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数学や科学に強い子供を育てる!子供の可能性を広げる空間認識能力を育てる絵本

高木美紀絵本の蔵書1000冊

 今、子供の能力の中で、空間認識能力が注目を集めています。算数や運動、そしてプログラミングの思考にも関わる、非常に大切な能力であると言われています。STEM教育(科学・技術・工学・数学)と呼ばれる教育システムにも関りが深いとされ、大脳生理学、認知心理学、発達心理学などの様々な分野の専門家が注目し、研究されています。算数を中心として様々な教科を学習するうえで、思考するためには具体的にイメージできることは必要不可欠ですが、このイメージする能力のベースとなる力が空間認識能力です。空間認識能力を育むことは、お子様が将来的に選択できる仕事の幅が広がっていくことも期待でき、可能性を広げる能力として近年、注目されています。

空間認識能力とは?

 空間認識能力とは、物体の位置や方向、形状を、瞬時に正確に認識できる能力のことです 例えば、空間認識能力が高ければ、地図を見て、自分が今いる場所からどのくらいの距離感なのか把握し、目的地までたどり着くことができますが、空間認識能力が低いと目的地にたどり着けず、迷子になってしまします。地図を空間的にイメージして理解すること、これが空間認識能力なのです。

空間認識能力が高いとこんなメリットがあります!

1 、スポーツが上達しやすい
 一流のバスケットボールの選手は、ジャンプした瞬間に時間が止まったようになり、次のプレイを判断できると聞きます。スポーツ選手は、空間認識能力を測定するテストで、一般の人と比べると、高いスコアを獲得しています。スポーツ全般において、人や物との距離や速さを、瞬間的に把握する力があることは重要であると考えられているため、スポーツの世界では空間認識能力の高さは重要な力であると考えられています。

2、 絵や図が上手に描けるようになる
 絵を描くには、描こうとしている物の輪郭だけでなく奥行きを、頭の中で具体的にイメージしながら描いていくため、空間認識能力が高いと、より正確に描きたいものを形にすることができるそうです。

3 、立体の図形などが把握しやすくなる
 立体や図形などを理解して思考するためには、まずはそれを具体的にイメージできるかどうかが重要です。空間認識能力はこのイメージするための能力のベースとなる能力です。

4 、危機回避能力が高くなる
 空間認識能力が十分に備わっていないと、物との距離が取りにくく、ぶつけてしまったり、階段を踏み外してしまったり危険をうまく回避することできないと考えられています。空間認識脳力が備わっていると、瞬間的に状況を把握し判断することが可能なため、けがをすることが少なくなると言われています。

空間認識能力を高めるための方法は?

 空間認識能力は、生まれながらの先天的な能力としての差はありますが、子供の頃から鍛えていくことによって、大きく改善できることがわかってきています。では、子供の空間認識能力を高めるために、どのようなことが効果的だと考えられているのでしょうか?

1、 鬼ごっこ
 鬼ごっこは、空間認識能力を体感的に身につけるために最適な遊びです。鬼との距離感や、どこにどうやって逃げれば捕まらないかなどを、自然に瞬間的に考えながら遊んでいます。鬼から逃げる方法を瞬間的に判断し、鬼との距離を考えながら、様々な障害物にあたらないように、鬼から見つかりにくい空間を見つけて逃げることで、距離感覚などを体感で身に付けることができるのです。鬼ごっこは遊びを通して、自由自在に動きまわることで、自然に空間認識能力が鍛えられていくのです。

2、山歩き、キャンプ、フィールドアスレチック
 キャンプは、テントをどこに張ればいいか、火を起こすとき風向きを見て、どの方向で火をおこすことが最適かなど、お子様と一緒になって考えることで空間認識能力を養うことに繋がります。また、山歩きは、でこぼこ道や坂道があり、一歩踏み外せば危険な場所がある中で、安全に歩くにはどこを歩けば良いのか最適な方法を探ることで、空間認識脳力を鍛えられます。山登りまでは難しいという方は、フィールドアスレチックやボルタリングもおすすめです。どこに足をかければいいのか、どう登れば安全か、どのようにすればその場所に足をかけられるか考えながら、瞬時に判断し行動するという点で空間認識能力を鍛えることができるのです。

3、折り紙
 折り紙は人工衛星のソーラーパネルの畳み方に、知見が生かされているのだとか。その形に折るための向きや間隔などを把握しながら、平面から立体を作り出す作業を繰り返すことは、空間認識能力を伸ばすことにつながると考えられています。

4、積み木、ブロック、LaQ(ラキュー)
 ブロックや積み木など、立体に直接触れるおもちゃを使うのも効果的です。形状をよく見て判断し、組み合わせて様々な立体を作り出す作業を行うことで、楽しみながら空間認識能力を鍛えることができます。ブロックや積み木で表現できない形を作り出せるLaQ(ラキュー)もおすすめです。夢中になった時の子供の集中力ってすごいですよね。

空間認識能力を育てる絵本があります!

 実は、空間認識能力を育てる絵本もあります。絵本と言えば、言語能力や読解力を高めることはイメージが付きやすいと思いますが、空間認識能力を高めるために作られた絵本も存在するのです!

「くまくん、じゅんびはオーケーかい?」マイクロマガジン社 作:デイビット・バロー 訳:ゆびかゆうこ

「くまくん、じゅんびはオーケーかい?」マイクロマガジン社 作:デイビット・バロー 訳:ゆびかゆうこ
「くまくん、じゅんびはオーケーかい?」マイクロマガジン社 作:デイビット・バロー 訳:ゆびかゆうこ

 空間認識能力を楽しく育てるために作られた絵本です。同じアパートの友だち3人に貸したままの道具をそろえるため、くまくんはアパートの階段を登ったり降りたりを繰り返します。アパートの階段がページいっぱいにダイナミックに描かれ、まるでそこに階段があるかのような迫力です。絵本を読み進めていくことで、自然と空間認識能力が鍛えられる作りになっているそうです。色や絵柄も可愛らしくて、ずっと眺めていたくなるような魅力がいっぱいの絵本です。

「ぴたっとへんしんプレタングラム のりもの」岩崎書店 作:かしわらあきお

「ぴたっとへんしんプレタングラム のりもの」岩崎書店 作:かしわらあきお
「ぴたっとへんしんプレタングラム のりもの」岩崎書店 作:かしわらあきお

 タングラムは、三角形や四角形のピースを組み合わせて、図形を作って遊ぶパズルです。図形感覚・創造力・思考力、集中力を養う効果が期待できる知育玩具として古くから知られています。この絵本は、タングラムと絵本を組み合わせて遊べるタイプになっていて、絵本の文に合わせた絵を、タングラムのピースを使って作っていけるようになっています。まだ、タングラムで遊ぶのは難しい小さなお子様でも遊びやすいので、タングラムの導入時期にも最適です。

 空間認識能力は様々な分野において基礎になる力なので、しっかり鍛えてあげたいですね。外遊びが好きなお子様なら、公園など身近な場所で、鬼ごっこしながら楽しく鍛えられる点も嬉しいです!外遊びが苦手なお子様であれば、折り紙や絵本を利用して様々な角度から、育んであげたい能力だと思います。

 今回は我が家の1000冊の絵本の中から、ちょっとめずらしいタイプの空間認識能力を育む絵本をご紹介いたしました。お子様にとって、一生の宝物になるような素敵な絵本とめぐり会えますように。

高木美紀

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元塾講師の2児の母です。絵本と児童書が大好きで、気が付けば蔵書量1000冊「日本一、本が好きな子供を育てる」を目標に子育てしてきました。そんな我が家の1000冊の絵本の中から、おすすめの絵本をご紹介します。

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