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自宅で過ごすのが正解! 本物の温泉好きが「GWの旅行」を避ける理由

高橋一喜温泉ライター/編集者

GW(ゴールデンウィーク)はいかがお過ごしだろうか?

今年のGWは移動制限がないこともあり、観光地は大いに賑わっているようだ。長らく苦境に立たされてきた温泉地や旅館にとってはよろこばしいことである。

だが、筆者はというと、温泉には行かずに自宅で仕事をしている。遊び盛りの子供と近くの公園などに出かける予定はあるが、遠出はしない。これは例年通りである。

温泉ライターの立場を考えればどうかとも思うが、この仕事を始めてからは一度もGWを温泉で過ごしたことがない。

せっかくの大型連休なのだから温泉に入り、宿でぬくぬくと時間を過ごしたい。だが、それでもGWに温泉に行かないのには理由がある。

大型連休と温泉は相性が悪い

GWに温泉に出かけないのは、大型連休と温泉旅行の相性が悪いからだ。特に、筆者が普段実践している「ソロ温泉(ひとりでの温泉旅)」との相性は最悪である。

第一に、GWの温泉地は混雑する。ニュースになるくらい電車や飛行機などの移動手段は混雑するし、車は渋滞に巻き込まれる。

温泉地に着いたら着いたで、観光客でいっぱいで、湯船でも独泉はおろか、子供たちがはしゃいでいる。とてもじゃないが、温泉でリラックスとはいかない。

「何のために温泉に行ったのだろう」と、激しく後悔することが目に見えているのだ。

サービスが落ちるのに割増料金

今の温泉街はどこも閑古鳥が鳴いているーーというのは普段の平日の話。GWは別である。人気の宿は早くから予約で埋まってしまう。

首尾よく予約できたとしても、交通機関や高速道路は大混雑し、温泉宿もキャパシティいっぱいに予約を受けているから何かと混雑しがちだし、スタッフのサービスも落ちる。

にもかかわらず、宿泊料金は普段よりも割高である。GWは特別料金で3割くらいは高い設定になっていることが多い。

致命的なのは、「ソロ温泉」は圧倒的に不利だということだ。

GWは放っておいても予約が入るので、一人旅は後回しにされがちだ。たとえ受け付けていても、びっくりするような料金設定になっていたりする。

たとえ金に糸目をつけず、ソロで出かけたとしても、いつも以上にまわりは家族連れやカップルだらけで、孤独感に襲われることになる。

「ソロ温泉」にとってGWは相性が悪い。だから、家でおとなしくしていたほうが無難という結論になる。ひとりで温泉に行くなら、旅する時間や場所、行動をずらす「ずらし旅」がおすすめだ。

それでもGWを温泉で過ごすなら

全体的にネガティブなトーンになってしまったが、長い休みを温泉地でゆっくり過ごせるなら、それに越したことはない。

また、仕事や家族の事情でGWでないと温泉旅行に出かけられない人も多いのが現実だと思う。

ということで、どうすればGWでも満足のいく湯浴みができるか考えてみた。現状、筆者が思いつく選択肢は1つ。

馴染みの湯治宿で連泊することだ。湯治宿の場合、年末年始でも料金設定が変わらないケースが多く、仮に割増料金だとしても比較的リーズナブルに抑えられている。

客層も昔からの常連が多く落ち着いているので、必要以上に浮かれた雰囲気もない。さすがに初めての湯治宿に連泊するのはリスキーだが、一度宿泊して勝手を知っていれば問題ない。鄙びた温泉地で過ごすGWも趣きがあるだろう。

高橋一喜|温泉ライター

386日かけて日本一周3016湯を踏破/これまでの温泉入湯数3800超/著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)/温泉ワーケーションを実行中/2021年1月東京から札幌へ移住/InstagramnoteTwitterなどで温泉情報を発信中

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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