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湖上に浮かぶ謎の結界とは?相模湖に沈んだ村が残した縁結びのパワースポット

旅人間はらぺこライター

はらぺこライターの旅人間です。今回は神奈川県相模原市にある謎めくパワースポットについて紹介しましょう。フジテレビ『世界の何だコレ!?ミステリー』でも紹介されたダム湖に浮かぶ神秘的な何かとは…。

現地で関係者に話を聞けば、そこは「湖に沈んだ村」が眠る場所だという。一体何が起きた場所なのか?取材してみた。

ここは相模原市緑区にある相模湖。かつて相模川を「相模ダム」によってせき止めて作られた人造湖である。1964年の東京オリンピックのカヌー競技会場で知られ、現在では遊覧船、足漕ぎボートなど楽しめる憩いのスポットとなっている。また、冬にはワカサギ釣り、夏は湖上花火大会でも知られる。

そんな相模湖で話題になっているのが「湖上に白い大注連縄」の相模湖道祖神。しめ縄の近くまで船で行き手を合わせると”恋愛が成就する”という。

相模湖公園から遊覧船やボート乗り場へ向かって歩くと、周囲は昭和から時が止っているようなレトロな雰囲気でパワースポット的な場所があっても不思議ではない。

近くにいたファミリーに話しかけると「あぁ、白い大注連縄はココからも見えますよ」と遠くに見える白いモノを指さし教えてくれた。遊覧船(ニュースワン丸)に乗って見てきたばかりらしく「謎めいた雰囲気だった」と満足げ。直前で船は減速し、目の前にで数秒止ってくれるので写真も撮りやすいという。

それにしても…「なぜ、湖上に注連縄が?」という事で、ニュースワン丸を運営する勝瀬観光株式会社に取材許可をとり、お話を聞かせてもらうことにした。

湖上にある白い大注連縄の正体は?相模湖道祖神とは?そして恋愛のパワースポットの真相は?ダム湖に沈んだ村があるってホントなのか?など、色々と気になって仕方がない。

ダム湖に沈んだ村…

勝瀬観光株式会社の代表の小野澤さんは以前に取材の関係で面識がある。「おぉ、兄ちゃんか」と親しみある笑顔で迎えてくれた。

「相模湖に沈んだ村について教えて欲しいのですが、痕跡とか見えるポイントとかあるんですか?」と聞けば「無理やなぁ」と。村は湖底の30~50mほど下にあり、全く見えないらしい。この湖底には、かつて旧日連村の勝瀬という集落があった。豊かな水田があり、舟運、川魚漁などが盛んで、避暑地として栄え、多くの人が暮らしを営んでいたという。

相模湖は日本初の多目的ダムとして作られた人造湖である。このダムは1938年に県議会で可決され、建設が始まったのは1941年頃。つまり当時は日中戦争~太平洋戦争の最中だ。国際社会のなかでは孤立を深め、日本は経済封鎖されていた時代。つまり、軍需産業に電気を送るために、ダムは不可欠とされたのだろう。

もちろん「先祖代々の土地が消えてしまう」と人びとは抵抗運動をしたが、軍から圧力をかけられ、泣く泣く土地を手放すしかなかったのは想像にたやすい。

道祖神とは…?

ところで、湖上にある「白い大注連縄」って何ですか?と聞けば、「あの下に道祖神が埋まっている」と文献と共に教えてくれた。

道祖神(どうそじん、どうそしん)は、村境、峠などの路傍にあって外来の疫病や悪霊を防ぐ神である。のちには縁結びの神、旅行安全の神、子どもと親しい神とされ、男根形の自然石、石に文字や像を刻んだものなどがある。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照

なぜ恋愛のパワースポットに?

船で近くまで行って、手を合わせると”恋愛が成就する”という噂を耳にしたことについても質問してみると…。相模湖の道祖神について教えてくた。

当時、この付近は蚕(かいこ)が盛んな地域で、この地にあった道祖神には「沢山の繭(まゆ)がとれますように」と生産への願いが込められていたという。お蚕さんの増産は、子宝、子孫繁栄・縁結びにも関連性があるというのだ。

道祖神は様々な役割を持った神であり、全国的に夫婦和合、男女一対の形での習合、男神と女神の祝事像、男根石といった様々な役割を持った神としても知られている。「相模湖にあった道祖神も同様だったと考えられたのではないだろうか?」と小野澤さん。

更に、この地にあった道祖神の後ろに沢が流れ、その近くにあった岩の形から「さねがさわ」と呼ばれていたという。「さね」を漢字で書くと「実」、どうやらその岩が女性器の形に似ていたことから注連縄をし「縁結び、商売繁盛、交通安全にご利益のある神聖な場所として祀った」と地元で伝わっているそうだ。

そしてダム湖に沈んだ現在も「縁結び」にご利益のある地として知られ、最近では「パワースポット」という今どきの言葉で再び注目を集めているという。

ニュースワン丸へ!

さて、ニュースワン丸に乗って道祖神のある白い大注連縄の近くまで行ってみることに。湖上遊覧は約25分、快適な時間が楽しめる。

ちなみに、現在運航中のニュースワン丸は昭和41年に就航した日本で始めての白鳥型遊覧船スワン丸の姉妹船として、昭和59年に進水した100人乗り大型遊覧船である。

このレトロ感も実に良い。

出航すると、穏やかな風景に心が癒される。

この下に村が沈んでるなんて全く想像すらできないが、この湖底には「そこで過ごした人々の思い出」が眠っているのだ…。

今は何事も無かったかのように全てを水の中に包み込まれているが、ここで起きた事実は知っておくべきだろう。

尚、船内には、当時の村の写真が飾られている。この村に住んでいた人々の多くは現在の海老名市に集団移住し、その地名には「勝瀬」という名が付いたそうだ。

幾多の困難を乗り越えて完成した相模湖は、神奈川県民の大多数にとって貴重な水瓶の1つとして現在も重要な役割を果たしている。

穏やかな湖を遊覧するニュースワン丸では、船内放送で地名の由来、歴史、そして沈んだ村についての案内が流れます。

そして道祖神のある「白い大注連縄」に近づいてきました。

注連縄(しめなわ)は、いわゆる結界を意味し、縄が神域と俗界を分けるものであることを表すと言われていますが、確かに独特な雰囲気が漂っている。

船は「白い大注連縄」の目の前で少し止ってくれるので拝観が出来る。

そして…!

カメラを向けた瞬間、角度的に太陽の眩しさと重なって、目の前に幻想的な光が包み込んだ。なんと!パワースポットにふさわしい…。

もちろん!これが「逆光」が原因いうのは分かります。まず間違はないでしょう。ただ、このようなタイミングに遭遇する楽しさ、神秘性、そんな偶然もまたパワースポットの魅力ではないでしょうか。

特にこの相模湖は「湖に沈んだ村」のある場所。謎めく何かが起きても不思議ではない。まして今もココには、昔から信仰されていた道祖神が眠っているのだから…。

尚、相模湖の周辺では個性的なグルメ(ダムカレー)が味わえます。例えば、相模湖交流センターの2Fにある「喫茶レストラン 青林檎」では驚きの500円でクオリティーも抜群です。パワースポット巡りにおすすすめですよ。

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勝瀬観光株式会社
住所:神奈川県相模原市緑区与瀬382
電話番号:042-684-2131
営業時間:9:00~18:00(冬季は17時まで)
料金:大人1,000円、小学生500円(ニュースワン丸)
※1周約25分
公式ホームページ(外部リンク)
地図(外部リンク)
取材協力:勝瀬観光株式会社

はらぺこライター

アメリカや東南アジア、インドなどへの一人旅、タイの首長族の村に泊まった体験談など2005年から始めたブログをキッカケに旅行サイトから声がかかる。トラベルjpでは新人賞、年間アクセス1位賞、SNSで拡散されたソーシャル賞を受賞。またグルメサイトで連載、吉本興業の公式ライターなどを経て現在に至る。 当Yahoo!ニュース エキスパートでは主観的な目線で旅やグルメをテーマに記事を書いている。

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