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【相模原市】飲み手によって味が変わる名酒”相模灘”の酒蔵へ!甘いか?辛いか?

旅人間はらぺこライター

はらぺこライターの旅人間です。今回は名酒「相模灘」で知られている神奈川県相模原市にある久保田酒造株式会社に訪問してきましたのでリポートしましょう。

この相模灘は甘いか?辛いか?飲む人によって味が違うという。要するに、吟醸造りの香りで甘く感じる人、中硬水でキリッとした辛口に感じる人、このように分かれるのだとか。そんな事を聞けば、飲んでみたくなりますよね。

同店は首都圏中央連絡自動車道(さがみ縦貫道路)の相模原IC.からスグの場所に位置する創業1844年の歴史ある酒蔵です。

相模原市の中心部から10kmほど山奥に向かった相模川の支流沿い。津久井湖の城山公園から少し南側といえばイメージしやすいでしょうか。山間部に位置し、比較的冷涼な気候に恵まれ、酒造りの最盛期にあたる12~2月は例年氷点下まで冷え込むという。

到着すると、歴史を感じる日本家屋の横には森が繁り、年間を通じて直射日光から蔵を守ってくれるそう。確かに日差しの強い日に訪問したが、この一帯は涼しさがある。製造蔵に隣接する母屋にて商品は販売されています。

今回は「蔵見学」での訪問させて頂いたが、見学については公式サイト(外部リンク)で要確認を。酒造りに入る冬季は中止となる。

さて、酒蔵に足を踏み入れると、そこは神聖な空気感と荘厳さに満ちている。ひんやりとした空気、独特の香り、薄暗く静かな中で醸造タンクが並んでいる。

この見学で特に印象的なのは麹室。酒造りが始まる時期になると、ここは限られた人しか絶対に入ることが出来ない場所だ。

麹造りは日本酒の味を決定する重要な工程として知られて、同店では完全手造りの箱麹法を採用している。つまり、厳密な温度管理のもと造られているのだ。夜中も寝ずに付きっきりで温度管理をする。30度くらいから、出来上がる時は44度くらいまで。この温度が狂うと味が変わってしまうので重要な役割を担う。

世の中は機械化が進んでいるが「それでも手作業を?」と聞けば、その年によって米の出来が違う、天気も湿度も日によって違う。だから常に同じやり方で良いとは考えていないとキッパリ。目で見て、手で触り、香り、経験が一番信用できる。要するに「自分たちが納得するものを作りたい」と久保田酒造の太田さん。

そして、「人間でも39度のお湯から40度って違うでしょ?」「麹菌で1度は致命的。0.1度で味は変わる。そこまで繊細に見なきゃいけないんです」と。もちろん同店ではデータ化もしているが、経験を一番大切にしている所にとても感銘を受けますね。

久保田酒造の太田さん
久保田酒造の太田さん

さて、ここは仕込み蔵。中に入るとヒヤッとする。まるで冷蔵庫の中にいるよう。ここは年間を通して5度くらいで設定されているトコロ。

取材に応じてくれた太田さんから教えてもらったのは「タメ」と呼ばれるバケツのような酒造りに使う道具について。江戸時代から素材は変わってもカタチは変わっていないのだとか。

一斗(約18リットル)のお酒や水が入れられる「タメ」は、持ち方、運び方によってハシゴを上り下りしても一滴もこぼれないという。

18リットルは一升瓶で10本分。全て計算されている。江戸時代の人の技術は凄い。改めて経験による継承は見事だと改めて教えられました。

最後に、久保田酒造に来て驚いたのは、最後の最後までお客さんに「最高の状態で飲んでもらおう」という工夫。例えば出荷場の温度は15度くらいの低い温度の室内で1ヶ月ほど管理して味を少し開かしているそう。

味が開ききってない状態で出した場合、お酒に詳しいお客さんなら「もう少し待とう」と判断するが、そこまで詳しくないと「美味しくない」と勘違いしてしまうかもしれないからと。そこまで徹底して考えているのだとか。

「好きに飲めばいいんですけどね!」と笑いながら答えてくれる大田さん。ココに来たら美味しいお酒の飲み方も教えてもらえる。

ちなみに、「相模灘」を酒屋さんに見かけたら、その店はお酒の事を詳しく知っている店だという。要するに信頼できる店、お客さんに丁寧に説明できる人に販売して欲しいから、そのような店にしか渡さないのだとか。

例えば、ある販売店では、「まだ売れない、あと3ヵ月したら売り始めるから」と味を見てから判断しタイミングを見て売る店もあるほど。極限までこだわった最高の酒を、ベストな状態で販売する。それが「相模灘」というお酒なのだ。

さぁ、あなたは甘いと感じるか?辛いと感じるか?ぜひ飲んでみては如何でしょうか。

久保田酒造株式会社
住所:神奈川県相模原市緑区根小屋702
電話番号:042-784-0045
直売所:年中無休※支払いは現金のみ
営業時間:10:00~17:00
公式ホームページ(外部リンク)
地図(外部リンク)
取材協力:久保田酒造株式会社

はらぺこライター

旅行好きのライター。各地に伝わる伝説や民話、古くから地元で大切にされているモノを親しみやすく紹介したい|地元で人気の食堂やレトロな喫茶店巡り|”思わずクスッと笑ってしまうような”珍スポット探し|目標は個性的でヘンテコな旅本の出版|フォローして頂けたら嬉しいです。

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