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【泉南市】誰でも利用できる「子ども食堂 ゆり」おとな300円 子ども100円の”あったかごはん”とは

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉南市・泉佐野市)

みなさんは「子ども食堂」と聞いてどんな場所を想像しますか?

貧困家庭の子どもに無料または安価で食事を提供する場所。

家族そろってごはんを食べることが難しい子どもたちに、アットホームな雰囲気と温かいごはんを提供してくれる場所。こんなイメージでしょうか?

実は、わたしもそういうイメージを持っていました。

ところが、わたしたちの街にある「子ども食堂 ゆり」は、どうやらそういう雰囲気ではなさそうです。毎月第二土曜日にオープンする「子ども食堂 ゆり」に“あったかごはん”を食べに行った様子をお伝えします。

あいぴあ泉南の1階に毎月第二土曜日にオープンする「子ども食堂 ゆり」は、泉南母子寡婦福祉会が運営する“街の子ども食堂”。2021年11月のオープン以来、総勢13名のボランティアの方々が地域のみなさんに“あったかごはん”を届けてくださっています。

オープン前の店内の様子を撮影させていただきました。

光が降り注ぐ明るい店内はまるでおしゃれなレストランのようです。ここが「子ども食堂」? と目を疑うほど。

開店準備で忙しそうなスタッフの方々。時には笑い声も聞こえ、和やかな雰囲気です。

この日のメニューは、「牛丼セット」(牛丼、甘酢和え、具だくさんの*だご汁)

*だご汁とは、小麦粉と米粉を混ぜたお団子を使用した“九州の田舎料理”とのこと

今日の献立に使われている食材は、泉南市社会福祉協議会やフードバンクを通じて地域のみなさんから提供していただいたものだそう。泉南市からの支援もあり、大阪府からは毎月届く食材に加えて、お肉券やお米券などが贈られてくることも。地域から届くお野菜やお米、たくさんの人々の想いが込められた“あったかごはん”。ありがたく残さずいただきたいですね。

メニューは、九州出身のスタッフの方が中心に考案されているそうです。過去のメニューは「ロール白菜、青菜の和えもの、大学芋、みそ汁」「カレーライス」「お花見弁当」「生姜焼き定食」など。

なんとこのお料理が、おとな300円子ども(中学生まで)100円で食べることができるんです。「子ども食堂って子どもだけでしょ?」という声が聞こえてきそうですが、「子ども食堂 ゆり」は、特に条件などはなく“おとな同士でもOK”ご家族親子ご夫婦子ども同士おひとりさまなど、この日も様々なお客さんがいらっしゃっていました。

オープンと同時に訪れたのは、小さい子ども連れのご家族。

お話を伺うと、本日2回目の来店とのこと。「ランチに訪れる感覚で来ています」と奥様。「いつも記事見ていますよ♪」とご主人。ありがとうございます!

こちらの女性は、おひとりのご様子。聞くところによると、あいぴあ泉南でお風呂に入ってから、食事をして帰るのが定番コースなのだとか。みなさん様々なシチュエーションで「子ども食堂 ゆり」を利用されているんですね。

市民交流センターのイベントへ行く前に立ち寄ったという親子。「栄養とらなあかんで。ちゃんと食べ、残したらあかんで」と息子さんがお母様にお声掛けをされている様子が微笑ましく、やはり誰かと一緒に食事をするということは、コミュニケーションの場としても必要なのだと感じました。

そんな中、松葉杖をついた女性が来店されました。

スタッフの方があいぴあ泉南の「貸出用の車椅子」で素早く介助をされていました。地域住民のコミュニケーションの場でもある「子ども食堂」は、“みんなに平等でやさしい場所”でもあるのだと感じます。

「とんぼのメガネはぴかぴかメガネ~♪」

どこからでしょうか? かわいい歌声が聴こえてきました。先ほどのご家族の子どもちゃんが歌っています。「わ~、上手、上手!」とスタッフの方やお客さんから沸き起こる歓声や拍手。ほっこりあたたかい空気が流れています。

ごはんを食べたらお好きなお菓子をどうぞ♪ 

栄養満点の“あったかごはん”を100円で食べることができて、お菓子ももらえるなんて、ほんとありがたいですよね。

こちらのお父さんは、毎回開催日には娘さんを連れて来るそうですよ。「毎日やっていたらいいのに…」とお姉ちゃん。

なんと小学2年生と3年生のお友達グループで来店。子どもだけで気軽に来ることができるのも「子ども食堂」の良いところ。この日も「子ども食堂 ゆり」のスタッフをはじめ、地域のおとな達に見守られながら楽しそうにごはんを食べていました。

*子どもだけでご利用の際は、安全に十分留意してお越しいただくようご家庭でご指導をお願いいたします。

「子ども食堂 ゆり」の利用方法はとても簡単。

まず受付でスタッフの方に検温をしてもらいます。参加名簿に名前と体温、簡単なアンケートを記入。食事代(おとな300円、子ども(中学生まで)100円)を支払うとチケットがもらえるので、そのチケットをお好きなテーブルのチケットスタンドに立てるだけ。あとは、“あったかごはん”が運ばれてくるのを待ちましょう。

お水はセルフサービス。ごはんが運ばれてくる前に準備をしておくと良さそうです。

赤ちゃん連れのお母さんにはうれしい“畳スペース”もありますよ
赤ちゃん連れのお母さんにはうれしい“畳スペース”もありますよ

わたしも「牛丼セット」300円 を注文してみました。

「牛丼セット」300円
「牛丼セット」300円

しっかりお出汁のきいた「牛丼」はなかなかのボリューム。女性のランチなら、これ一品でも十分満足できるほど。味のしゅんだ玉ねぎは甘みが強く、お肉も食べ応え満点です。

「具だくさんのだご汁」は、ほんとに具だくさん!

左上から時計回りに、小麦粉と米粉を混ぜたお団子サツマイモかぼちゃ大根の他、にんじん長ネギも。ほろほろに煮込まれたお野菜と甘めの田舎みそがおいしい~! 正真正銘の ザ・“おふくろの味”!

白菜キュウリかにかまハムの和えものも箸休めにホッとする味。

愛情のこもった栄養満点のお料理が安価で食べられる「子ども食堂 ゆり」は、子どもだけじゃなく誰でも気軽に利用できる地域コミュニティ。毎月第二土曜日に、ご家族やお友達と気軽に訪れてみてはいかがでしょうか。

食事を終えたお客さんの手になにやら白い袋が…。

農家さんからいただいたお米を一升ずつ袋に入れてみなさんに配っているというから驚きです。たくさんいただいたので、今回に限りお配りしているとのことでした。

青少年センターで遊んだ帰りによく利用するというお母さんと娘さん。

お米をもらってにっこり笑顔のお母さん。

娘さんは感想も書いてくれました!牛丼好きなんだね~。

泉南市母子寡婦福祉会 代表の滝本 美津代さんにお話をお伺いしたところ、「子ども食堂 ゆり」は、地域の方々や、泉南市泉南市社会福祉協議会大阪府などの協力があるからこそ、安心して運営ができるのだといいます。

それでもやっぱりこの方達なしでは“あったかごはん”を食べることはできませんよね?

泉南母子寡婦福祉会の会員であり、ボランティアスタッフのみなさん(手前中央が滝本さん)
泉南母子寡婦福祉会の会員であり、ボランティアスタッフのみなさん(手前中央が滝本さん)

とびっきりキュートな笑顔でピースサインをしてくれました!

「困っていたら来てね」ではなく、「困っていても困っていなくても来てね」という場所こそが、本当に困ったときに利用しやすい場所なのではないかと感じます。

おとなでも、子どもでも、困っていても、困っていなくても、気軽に行ってみてください。次回の子ども食堂は、

12月10日(土) 11時~15時 「子ども食堂とクリスマス会」

肝っ玉母さんのようなスタッフのみなさんが、とびきりの笑顔で迎えてくれますよ!

【基本情報】

「子ども食堂 ゆり」
毎月第二土曜日 11:00~15:00
場所:あいぴあ泉南ティールームゆり内
住所:泉南市樽井1丁目8-8-47
お問い合わせ先:泉南市母子寡婦福祉会 滝本様(090-2702-3917)
取材協力 泉南市母子寡婦福祉会 代表 滝本 美津代様
*記事中の金額はすべて税込表示です。
*記事内容は取材当時のものです。

ライター(泉南市・泉佐野市)

なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちの町のちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。皆様の日常がもっともっと楽しくなりますように。

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