Yahoo!ニュース

和歌山「井出商店」を取材した!”日本一うまいラーメン”の栄冠を手にしたスープが出来るまでの誕生秘話

旅人間はらぺこライター

はらぺこライターの旅人間です。今回は和歌山ラーメンで親しまれている中華そばの名店「井出商店」を紹介しよう。

同店は1998年元日に放映されたTVチャンピオン「日本一うまいラーメン決定戦」で優勝し、日本全国にご当地ラーメンブームの火付け役となったことで知られている。26年が過ぎた今も不動の人気を誇る。その魅力とは?取材した。

和歌山中華そば 井出商店

JR和歌山駅から徒歩で約8分、国体道路沿いにある小さな店が井出商店だ。田中町の交差点のスグ脇に黄色いテントに赤文字で「中華そば専門店」と書かれているので分かりやすい。

和歌山でご当地ラーメンを語るなら、この店は絶対に外せないだろう。

TV番組の企画で優勝してから…

冒頭で書いたが、同店はTV番組の企画で”日本一うまいラーメン”の頂点に輝いた。その後、連日長蛇の列となり、次第に「和歌山ラーメン」という言葉がメディアによって生みだされた。

当時の話を店主の井出紀生さんに聞くと、優勝した直後は大変だったという。全国からお客さんが来てくれるのは嬉しかったが「地元の常連さんに迷惑をかけてしまった」と話す。

日本一に輝いたスープの誕生秘話

井出商店の味の魅力は醤油と豚骨のバランスの絶妙さにある。”コク深くまろやか、後味あっさり” が特徴だ。この味に行きついたのは「地元のお客さんのお蔭」と店主は語る。どうゆう意味だろうか?

和歌山の「中華そば」と言えば、一般的に”車庫前系”と”井出系”に分けられる。前者は澄んだ醤油スープが特徴、後者の”井出系”は豚骨醤油として知られる。ところが創業当時は同店も醤油味の澄んだスープだったというのだ。

写真/特製中華そば
写真/特製中華そば

昭和28年(1953年)に屋台から創業して以来、常連さんが沢山食べに来てくれ、長く煮込んだスープは、月日と共に澄んだ醤油味から次第に濃度は濃くなったという。まるで美味しさを増すように…。そして試行錯誤しベストな状態で保たれているのが現在のスープというワケだ。

要するに、かつて日本一と評されたスープは「この店を長く愛してくれたお客さんと共に作り上げた味」に等しい。

一人で作り上げた味ではない。もちろん偶然に出来上がった味でもない。地元の常連さんあっての味、それが和歌山を代表する”井出系”の誕生秘話と言える。

この味は高く評価されTV番組の企画で見事優勝を果たす。

その後、日本全国からお客様が来るようになった。それは喜ばしいことだが、その一方で加熱した人気は長蛇の列となり、今まで来てくれていた常連さんが遠のいてしまったという。そんな複雑な気持ちも話してくれた。

井出商店は”素朴な”中華そば専門店

注目が集まって多くの客が食べに来ると評価も分かれる。例えば、レビューを見ると「美味しかった」「最高だった」という声もあれば「期待外れ」というコメントもある。もちろん、味の好みは人それぞれ。美味しいと感じる人もあれば、そうでない人もあるのは当然のことだ。

ただ、これは私の勝手な主観だが、井出商店は”素朴な”中華そば専門店。TV番組で王者に輝いた経歴から、過度な期待を持ってしまうのも無理はない。

とは言え、スープを飲んでビビッと来て「うまいーーー!」と叫びたくなるような感動が走るかと言えば、そんなことはあり得ない。”日本一”になったとは言え、そんな派手な味の店ではなく、素朴な味が楽しめる店だからだ。

繰り返すが、ここは昔から和歌山で地元客から愛され続けた「中華そば」の店。ジワッと身体に染み込む素朴さの中に深みが味わえる。

一杯の器の中に”旨さ”がギュッと詰まり、”後味あっさり” で終わる余韻もたまらない。懐かしさと旨さが交わったような美味しさが魅力なのだと私は感じている。

変わらない魅力

最後に、こんな事を言ったら怒られるが、同店はお世辞にも”お洒落”な部分は微塵もない。昔のまま変わらない庶民的な店だ。これも魅力の一つ。

行列が出来る人気店になると立派に改装したり、店舗数を増やしたり、色々と変化する店もあるが、ここは変わっていない。

細かい点を言えば色々あるだろうが、このマイペースさに惹かれる。店舗は拡大しないのか?店主に聞くと「弟子たちが頑張ってくれているから、それが嬉しい」と返って来た。

尚、今回の取材は厨房の奥にある小部屋で足を崩し雑談のようなスタイルでインタビューをさせて頂いた。こんなリラックスして良いのだろうか?と逆に焦るくらいアットホームな雰囲気だった。

私の両親は和歌山に住んでいたので、同店は過去に何度も利用した事がある。客として色々と知っていたつもりだったが、取材を通し新たに感じたのは繁盛店に多い共通点だった。

きっと、それは”人を大切にしている”ことではないだろうか。

<関連記事>
【和歌山市】ご当地名物の和歌山ラーメン巡り「中華そば専門 丸三」はコッテリ好きに超おすすめ!

和歌山中華そば 井出商店
住所:和歌山県和歌山市田中町4丁目84
電話番号:073-424-1689
営業時間:11:30-22:00
定休日:木曜日
公式ホームページ(外部リンク)
公式instagram(外部リンク)
地図(外部リンク)
取材協力:井出商店

はらぺこライター

旅行好きのライター。各地に伝わる伝説や民話、古くから地元で大切にされているモノを親しみやすく紹介したい|地元で人気の食堂やレトロな喫茶店巡り|”思わずクスッと笑ってしまうような”珍スポット探し|目標は個性的でヘンテコな旅本の出版|フォローして頂けたら嬉しいです。

旅人間の最近の記事