オットー・ディクスの「ヨーゼフ・ハウプリヒ博士の肖像」(左)とアンディ・ウォーホルの「ペーター・ルートヴィヒの肖像」(右)です。

ルートヴィヒ美術館の設立、そしてそのコレクションの発展において、重要な役割を果たしたコレクターの肖像画となります。

また、ここでは「ペーター・ルートヴィヒの肖像」の作者がアンディ・ウォーホルという点にも注目しましょう。

アンディ・ウォーホルと言えば、1960年以降大量生産、大量消費社会の出現を背景に、加工食品のパッケージや商標、または映画スターなど巷にあふれるイメージを流用した作品を次々に発表したポップ・アートの先駆者です。

ここではブリロ洗剤箱の「ホワイト・ブリロ・ボックス」、そして「二人のエルヴィス」の作品が展示されています。

19世紀末から20世紀初頭のドイツでは、ドイツ表現主義と呼ばれる芸術活動が起こり、19世紀的な写実主義や印象派的な表現からの脱却を目指して各地でグループが結成されました。

しかし、20世紀前半は戦争の時代…

作者の多くが戦争で亡くなったり、心身に影響を受けたり、また、作品の多くがナチス政権下で「退廃芸術」として接収されるなど、その多くを失ったという。

ココで見られるのは、その受難から守り抜いた貴重な作品となります。

ドイツ表現主義と同時代に起こったロシア・アヴァンギャルドと呼ばれる芸術における ”革命的革新” も見所です。

日々の生活のあらゆるものを独自の視線でとらえ、ロシアからソ連へ国家が替わった時期の人々や風景を映し出した写真作品も必見です。

ピカソとその周辺

そして、やっぱり注目はピカソの作品ですね。

ピカソ
ピカソ

20世紀美術の巨匠として知られるピカソは、1881年にスペイン南部の港町マラガに生まれ、幼少期から類まれな画才を見せたという。

しかし、1936年のスペイン内戦勃発から1945年の第二次世界大戦まで、ピカソは暗く不穏な雰囲気の作品を多く描いています。

パブロ・ピカソ「アーティチョークを持つ女」
パブロ・ピカソ「アーティチョークを持つ女」

その中でも「アーティチョークを持つ女」のインパクトは衝撃的です。

女性の右手に中世の打撃用の武器モルゲンシュテルンを思わせるアーティチョークが握られ、膝に置かれた左手には鋭い爪が生えているのが分かります。

空間に充満する灰色は、戦場に立ち込める煙のよう。そして、激しく歪んだグロテスクな女性の頭部に視線がそそがれます。

戦争の光景は直接的に描いていなくとも、悲惨な様子が心に訴えかけてきます。

パブロ・ピカソ「眠る女」
パブロ・ピカソ「眠る女」

晩年期のピカソは、敬愛する過去の巨匠たちが描いた主題をしばしば取り上げ、横たわる裸婦の姿を描いた「眠る女」もその一つ。

生命力にあふれた肢体の描写は、戦争下の頃と明らかに異なっています。

ピカソ
ピカソ

そして、最晩年まで創作意欲を燃やし続けたピカソは、1973年に91歳で生涯を終えました。

ピカソ
ピカソ

戦時下の精神的不安感が伝わる作品の印象が強いピカソですが、暗い戦争の時代を耐え抜き、平穏な日々を謳歌する幸福感ある様子は陶芸作品の展示からも分かります。

これもピカソの…?

と、きっと驚くはず。この展示も絶対に見ておきたい。

ピカソ
ピカソ

ピカソの収蔵点数がヨーロッパで最大級というルートヴィヒ美術館、ルートヴィヒ夫妻は、ピカソを自らの時代を表現する芸術家とし、そして作品の収集対象は全時代全ジャンルにおよんだと言われています。

なかでも、当時はまだ評価の定まらなかった晩年の作品を ”伸びやかな表現” と高く評価し、数多くコレクションされていたそうですよ。すごいですね。

また、同じコーナーにはマルク・シャガール「妹の肖像」など、ピカソと同時代の作家たちの作品も展示されています。

普段では絶対に見られない名画の数々…

この機会に、ぜひ楽しんでみては如何でしょうか。

京都国立近代美術館
ルートヴィヒ美術館展
20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション
住所:京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
電話番号:075-761-4111(代表)
会期:2022年10月14日(金)~2023年1月22日(日)
開館時間:午前10時~午後6時
(金曜日は午後8時まで開館)
休館日:月曜日、12月29日~1月3日
(12月26日と1月9日は開館)
観覧料:一般:2,000円
大学生:1,100円、高校生:600円
中学生以下は無料
公式ホームページ(外部リンク)
地図(外部リンク)
※詳細は公式サイトでご確認下さい。
取材協力:京都国立近代美術館

はらぺこライター

アメリカや東南アジア、インドなどへの一人旅、タイの首長族の村に泊まった体験談など2005年から始めたブログをキッカケに旅行サイトから声がかかる。トラベルjpでは新人賞、年間アクセス1位賞、SNSで拡散されたソーシャル賞を受賞。またグルメサイトで連載、吉本興業の公式ライターなどを経て現在に至る。 当Yahoo!ニュース エキスパートでは主観的な目線で旅やグルメをテーマに記事を書いている。

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