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ひとり旅がおすすめ! ソロ温泉で「心と体がととのう」理由

高橋一喜温泉ライター/編集者

筆者は基本的に夜型の生活をしている。朝は7時には起床するが、就寝は深夜1時、2時くらい。慢性的な寝不足といえる。

そんな夜型人間も、温泉地に滞在するときは朝型人間に生まれ変わる。

なぜなら、夜の寝つきがいいからだ。

温泉に出かければ「眠くなる」

ソロ温泉(ひとりでの温泉旅)に出かければ、移動でそれなりに疲れる。乗り物に座っているだけでも、案外心身ともに疲労するものだ。

さらに現地に到着したら、2~3回は温泉に入る。入浴するだけでもカロリーを消費するし、就寝前に温泉で体が温まると、睡魔に襲われる。

人間の体は体温が下がるタイミングで眠くなるようにできているので、温泉入浴から1~2時間後には眠気のピークが訪れる。

しかも、温泉宿での夕食は、いつもの食事よりもボリュームが多い。満腹になる上に、筆者は酒も飲む。これでは夜更かしをしたくてもできない。布団に横になってから数分後には夢の中へ吸い込まれていく。

早朝の入浴で覚醒

筆者の場合、ソロ温泉に出かけたときは21時過ぎには眠りに落ちる。遅くとも22時にはノックダウンである。

そうすると翌朝、目を覚ますのは早朝5時くらい。えらく早起きだが、21時に寝ていれば8時間睡眠である。もう十分だ。

それから30分ほど外の空気を吸ったり、朝のニュースを見たりしながら目が覚めるのを待つ。そして、おもむろに温泉へ。

湯船につかると、一気に覚醒する。自然に囲まれた露天風呂ならなお最高。新鮮な空気を吸って、脳がクリアになっていく感覚が清々しい。やはり、早起きは気持ちいい。

天気や気候がよければ、朝食前に周辺を散歩することもある。太陽の光を浴び、体を動かすことで、体の細胞が活発に動き出す感覚となる。

もし連泊をするなら、2日目は夕食をとって温泉に入れば、自然と眠気を誘われる。朝5時に起きているのだから当然だ。そして、21~22時には夢の中。

こうして温泉地での滞在中は、早寝早起きのサイクルができあがる。一度このサイクルができてしまえば、なかなか崩れることはない。

「不規則な生活が続き、慢性的に疲れがたまっている」「つい夜更かしをして日中も睡魔に襲われる」「頭の中が常に靄がかかっているようですっきりしない」といった人は、ソロ温泉を通じて朝型生活を体験してみてほしい。

入浴前はコップ一杯の水を

最後に注意点をひとつ。起き抜けの温泉は気持ちいいが、自分の体と相談して慎重に入浴したい。

北海道大学教授で医学博士の大塚吉則氏は、『新版 温泉療法』という著書の中で、こう述べている。

朝風呂の時間帯は自律神経が夜型から昼型に変化する頃に一致しています。つまり、血圧の調整、心拍数の調整、呼吸の調整などが乱れがちになる時間帯です。また、脳梗塞、心筋梗塞などが最も発症しやすい時間帯としても知られています。

特に朝は、「熱い湯には入らない」「長湯はしない」「十分にかけ湯をする」といった対策が大切になる。

また、入浴前には必ず1杯の水を飲む。入浴によって発汗すると血液粘度が高まり、血がどろどろの状態になってしまう。特に寝起きは体のコンディションも万全ではないので、忘れずに水分補給をする必要がある。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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