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【泉佐野市】“宣伝なし”なのにほぼ満席。有名店の魚介系和だし受け継ぐ「山と海のカレー」が絶品〈新店〉

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉南市・泉佐野市)

こんなにも作り手の人柄が料理に反映されることがあるのかと、食後ぼんやりと余韻に浸ってしまいました。

今回ご紹介するお店は、8月20日羽倉崎にオープンした「spaice curry やまとうみ。」。(Googleマップ参照)

南海本線「羽倉崎」駅から徒歩4分国道旧26号線の「マックスバリュ羽倉崎店」のすぐ目の前にお店があります。

「宣伝はしていないんです」というお店は、オープン後もあまり情報がなく、この記事が貴重な情報源となりそうです。

やわらかな笑顔が印象的な店主の一柳 由美(いちやなぎ ゆみ)さん。

料理の腕前もさることながら、その穏やかなお人柄にきっと誰もが好印象を抱くはず。

「spaice curry やまとうみ。」の味は、一柳さんのお人柄もいいスパイスになっているようです。

西中島のオフィス街にある有名店「スパイスカレー 旬香唐(しゅんかとう)」で研鑽を積み、“大好きな泉佐野”に念願の店をオープンさせた一柳さん。「山もあり、海もあり、食べ物も美味しい。こんな素敵な街はない」と大絶賛。

遊びに来て泉佐野に魅了された、といいます。

光が降り注ぐ明るい店内にカウンター席(定員8名)が配されていて、おひとりさまやお仕事の合間にも利用しやすい印象です。

メニューはとてもシンプル。「やまカレー(定番)」900円「うみカレー(週替わり)」900円「(やまとうみの)あいがけカレー」 1100円、そしてお好みで「スパイス煮玉子」150円「げそブラックマサラ」200円のトッピングが選べます。

*料金すべて税込

定番の「やまカレー」は、スパイスで味付けされた“無水チキン”に生野菜キャベツピクルス水茄子ザブジがトッピングされています。今週の「うみカレー」(9/7まで提供)は、鱧のカリカリスパイス添えイカのスパイス炒め(トッピングは「やまカレー」と同じ)。

「やまカレー」と「うみカレー」、やはりどちらも食べてみたいので「あいがけ」を注文することに。数量限定の「スパイス煮玉子」と「げそブラックマサラ」のトッピングもオーダーしました。

「『スパイスカレー 旬香唐』の“魚介系和だし”を受け継いで、 “いりこの和だし”を使用しています。発酵調味料はすべて手づくりしています。お客様には見えない部分ですが、素材にはこだわっています。一食でも本当に心身に良いものを取り入れて頂けたら…という想いでカレーをご提供しております」と一柳さん。

手づくり発酵調味料 左から、お味噌、醤油麹、塩麴
手づくり発酵調味料 左から、お味噌、醤油麹、塩麴

他にも、師匠(「スパイスカレー 旬香唐」で学んでいた当時の)の同級生の器職人の方が焼いてくれたという、一枚一枚柄が異なるお皿を使用するなど、お客様へ提供するものは やさしく、温かいものでありたいという一柳さんの想いがひしひしと伝わってきます。

みんな違ってみんないい。食べるたびに表情の変わるお皿を楽しんで
みんな違ってみんないい。食べるたびに表情の変わるお皿を楽しんで

お料理を待つ間、次々にお客さんが入店されます。

みるみるうちにカウンターが ほぼ満席状態に。

わたし自身、少ない情報を頼りに訪れているのに、きっと噂を聞きつけて訪れているのだろうな…なんて、心の中でつぶやいているうちにお料理が到着。

「(やまとうみの)あいがけカレー」(トッピングは「スパイス煮玉子」と「げそブラックマサラ」*別料金)
「(やまとうみの)あいがけカレー」(トッピングは「スパイス煮玉子」と「げそブラックマサラ」*別料金)

「魚介だし」「しゃばしゃば」系のカレーは、わたしの大好物。この一皿に「山」と「海」が盛られていて、魚介香る和風だしがお互いの仲をうまくとりまとめてくれている感がします。まさに、わが街「泉佐野」のよう。

素焼きした鱧に香ばしく焼かれたにんにくと数種類のスパイスが乗せられています。

フワフワで甘いハモとカリカリのスパイス、食感と味のハーモニーが楽しい。

スパイシーだけど、まろやかでやさしい「海」は、滋味深い味にまとまっていて、薬効があるのではないかと思ってしまうくらいムクムクと元気になっていく感覚を覚えます(あくまでも個人の感想です)。

まったり濃厚なスパイシーチキンは無水調理したものだそう。どうして無水調理にこだわるのですか? と尋ねると、「心身ともに疲れ果ててしまっていた時期に、“無水チキン”だけは食べることができたんです。“(どんな時でも)自分が食べられるものを提供しなさい”と師匠から教わりました。毎日でも、たとえ二日酔いでも食べられるカレーを提供しています」と一柳さん。

確かに口の中でホロホロとほぐれていく感覚が、じんわりとカラダに抵抗なく吸い込まれていくようで、ココロとカラダがどんな状態でも受け入れられるやさしさを感じます。それでいて、コク深く食べ応えのある「山」は、若い男性にもおススメ、と一柳さん。

これまでのやさしい流れにガツンとインパクトを与えてくれるのが、この「げそ*ブラックマサラ」

*“ブラック”はイカ墨

驚くほど柔らかいイカはピリリとスパイシーで、先程までのやさしさにとろけそうだったわたしに喝をいれてくれます。スパイシーなのにやわらかい、厳しいのにやさしい、そんな両極端の魅力をあわせもつ「げそブラックマサラ」。数量限定とのこと。

「割るとトロ~ンとしているはず」とやさしく微笑む一柳さんの言葉どおり、「スパイス煮玉子」を割ると、中からトロントロンの濃い黄味が流れ出しました。うっすらと香るスパイスは「八角」。八角が強く香ることはなく、風味づけ程度だからどなたでも食べやすい印象です。

「たまごにはこだわっていて、遺伝子組み換えでない飼料ごま昆布を与えて育てている『平飼い有精卵(無農薬)』を使用しています。週に一度しか買い付けの機会がないので“数量限定”でなくなり次第終了となります」。

「spaice curry やまとうみ。」のカレーは、オーダー時に辛さを選べます

「スパイス煮玉子」のトッピングを選ばれる方は、玉子の甘みがあるので辛さをアップするのがおススメとのこと。わたしは中辛(ノーマル)をいただきましたが、カレーのルーそのものにそれほど辛さはないけれど、ふんだんに使われているスパイスの効能か じんわり血が全身に行き渡る感覚を覚えました。

カウンター越しに感じる一柳さんの穏やかな雰囲気と、滋味深くやさしい味のカレーとがリンクして、「spaice curry やまとうみ。」で過ごした“体験”の余韻がなかなかカラダから抜けません。あらためて料理は、味はもちろんのこと、お店の雰囲気や作り手のお人柄をまるごと感じて「良い体験」としてココロに刻まれるのだと痛感しました。

屋号の焼印が押された木のプレートは、友人からのプレゼントなのだそう。

お客さんにもかわいいと好評で一緒に撮影する人も多いのだとか。

オープン後も、情報は 以前勤めていたお店のリンクを受け継いだ? インスタグラムGoogleマップの経路案内のみ。そんなところもこのお店の雰囲気とマッチしていて、一柳さんらしいと感じます。

ご予約は前日の夜までにインスタグラムのDMへ

決して目立たないけれど素敵なお店です。

みなさんもぜひ一度訪れてみてください。

【基本情報】
店名:「spaice curry やまとうみ。」
公式インスタグラム(外部リンク)
住所:泉佐野市羽倉崎2-1-11
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:30)
定休日:9月は無休、10月から水曜・木曜 予定(定休日)
駐車場:1台(店舗前スペース)
取材協力 「spaice curry やまとうみ。」
店主 一柳 由美様
*記事内容は取材当時のものです。
*テイクアウトは行っておらず店内飲食のみとなります。
*お問い合わせ、ご予約はインスタグラムのDMよりお願いいたします。お一人で営んでいるため、すぐに対応できない場合もございます。あらかじめご了承ください。

ライター(泉南市・泉佐野市)

なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちの町のちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。皆様の日常がもっともっと楽しくなりますように。

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